カメオちぐら

「キュイ!」

 テーブルの上に大きな苺大福が鎮座している。

「……なんだ、これ?」

「……カメオちぐら……」

 『猫ちぐら』、民芸工芸品の猫の寝床をSNSで見て、母さんが布でカメオ用に作ったようだ。

「どう見ても、口を開けた大福だな」

「カメオもそう思ったらしくて……」

 出来たちぐらを見た瞬間、苺に変わって入ったらしい。

 母さんは肩を落としているが、これから夏はマスカット、秋は栗、冬はミカンに変わって、これを装うカメオを想像すると涎……いや、笑みがこぼれる。

「これで良いじゃないか? カメオも気に入っているし」

「……そう?」

 こづかいは四季折々の大福に化けていきそうだが。

「カメオ、買い物に行くか?」

「キュイ!」

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