オープニング 貴方に世界を託しましょう
転生するには死なないといけない
河野瑛多
エネルギー意識体の際限なく膨張するという、どうしようも出来ない事態に直面した魔法科学国家ジェグが、自らに絶望して封印世界を展開したのち、自ら命を絶ってから幾星霜の時間が流れている。
中心部にエネルギー意識体を配し、その周囲を種々様々な世界で覆い隠し、膨張の抑止をするべく、日夜エネルギーを分散させているそれぞれの世界は、その内にエネルギーを蓄積させていっている。
このエネルギー、いうなれば魔法の素だ。今後魔素と呼称するこの摩訶不思議なエネルギーは意識有る存在の想像力そのものだ。
知性体が存在する限り、意識体は消滅することはありえなく、また、意識体そのものが知性体というどうしようもない状態。つまり、消滅させることは不可能と言える存在と言える。
そんなどうしようもない状況下で、封印世界の均衡を保ち、外の世界が消滅しないようこの封印に押し止める、結界たる数多の世界を維持管理している存在が居る。
その者達は、造物主たちからデアエ・エクス・マーキニースと名付けられ、数多ある・・・、そんな簡単な言葉で言い表せられないほどの膨大な量の世界を、封印世界内で新たに生まれた生物に、一部を除いた存在以外に悟られることが無いように腐心している。
さて、そんなデアエ・エクス・マーキニース達は世界の維持管理と同時に、世界内の情勢の安定化にも手を付けている。
この安定化に際して、直接関与して状況を納めることも間々あるのだが、彼女達が直接手を出して事を納めることは極稀、何故かは言うまでもなく忙殺されるほどの仕事量の所為だ。
故に、彼女達は自分たちに代わり、世界の情勢を安定化させる存在を養成することにした。
そんな存在を養成するための世界の一つ、ラー・オホヒルメノムチが管理している世界の一つ。ストラトゥム・カルパー・テルミヌスの最外縁に存在する、ラー63,402,622にある地球の日本に住んでいるとある壮年、いや見た目的にはまだ青年と言えなくもない、30過ぎの彼が地下鉄からその姿を現すところからこの物語は始まる。
もう一回見に行こうかな?童女戦記。
そんな事を思いながら無駄に長いと常々思う、なが~いエスカレーターの右側を歩いて登り、地上へと向かうこの人物の名は河野瑛多。
都内のスーパーマーケットで日夜働きつつ、アニメや漫画、小説にゲームを嗜むれっきとしたオタクである。本人曰く俺程度でオタクというのは烏滸がましいとか言っているが、こういったサブカルチャーに傾倒していない人から見れば、どうあがいてもオタクである。
さて、そんな瑛多は最近公開された映画「劇場版童女戦記」二度目の視聴を終え、自宅に帰る途中である。
シン・ガジラ以来だなー、同じ映画を二度以上見に行ったのは・・・、もう一回見に行こ。
そんなことを思いつつ、夏江駅名物と瑛多が勝手に思っている、ムダニナガイエスカレーターを登り切り、いつも使用する出口から徐に出ると彼の目の前には一条の何かが迫っていた。
「へ?」
次の瞬間彼の意識は刈り取れ、肉体はミンチになっていた。
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