第10話 神界
ふぅ……こうして神界に帰るのも一週間ぶりか。人間界の何時も賑やかな空気と神と言う存在しか居ない静かな神界は大きく違うな……。
神界は、天井、壁、床全てが真っ白で所々に申し訳程度の石柱の装飾があるだけで、人間界と比べれば殺風景。神一人一人に同じ様な部屋が作られており、全て全く違う異空間として繋がり、外に廊下がある訳ではない。
一見そんな部屋では退屈だと思うが、全ての神に違う役割があるため、退屈だと思う神も一人も居ない。
その一人である俺は、創造と破壊の役割。だがその役割に何の意味があるか?宇宙か別次元に世界を創造し、暫くすればまた破壊する。特に指示されている訳でもなく、ただ自由にやる。そう、意味なんて物は無いに等しい。
恐らく神の中で最も暇な神はこの俺。カオスだけだろう。
さて、今回はどうしようか。世界を創造しても良いし、また違う世界に行っても良い。
そうして俺が考えていると、一人の男が部屋に入ってくる。
「やぁ。これはカオス君じゃないか。久しぶりだね。君と最後に会ったのは……二万年前だろうか……」
「いや、一週間ぶりだ」
「おっと済まない。時空移動のしすぎで時間の感覚が狂ってしまっているようだ」
彼は時間を司る神、クロノスだ。時間と時空を超える事が出来る力を持っており、暇があればどこかの時代飛んでは戻って来る。時空を飛び回り過ぎて一風変わった性格だが、彼が怒る瞬間は見た事がない。
「時空を飛び越えるのは自由だが、タイムパラドックスだけは起こすなよ?」
「そんな事は分かっているさ。ただ様子を見ているだけだから」
「ふーん……なら良いけどな。で、此処に来た事って事は面白い場所でも見つかったのか?」
「そうそう、なかなか変わった世界を見つけたんだ。誰かがその世界を掌握している訳では無いんだけど、いやぁ、後一歩その世界に踏み込んでいれば、僕は此処に居なかっただろう」
「そんなに危険なのか?」
やはり消さずに残した世界は何かしらの問題や変化があるようだな……。俺が世界を消さずに残した理由は様々なものがある。
文明の発展が終わらなかったり、崩壊させるきっかけを作ったものの失敗したり、後は一部だが世界の住民から、直接阻止された事があるな……。
「あぁ、そりゃもう弱者を寄せ付けない程にな。神である僕が、世界の化け物より弱いというのは、どうかと思うけど、時空回廊さえも捻じ曲げられちゃあ、流石にどうする事も出来まい」
「へぇ〜」
時空を捻じ曲げる……か。弱者は退かされ、強者のみが集う世界……これまた面倒な世界が出来上がったものだ。
「行こう」
「良し決まりだぁ、創造神の君なら余裕だと思うけどね。早めに終えられる事を祈るよ」
そう言うと、クロノスは時空廊を開いて、俺を強者の世界へ飛ばす。
創造神の異世界冒険 Leiren Storathijs @LeirenStorathijs
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