カメオと不思議な扉

 こんにちは。

 良いお天気だね。お散歩かい? でも、いつもより元気がないようだけど……。

「……キュイ……」

 暑い? 確かに堤防を走る体育の授業の学生達も赤い顔をして辛そうだ。

「キュイ!」

 君が河原に向かって降りる。そこにあるのは『季節の扉』。出して手入れしていた『夏の扉』だ。

「キュイ!」

 しまった! 君の言うとおり扉が開いている! それで今日はこの辺が夏の気温になっていたのか!

 慌てて扉を閉めて手を振る。五月の薫風を呼ぶ。

「……キュイ」

 ごめん、ごめん。学生達にも悪いことをしたな。

 扉に手を入れ、入道雲を少し千切り、君の上に浮かべる。

 お詫びに日傘の代わりにこれを。でも夕方になると夕立が降るから気をつけてね。

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