第2話 『つまんねぇよ』



 私と陽向は一旦家に帰ってから、家族合同でご飯を食べようということになった。

 そして親同士の計らいで、スーパーに私と陽向でお使いに来ているところだ。


 ちなみに今日はちらし寿司と唐揚げを作るらしい。

 美味しそう……じゅるり……



いくら・・・はどこだ?いくら・・・探しても見つからないんだが……」


「……えーっと……あっちの方だよ」


 この少し大きなスーパーも最近改装されたばかりなので、陽向は場所が分からないみたいだ。

 なんかしょうもないこと言ってるように聞こえたけど、気のせいだろう。うん。


「そうか……お、あったぞ」


 私が指差した方向に二人で歩いて行くと、早速いくらを見つけた陽向が吟味しながら言う。


いくら・・・なんでもいくら・・・が売ってないわけがないくら・・・い分かってはいたぞ」


「……あぁ……うん……」


 ……なんでそんな物欲しそうな顔でチラチラと見てくるの?

 もしかして、この居た堪れないような恥ずかしい気持ちを感じてるのは私だけなの?

 ていうかこいつ、こんなしょうもない男だったっけ……?


 ……はっ!い、いけない!私ったら陽向にそんなこと思って!

 しかもきっと今私、ゴミを見るような目で陽向のこと見てた……!

 ダメよ!そんなことしたら嫌われちゃう!


「美咲」


「なぁに?」


 よし!ここで思いっきり可愛らしく、本気の笑顔を見せてやったぜ!

 これで挽回出来たはず……!ナイスよ、私!


「このいくら・・・いくら・・・だ?」


 ……また言ったよ。しかもめっちゃニヤニヤしてるじゃん。

 もういいや。顔、めちゃくちゃ死んでるだろうけど。


「……1529円でーす。そこに書いてありますよー」



 次に私たちは鶏肉を見に来た。

 陽向がすっごいしょんぼりしてるけど、理由がしょうもなさ過ぎるのでなにも言いません。はい。


「鶏肉はもも肉でいいのか?」


「うん。うちはいつももも肉よ」


「……この鶏肉・・とりにく・・・・いな……」


「一々笑いを取りにく・・・・んな!」


「おぉ……」


 感動されちゃったよね。

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