水まんじゅう

 今日は母さんは朝から忙しい。

 スマホで連絡を取ったかと思えば、バタバタと用事で出掛ける。

「お父さん、お昼はカメオと二人で食べて」

 そのせいで、さっきから水まんじゅうになっているのに褒めてもらえないカメオはおかんむりだ。

「諦めて戻った方が良いぞ」

「キュイっ!」



「はぁ……やっと終わった。あの子いつも急に頼み事するから……」

 ようやく落ち着いて座った母さんの前にカメオがにじり寄る。気付いて欲しい。でも、自分から声を掛けるのはイヤ。

 少しずつ尻尾を伸ばし……とうとう、その先の色を戻して……。

「あら? 美味しいそうな水まんじゅう。ヤダ、カメオじゃない」

「キュイっ!」

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