天地開闢
魔素をうみだす。
世界の理、それは想像。思考を連ねることによって生み出される何か。
想像したことを世界へと反映させる、いや世界という遠大な領域に反映させるためには、それに見合った出力が必要である。
では、どうやってそれだけの出力を得るのか。それは魂力によってである。
魂力によって魔素に影響を与えることにより世界を制御する。
では魔素とは何か。
魔素、それは思いの力。
惑わし、害を与える為の素となる物質でありエネルギー。
魔素によって思いを得、魔素によって容を成す。
魔素がすべての始まりである。
しかし、魔素は思いが無ければ生まれない。
魔素が無ければ思えない。
では、一体魔素はどうやって生まれたのだろうか。
その答えは未だに解明されていない。解明できる類のものかすら疑わしいもの。
まさしく摩訶不思議な魔素。
何かよく分からない物を使用して、自分たちに都合の良いように使用する。
故に、だからこそ他者を惑わし害なすものという意味でこれを魔素と呼ぼう。
賢者院内の派閥の一つ、母なる韻最後の五大賢者、アの手記より
さて、魔素とは思いの力に反応して様々なモノに変化する万能物質である。
ここまで知的生物にとって都合の良い物質があって良いのかどうかすら疑問に思うほどに、非常に都合のいい物質だ。
そして、これを使用して管理者は世界を構成し、世界の理で制御し干渉して管理を行う。
ただ、世界規模の干渉となるとそれに比して、それだけの広さに適用させるだけの出力を求められる訳だ。
その出力を魂力で行う訳である。詰まる所、魔素を魂力へと変換できる俺は、非常に管理者としての適性が高いという事だ。
ただ、適性が高いけど、実際に管理できるかどうかは別問題なわけで。用はだ、ハードが優秀でも、ソフトが追い付いていないという事だ。
うん、いくら外部から情報を持ってきているとはいえ、いきなりそれらの情報を十全に扱えるわけではない、という結論に至る訳だな。
こうなってくると、情報源から得たもので直接作り出すのが、手っ取り早いかと思う。
ふむ、ではもう少しアカシックダイブと洒落込もうではないか。
河野が世界を創造するにあたり色々と試してみた結果、自分ではなかなかに難しいという結論にいたる。
それはそうだろう、死ぬ前まではただのスーパーの一店員でしかなかったのだ。
それがいきなり世界を創造して管理しろとか言われて、サポートを受けていたとしてもそう簡単に出来る事ではない。
ただ、ここに一つ書いておくならば、ラー・オホヒルメノムチはやろうと思えば、その状態まで持っていく事も可能ではあったが。それをしていない。
それは何故か・・・、自分たちと違う成果を得られるかもしれないという可能性を見出す為だ。
さて、そんな思惑の所為で非常に難儀な状況に立たされた河野であるが、面白いものを見つけた。
お?これは、世界創造楽々キット・・・。名前に関してはこの際置いておこう。
えーっと、ナニナニ。
初めて世界を創造する河野さんへ。
えー、だったら最初っからわたしてよー。
などと思っているかもしれませんが、
あのー、こっちの思考読んで執筆するのはちょっと。
などと軽いコントとも呼べないお遊びを交えながら、ラー・オホヒルメノムチが世界創造に関する各種資料を纏めた物と、とある存在を生み出すやり方が乗っている情報を読み込んでいく。
・・・、ぶっちゃけこれ俺いるかってほどに、丸投げ案件なのですが・・・。
まー、あくまでも補佐という形にはなるようだけど、うーん、何かもやっとするなー。
だけど、このまま何もできずに無為に情報を集めるために時間を浪費するよりかは良いのかな?
というか、偶々この情報を見つけられたからよかったものの、見つけられなかったらどんだけ時間掛かっていたのやら。
それに、ある程度世界の創造が進んだ状態で、これを見つける可能性もあったわけで、色々と無駄なことをしているなー。
まーいいっか。とりあえずぽちっとな。
ラー・オホヒルメノムチの用意したデータを活性化させると、世界イクサーに蓄積されていた魔素を基にして、とある存在が形作られていく。
非常に幻想的な光景ではあるのだが、河野はラー・オホヒルメノムチの用意した先の文面の為に、今一この光景に対して感動を憶え辛いようであった。
河野が活性化させたデータは、簡単に言えばサポートキャラを魔素から作り上げるプログラムで有り、またそのサポートキャラの魂のデータである。
活性化されたプログラムに従い新たに魂が構築されていき、魂が構築されると直ぐ様に肉体の構築を始める。
そして、淡い光と認識出来る魔素の反応現象が収まるとそこには、ラー・オホヒルメノムチによく似た一人の女性が一糸纏わぬ姿で佇んでいた。
「初めましてマスター。これより世界創造及び管理業務の補助をさせていただきます、世界創造補助プログラム、モデル・ラー・オホヒルメノムチです。」
あー、なんか遊ばれてる感がひしひしとあるなー。
「よろしく。俺は河野瑛多これからいろいろと頼むな。」
「はい、畏まりました。では、早速ですがマスターの肉体の再構築をさせていただきます。」
やや抑揚に掛けてはいるが、その声音は先に会ったラーそのものと言ってよい、凛と意志の通った声。そして、その見た目はラー・オホヒルメノムチと同様の黒髪黒目に、膨よかでバランスの取れた肢体、胸はやや小ぶりながらもきれいな形となっている。
髪型は所謂お姫様カットで非常に黒髪と相性がいい。
そんなことを思っている河野ではあるが、今は体の無い魂だけの身であるが故に、綺麗だと思いこそすれ欲情することなく冷静な感情であったのだが、補助プログラムによって生み出された目の前の美女によって、肉体を再現されると話が変わってくる。
そこはそれ、健全な三十過ぎの男性。まだまだ、色々と精力的な体として当然の変化が起こる訳で。
そして、今二人は肉体が構成されたばかりで何も着ていない状態だ。
因みではあるが、サポートプログラムには河野の身の回りの世話も入っている。
この後に展開されることは皆様のご想像にお任せしよう。
ここでそれを文章としてお届けするには些か不適切な表現を多分に含んでしまうのでね。
ただ、一つだけ語るとすれば「良かった」そうだ。
どちらが言った感想かはここでは記さない事としよう。
魔素とは意志ある物から発生するもの、より強い感情から発生するこの摩訶不思議なエネルギーであり物質であるこれは、情動によって意志ある物から放たれるのだ。
つまり、この小さな世界と同調した神の如き存在と、神を補助する存在の感情のうねりによって、魔素が大量に生じることになったという事である。
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