あやめ

「キュイっ!」

 今日もカメオがあやめになりきろうとしている。

「カメオでも、なりきれないものってあるのね……」

 花の模様が複雑なせいか中々難しいらしい。

「キュイ……」



「キュイっ!」

「あら、綺麗! そっくりだわ。でも……」

 ようやくカメオがあやめになれたときには花は枯れていて。

「キュイ……」

 お父さんが落ち込むカメオを緑の葉だけになったあやめの中にそっと置く。

「ああ、綺麗だ。また花が咲いたみたいだな」

 周囲を見回し、お父さんの顔を見上げて

「キュイ」

 カメオが目を閉じ小さく鳴いた。

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