休日2日目(日曜日)
プルルルルルルルル
プルルルルルルルル
む、やはり来たか。
予約をしなくてもモーニングコールがかかってきた。
上半身だけを起こして、時間を確認する。午後1時。昨日よりは早いが、まあ昼だな。
ガチャッ
「もしもし」
『あさだぞ』
ひるだろう。
「……貴様、何者だ?」
『ボクか? ボクは、"海"に、"波"に、"月"と書いて、
「ふん、よろしくするつもりなど毛頭ない。ホテルの人間ではないな?」
『ん、そうだな。ボクはバーチャ――』
デレレレッテッテッテーレレーレレレ
デレレレッテッテッテーレレーレレレ
ん、これは部屋の電話のコール音ではないな。私のスマートホンの着信音だ。
「失礼、電話がかかってきたようだ。このまま切らずに待っていろ」
『んー、わかったぞ』
手に持っていた受話器を台に置き、スマホを取る。
「はい、鈴木です。はい。はい。え……いや、そんなはずは。は、今からですか? ああいえ、もちろん伺います。はい。はい。失礼します」
出張先からの連絡だった。
簡単に言えば、納品内容に漏れがあったようだ。
そのことについての説明を求められているのと、今後の対応について話し合いたいので今から工場に来てほしいとのことだった。
納品の準備をしていたのは、もともと出張に来るはずだった後輩だったはず。
「くそっ!! 納品ひとつまともにできないのか、あの馬鹿は!!」
通話を切った瞬間に思わず悪態ついてしまった。
『おー? なにかあったのか?』
置きっぱなしにしていた受話器からやつの、海波月イサナの声が聞こえてきた。
「ああ、ちょっと仕事でトラブルが起きたようだ。今から行ってくる」
『うわっ、まじかー。大変だなー』
「まあ今回の出張も明日までだからな。ここが正念場だ」
『おー、そうなのか……うん、頑張ってなー』
「ふん、貴様に言われるまでもない」
そういって私は受話器を乱暴に置いた。
休日だったはずの午後が潰れてしまった。
「ふう、これも仕事か……」
自分以外の誰もいない部屋で愚痴をこぼし、私は出勤する準備を始めた。
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