第2話 消しゴムと私と姉妹

子供の頃から使っている文房具の一つに、消しゴムがある。

小学生の頃は、可愛い消しゴムやパロディ消しゴムをお小遣いで買ったり、母親が何かの景品で貰ったものを集めていた。

小学生高学年頃には、消しカスがまとまるタイプのものを友人に教えてもらい、それからはずっとそのタイプの消しゴムを使っていた。

社会人になり、消しゴムを使うことはほぼなくなった。

私が働いていた職場では、ボールペンしか使うことがなかったからだ。


それから時間が流れ、結婚して子供が産まれた。長女が幼稚園に入園したとき、久々に消しゴムが必要となって購入することになった。


母親となって初めて経験する幼稚園。一番最初に驚いたのは、書く書類の多さ。

個人情報や健康状態などさまざまなことを書かなければいけない。書類によっては書き直しができるように鉛筆で書くように指定されている。


このときに購入した消しゴムは、消し心地にこだわったものだった。

エアが入ったその消しゴムは、子供の頃使っていた消しゴムと違って軽い力で消すことができる。なんという心地よさ。


けれど、その消しゴムも今では2軍。

外で消しゴムを使うことが増えた私は、持ち歩きに便利な修正テープと一体になっているタイプの消しゴムに乗り換えてしまった。

2軍となった現在は、我が家の姉妹の宿題を見るときに活躍している。


姉妹が小学生になると、消しゴムは必需品。

学校に持っていく筆箱にも、もちろん消しゴムが入っている……はずだ。


長女は高学年になってから、自分のペンケースを使って宿題や絵を描く。一応大事に消しゴムも使っている。

しかし、小学生になったばかりの頃は、自宅に置いてある予備の鉛筆や消しゴムを好んで使っていた。多分、ランドセルの中から筆箱を出すのすら面倒くさいと思っていたのだろう。


そして、その姿をずっと傍で見てきた次女。学校用のペンケースを出して宿題をすることはない。

あるとき小学校で個人懇談があり、次女の机をのぞかせてもらったことがある。

机の中にはなぜかペンケースがそのまま置いてあり、その中身を見たら……


すり減った芯の鉛筆が2,3本と赤鉛筆が1本のみ。消しゴムも定規も入っていない。

担任の先生と二人あ然とした。

次女は一体、この鉛筆2,3本でどうやって授業を受けているのだろう。


こんなこともあった。

ある年実家に帰省した際、私が子供の頃に集めていた消しゴムを姉妹が見つけた。

子供の頃の私は、集めた消しゴムを使うことなくコレクションしていたのだ。

今でも十分使える代物だったので、子供たちは欲しがった。可愛いのも、面白そうなのも全部を欲しがった。

私がもう使うことはない。いいよ、あなたたちが大事に使ってくれるならあげるよ。


けれど、その消しゴムたちは、もう1つもない。

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