四、悪魔に問われたる海神の物語
私の見た事もその『アルツェフィア史記』の記述とほぼ変わりない。
私は聖戦当時、師である聖人シャルティア卿の傍で戦った。とは言うものの、
ああ。
だが、おかしいとは思わないか?聖人シャルティア卿は徳が高く、常に後光が差していた。普通は見失うはずがない。だいたい神が相手でもない戦に神が参戦して、鎮圧するのに一ヶ月もかかるなんて……変だ。
聖人シャルティア卿を誰が殺したかなんてわからない。普通に考えるなら氷鬼国だろうな。ああ、お前の言う通り、神を殺すなんて所業…人間には難しいからさ。
なに、聖人シャルティア卿を殺したのが太陽神ウラノスかもしれない?まさかそんなはずはあるまい。ウラノスは立派な兄弟子だ。この世の皆がそう思ってる。誰がそんな酷い事を言ったのだ、許せんな。
理由あってのことだろうが…もう、元には戻らんのだろうな。三番弟子の私がもっとしっかりしていれば兄弟子たちはあんな風にはならなかったのかもしれんが……。
葛城竜殿下は聖人シャルティア卿の婚約者だ。兄弟子たちが手に入れて良い者ではない。二柱とも、わかっているはずなのにな…。
宮雲雀扇弥?あの人間の女がどうした。指輪?そんな物知らんな。見てもいない。馬鹿な話はよせ。聖人シャルティア卿があの葛城竜殿下を放って人間の女に恋などなさるはずがない。葛城竜殿下より優れた生けるものがこの世に存在するものか。お前もわかっているだろう?
だが…聖人シャルティア卿が毎夜、宮雲雀扇弥に会っていたのは事実だ。だからといって、聖人シャルティア卿が宮雲雀扇弥とそのような関係であったという確証はない。私としても信じたくはないな。
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