第16話:章子の退職祝いの海外旅行1

 章子が退職してから東京、日比谷、銀座、箱根、鎌倉、熱海、伊豆へ、日帰りで

毎月の様に出かけるようになった。好きな洋服を見たり、買ったり、、素敵な

レストランで食事したり、今までの人生と、がらっと変わった毎日が続いた。


 そして、梅雨が明けた7月に秀夫が章子に、退職の記念に海外旅行に行こう

とパスポートをとった。行き先を話し合い東南アジアは怖い、米国、欧州が

遠いから日本の夏に冬の南半球のオーストラリア、ニュージーランドに行き

たいと言われ、9泊10日のデラックス・オセアニア旅行を予約した。


 5日後、8月5日、家を出て、出発時間が早いので成田に宿泊して日本を

出発する事にした。海外旅行でホテルに前泊するのは、初めてで、章子は

緊張していたが、食事も良く、ベッドも大きく快適だった。ホテルから

成田空港まで無料バスが出て、翌朝、チェックアウトしてカンタス航空で

受付して、出発を待った。搭乗案内のアナウンスがあり列に並んで搭乗し、

最初は緊張していたが離陸して海の景色を見ているうちに、心地よい

振動で寝てしまった。


 しばらくして、珈琲サービスが来ても寝ていて、気づかなかったが、

11時半頃に、目が覚めるとCAが昼食の用意をして来た。チキン、ビーフ

どっちが良いか聞いてきたので、章子が、チキン、秀夫がビーフにして

食べてみると、タレもしみていて十分、おいしかった。


 その後、赤道付近は多少揺れが予想されますから、注意して下さいと

アナウンスがあり、大きな揺れを覚悟していたが、多少、機体がバタバタ

と音をたてた程度で、思ったほどでもなく安心した。そうして、また

一眠りして起きる頃には、後1時間少々でケアンズに到着しますと

アナウンスがあり、程なくして高度を下げはじめ無事ケアンズ空港に着陸した。


 ケアンズ空港は森と海に囲まれた空港。迎えにきたバスに乗り込んで

ケアンズの市内のホテルに到着した。翌日は、グレートバリアリーフ

へクルーズ船で行き、ダイビングしてシュノーケリングで美しい

珊瑚礁を堪能した。


 その翌日はシドニーへ飛び、オペラハウスを見学し、ハーバーブリッジを

ガイドと登る”ブリッジクライムツアー”というツアーが人気で参加した。

 橋の頂上からは360度に広がるシドニー湾とオペラハウスなどを一望

するシドニーの大パノラマを眺めることができた。次の日はシドニー

のフィッシュマーケットで朝食を楽しんだ。


 その後、ガイドの知り合いを紹介してくれ、投資の話を聞いた。

 オーストラリアでは高金利政策をとっており、大口で定期預金をすると

高配当を約束すると言うのだった。オーストラリアの大銀行は、東京に

支店を持ち、日本でも豪ドルで入出金できると説明していた。

 彼は、以前、日本の中古車の豪州での販売の仕事をしていたので、

日本語も流暢だった。とりあえず、名刺をもらい、パンフレットを

いただいて検討すると答えた。


 ホテルに戻り、明日、ニュージーランド・オークランドへ向かう。

朝食をとって、シドニー空港へ向かい、空路、オークランドへ地図で

見ると近いが、実際には飛行機で3時間強と、かなりの距離があった。

 オークランドについて町に出て夕食をとってホテルに戻り、翌日は、

オークランド市内観光バスツアーケリー タールトンズ シーライフ

水族館・Kelly Tarlton's Sea Life Aquarium、オークランド博物館

・Auckland Museum、マウント エデン・Mt Eden、スカイ・タワー

など名所を見学できた。


 翌日は南島の中心都市クライストチャーチへ飛んだ。クライスト

チャートは、ガーデンシティと呼ばれるだけ町中も緑で誠に綺麗な

町並みだ。その翌日、車で東海岸に沿って北上して、カイコウラへ

行き新鮮なクレイフィッシュ、伊勢海老の一種をゆっくりと食べて

ホエールウォッチングしたり近海ではマッコウクジラや、イルカの

群れやオットセイ、様々な海鳥などを観察して素晴らしい自然を

満喫した。


 そしてオークランドに帰り、日本へ戻る前日、お土産を探しに

ショッピングを楽しんで早めに床につき日本への帰路についた。

今回の旅行は非常に気持ちよく快適だった。


 帰りの飛行機の中で、次は、ハワイへ行きクルーズ、または、

ラスベガスへ行ってショーを見たり、いろんなアイディアが次々と

章子の頭に浮かんできた。何としても実現したいと思う秀夫だった。


羽田に着いた時間がラッシュアワーと重なったが、京浜急行の急行で

横浜まで約20分、駅からタクシーで新居のマンションに帰った。

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