第12話:幸子のNTTドコモ入社作戦

 幸子は、卒業証書を携えて早速NTTドコモの移動体通信部の久光良和部長を

たずねた。わかった人事部には、私から電話しておくので、すぐ行きなさいと

言われ人事部へ向かった。部屋に入ると人事部の3人が待っていて、すぐに

面接をさせて下さいと言われ了解した。


 その席で学校で研究していたテーマと今後の移動体通信のあるべき姿について

熱く語った。君みたいな女性が移動体通信の未来を語るなんて非常に興味深い

と言い、意地悪な質問はなかった。卒業証書をコピーさせてと言うので渡した。

数日中に結果を連絡しますから待っていて下さいと言われ失礼した。


 翌週の火曜日、NTTドコモの人事部の木下義男さん

からの電話で採用しますので、明日来て下さいといわれ、この入社の件は

他の大学生に話さないで下さいと言われた。了解しましたと答えた。

 翌日はリクルートスーツで出かけた。人事部に行くと採用通知書を

いただき勤務部署は3階の移動体通信部だと言われた。


 笑いながらNTTドコモの最先端をになっている移動体通信部の部長に

言われて断るわけには、いかなくてねーと苦笑いした。ただ、これは正規

ルートので入社試験を合格したというわけではないので他の学生には、

くれぐれも口外しないようにと念を押された。


 自宅に帰り近くの商店のおばさんに、お礼をいうと合格おめでとうと

いわれたが、でも、これからが大変だよ。あなたは期待されて入社した

のだからねと言った。それに対して頑張りますと答えた。1994年4月

20日にNTTドコモ移動体通信部に出社して、その晩の歓迎会の時に

久光良和部長に君に最初にあった時に、この子は何かを持っていると

ピーンときたんだと笑いながら言った。研究開発で一番大切なことは

ヒラメキなんだ人との出会いも同じさ、僕がピーンときた人で、

駄目になった人は10人中1人だけだと言い君が11人目だと笑った。


 君のヒラメキが新しいNTTドコモの未来を築いていくんだと熱く

語ってくれた。幸子も熱い口調で話すのは久光部長と同じで、何と言いうか

馬が合うというのは、こういう事を言うのかも知れないと内心思った。

 その後も自分の務めた部署では言いたいことは何でも言って熱い議論を

して働く人達が使命感を持って働いているのが誇らしく思えた。


 自宅に帰って、NTTドコモに入社が決まった報告をすると、秀夫が

NTTドコモなんて変な名前だなと笑うと中身は最先端のすごい会社です

と幸子が言い返した。


 章子がどうでも良いけど巷では就職氷河期とか言われて就職難なのに

良く入れたわねと言うので近くの商店のおばちゃんの息子がNTTドコモに

努めていて、昨年の夏休みにNTTドコモでのアルバイトを紹介して

いただき、そこの部長の部長に気に入られたらしく、採用されたので、

正式な募集に応募して採用試験に合格して、面接、二次面接を経て、

合格したわけではないと言った。言葉は悪いけど、裏口入社って所かなと

笑った。まー、とにかく入社、おめでとうとビールで乾杯した。

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