カメオと美味しい扉

 おはよう。

 今日は朝からお父さんとお散歩かい?

 駅前の商店街は店が開き始めている。

 砂糖の甘い匂いが……。君の目が自動ドアに釘付けになる。

 ショーケースに和菓子。この季節ならではの柏餅が並んでいるね。

「キュイ!」

 君の声に気が付いたお父さんが店の前を足早に通り過ぎようとする。しかし、ここで引く君ではない。ポロシャツのポケットから出て肩によじ登り、耳元で……。

「キュイ!!」

 お父さんが耳を押さえ、やれやれと息をついて

「待っていろ」

 君を降ろして店に入る。

「いらっしゃいませ」

「キュイ!」

 君は嬉しそうに鳴いた。


「美味しそうな柏餅。ああ、カメオに……だから、あの通りをカメオを連れて歩くのは危険だって言ったでしょ」

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