第11話:地中海へナポリ経由マルセイユへ

 エジプトのポートサイドから、4日かけてイタリアのナポリ港へ到着し、

馬車で、登山電車の停留所に行き電車に乗り換えたが、電車は急カーブを徐々

に昇って行き、昇るにつれ、景色が変化していき、晴れ渡り雲1つない晴天と

なった。終点が近くなると急勾配になり、緊張してきた。頂上に近づくと、

強烈な硫化水素の臭いが鼻をついたが、何とか、ベスビアス火山の頂上にたどり

着いた。頂上駅はベスビアス火山の一番外側で、煙だけしか見えなかった。

 降りて、歩き出すと立ちこめる煙と泥がかたまったいろんな形の火山岩が

ころがる山道を5分くらい、歩いて行くと、細道の橋に出たが、その時、

観光客が、あーと、大きな声を上げ、自分の目を疑った。その後、目の前に

ベスビアスの新噴火口を一目で見渡せる景色が飛び込んできた。片方は

切り立った断崖絶壁で、もう片方は溶岩が煮えたぎった巨大な火口、

数分おきに地響きをあげて、鳴り響く、はらわたを揺さぶるぶすごい音、

その後に火柱が上がり、炎と噴煙を激しくを噴出する、大自然の猛り狂う

様な音を聞き、観光客一同、ただ、わーという大声を連呼した。


 こう言う自然の壮大な営みを見ていると、我々人間のいかに無力たるか

身にしみた。この風景を見ていると神、仏という、自然の絶大なる力を感じ

ざるを得なかった。その後、ポンペイの町へ向かったが、現在も整然

とした町並みで、昔、焼き尽くされて、全住民がなくなったにもかかわらず

、性懲りもなく、普通の生活を営んでいるのが不思議な気がした。中腹の

レストランでスパゲッティの昼食をいただいたが、チーズがうまいのには

感動した。


 食後、日本でも優目な言葉「マカロニ:の語源となったマカロニー社を

訪ねて、工場見学を下が、マカロニとは、日本で言う所の米のような主食

であり、大量に、この工場で生産されているようだった。帰りの車の中でも

ベスビアスの噴煙が立ち上るのが見えて、恐怖を覚えた。その晩は、疲れた

せいか、夕食後、すぐに床についてしまった。


 翌朝、あと1日で目的地、フランス、マルセイユ港に入港するので興奮して

きた。下船の支度を早めに、開始し、大きなカバンに、忘れ物に気ををつけ

確認しながら荷物を詰め込んだ。荷造りを終え、甲板を散歩し、昼食をとり、

長旅で知り合った、仲間と旅の最終目的地が近いことを喜んだ。その後、

今までの旅の話題に着いて、長々と話をするうちに、夕方になり、自分の船室

に戻り、もう一度、安田亀吉は、同室の衣子と勝一、勝二に荷物の再点検をさせ

、忘れ物のない事を再確認させた。風呂には行り、夕食を済ませ、寝床に入った

が、明日のマルセイユ到着に心がはやり、なかなか寝れなかった。やがて12時

過ぎにうつらうつらしていると、夜が少しずつ明けてきてた。やはり、1月の

朝は寒い。その後、1919年1月11日の昼頃にマルセイユ港に到着し、

下船手続きを取り、30日の長旅も終了した。港に降りたら、主要なホテルを

聞いていたので、その中でMSホテルに電話し、迎えを頼み、4人で入った。

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