シェアハウスですが女の子を拾いました。②
× × × ×
「
「はい…」
新しくなった教室と、新しくなったクラスメイト達。そんな新鮮な空気が作り出した
それもそのはず、俺の名前が動詞だからだ。
別段今までは気にしていなかったけれど、高校に入学して日を重ねていく毎に段々この名前を嫌うようになってしまった。
親から授けてもらった名前。親を責める俺には、こんなちっぽけな悩みが大きな心残りとなっている。
「かなうって…っぶ」「くすくす」「変ね…」「てか誰だよあいつ」「知らないわよ」
これだから学校には行きたくなかったのだ。友達がいない生活は今に始まったことじゃないし正直慣れている。しかし、こうやって名前一つで悪目立ちすることはあまり好きではない。
こいつら新クラスで俺をキッカケに仲良くなってんじゃねーよ。
「
「はい」
「今日からよろしくね」
「お、おう…」
隣の席に座るその子の名は
ちなみに、この学校の校則で髪を染めることは基本的に禁止されている。しかし、室町明音と他3人は例外だ。
4人組女子高生バンドの【KArI《カール》】のボーカル兼ベースをこなし、高校入学時から活動を始め、それから一年で最近は雑誌で取り上げられたりと、少しずつ室町は才能を
そんな室町、いや、KArlのメンバー全員を“仕事”という
普段男子と話さない室町が、急に俺みたいなぼっちに話しかけるものだから、周りの生徒達の衝撃は大きかったらしく、目を見合ったり何かボソボソと話し合ったりと、微妙に教室が
俺自身も室町の行動に多少は驚かされたが、実は予想していたことだった。
「同じクラスとか初めてだね」
「そうだな」
少し顔を赤くして室町はニコッと微笑み、その表情に少しだけ俺は
しかし、この程度のことでは引っかからない。
室町とは小・中・高と同じ学校でそれなりに顔見知りである。だから今の言葉も笑顔もきっと社交辞令に決まっている。引っかからないよ!ハニトラなんかには!
実際に何人もの男が告白しているのだから、それなりに
ちなみに話したのは今日が初めてです。
はい。めっちゃ嬉しいです。
「実は今日、
クラス全員の名を読み上げたあとに、担任はそう言った。
よく見ると、1番後ろの席が空いている。
華宮緋夏…聞いたことがあるような名前だけれど、顔などは全く浮かばない。
でもどこかで…やっぱ思い出せん。
周りの生徒達は、担任の言葉を聞くなり何だか
うるさくなったり静かになったり
まあ、
無遅刻無欠席でも“
「2年生は大切な時期だ。それぞれ将来のことを考えるように。それでは1年間よろしくな」
生徒名簿を閉じて、担任が全員にそう呼びかけた。
将来のこと。そんな
俺は、人知れず焦りを感じた。
将来…それは俺に約束されたことなのか。———間違いなく否である。
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