異世界産のタコ 入荷しました!

ぺんぎりん

第1話

『タコ(蛸、学名:octopoda)は、頭足綱 - 鞘形亜綱 - 八腕形上目のタコ目に分類される動物の総称。 海洋棲の軟体動物で、主に岩礁や砂地で活動する。淡水に棲息する種は知られていない。(Wikipediaより)』




 私はタコが好きだ。食べても美味しいし、何より見た目が可愛いからだ。墨を吐いてくるのもまた可愛らしい。

 私が一番好きなのはミズダコだ。タコ類最大で、最大記録では体長9.1m、体重272kgに達する。一番姿がかっこいい。

 タコが好きすぎるあまり、私の住んでいたマンションの部屋には巨大な水槽とタコグッズで溢れかえっていた。そのため、友達を家に招いたことがない。というか、まず友達がいなかった。



 ある日、私は夢でタコになっていた。私はまな板の上に乗っていた。体が熱い。どうやら茹でられた後のようだ。体が動かない。声も出ない。包丁が迫ってきた。お願い、殺さないで...


 起きるとすごく汗をかいていた。なんだかすごい悪い夢だった。いつも通り会社に出勤する。駅まで歩いていると

「助けてー」

 と甲高い声が聞こえたので慣れないハイヒールで声のした方に走っていると、包丁を持った通り魔が通行人を追いかけ回していた。

「やめてっ!!!」

 ととっさに止めに入ったが

「ウラァァァッ!」

 という叫び声とともに腹部に刺された。何度も。意識が朦朧とする中、私は反撃した。手みたいなものでぎゅっと相手の体を挟み、何かを注入した。何がなんなのかが全くわからなかった。ただ体が反応した。それから、がくっと力が入らなくなり私は死んだ。

 私が死ぬ間際、鞄につけたタコの可愛いキーホルダーと目が合ったような気がした。

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