第3話空に輝く時間より

 喫茶店を出た帰り道、私は今の状況必死に理解しようとしてた、開き直ってるけどそれでも、不自然な点が多すぎる。 昨晩ラーメン屋を出てから襲われた違和感、家に着いてから寝るまでの時間、上司にした記憶がない電話、この3つが解決すればすべてが解決するのではないかと思ってる。いや解決しなければいけないのだ。解決策は何もない。変わってしまえばそれが現実になってしまう、周りの人はこれが当たり前でしかないから自分もその当たり前しかないのだ。そうするとこの先どうすればいいのか、何も見当がつかない。家に着き小さなメモ帳に昨晩から今までの出来事をメモした。 解決策、当たり前の現実しかないこの状況をもとに戻す方法それを見つけたかった。

「昨晩、最寄り駅の一つ手前の駅で降りて、ラーメン屋に入った。そのあと公園まで歩った。家に帰り風呂に入った。布団に入り時間を確認した23時 寝た。」

これが昨晩の出来事。

「今日6時に起きた。支度して家を出た。7時15分、駅についた7時15分、上司に電話して昨晩電話で会社辞めると言っている。そのあと喫茶店に入り」と

こんなところかな、ここで何か気が付いた気がした。 「昨晩ラーメン屋に入った時間と公園にいた時間、家に着いた時間がわからない」そう時間確認なんて帰り道してないのだから、「ここに何かあるのか、ふむふむ」と推理ゲーム感覚で考えてしまっている。実際のところ推理ゲーム感覚でいなきゃ気がおかしくなりそうだった。開き直っても現実を受け止めるのはとても厳しいことだから。「今夜もう一度アノラーメン屋行くか何かわかるかもしれない」そう独り言を言っていた。テレビをつけてみた。よくある昼間のニュース番組が放送されてた。何も変わらずのニュース番組、主婦の間で話題のニュースや通販の紹介等の番組、平日に昼間にふと目に入る番組、この番組では何もわからない、現実のニュースを見てるだけで何も不自然なところは、ない。いや自分だけ別世界に来てるのかもしれないしこの世界が現実で昨日までの世界が偽物かもしれない。そんなことを思いながらテレビを見ていた。気が付いたお昼時、この状況でも腹は減る。家にはカップ麺しかなかった。一人暮らしほとんど外で済ませるため家にはほとんど食品は置いてなかった。カップ麺を食べながら、「今日の夜もラーメン食べることになるんだよなー」とブツブツ言ってた、嫌いじゃないからいいが、体には悪そうだ。テレビで昼ドラが始まった、「相変わらずのドロドロした展開だな」と思いながら見ていた。仕事どうしようとは頭になかった。この推理ゲームみたいな状況が終わればまた元の会社に戻れると信じてたから。夕方になり日が落ちてきた。散歩しながら昨晩のラーメン屋に行くことにした。家を出てあるってると子供が遊んでる声が聞こえた、「周りは平和だなー」と思った。でもそれが落ち着いてしまう私がいた。日が落ちて寒くなってきた「最近一気に冷えてきたな」と思った。昨晩も寒かったよな。思いながら公園を歩って隣町に来た。駅前の小さな商店街の一角に昨晩行ったラーメン屋がある。・・・

商店街に入ってから何か違和感があった、人が多いのだ、そして閉まってる店がない。昨晩の時間のせいかもしれないが、いやいやそもそもここまで店がなかったぞ。一度小さな商店街をでて駅に向かった。「間違いない昨日来た商店街だ」でも店の数も雰囲気も全く違う、どうなってるんだ。混乱した、この状況で混乱しないほうがむしろ変なのかもしれない。空を見上げた、綺麗な夕焼けだ。もう一度変わってしまった小さな商店街に行った、店は、八百屋から魚屋、喫茶店、美容院、とてもいっぱいあった。ここまであると小さな商店街では、なくなる立派な現役の商店街だ。近くに中規模のスーパーがあるのにここまで賑やかになる商店街は珍しいかもしれない。目的の一角のラーメン屋に向かって歩き思ってた。そのラーメン屋の場所に来た。何も無かった。ラーメン屋どころかそこは商店街の一角のちょっとした公園だった。隣にあるのは魚屋だった。冷静でいられるはずもなく、隣の魚屋の店主らしき人に来てみた。

「あの、昨晩まで隣にあったラーメン屋はどこに移転しました?」

魚屋の店主は答えた「ラーメン屋?昨晩までってあそこにはラーメン屋なんてそもそもなかったよ、この商店街ができてから、ずっと公園だよ」と答えた

状況が呑み込めない、魚屋店主が冗談を言ってるようにも思えない。それに一夜にして店が壊せるとも思えない。

「この商店街にラーメン屋ってありますか?」私は質問した。

「この商店街にそもそもラーメン屋はないよ」

これはとんでもないことになった、いやそんな言葉で表せなかった、人間は予定が狂うと混乱する、予定ではラーメン屋でいろいろ聞こうとしてたしヒントがあると思ってた。だが、そのものが無くなってる。魚屋の店主は不思議そうな顔で私を見てた、私はこの状況で混乱してる顔が青ざめた感じがした「あんた一体どうしたんだい?大丈夫か?」だが、その言葉にすら反応できずに私は魚屋から出た。これからどうしようかと思いながら商店街を出て、駅に向かった、ここで先ほど気が付かなかったことがあった。中規模スーパーが無かった。確かに昨日までは商店街の隣にあったのに、こうなると混乱どころか私が崩れていくのがはっきりわかった。

時間は18時空は変わらずに星が輝く、時間とは何かを忘れさせる輝きだった。

私は食欲すらなくなり、歩きすらも起きずに電車に乗り帰宅した。

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