ポットのフチカメさん

 帰宅して台所に入った俺は、テイーポットの縁にぶら下がっているカメオを見つけた。

「これのマネをしているの」

 母さんが笑いながらコップを指す。

 そこには縁に黒い猫がぶら下がっていた。

「ふち……なんとかってやつか?」

「そう綾花のお土産。可愛い、可愛いって言っていたら、カメオがスネちゃって」

 そこで自分も母さんに『可愛い』と言って貰おうと、コップ……では小さいので、綾花が使っていたティーポットの縁にぶら下がっているらしい。

 疲れないのか? 覗くと、ポットには足場に茶こしの金網が入れてあり、その中にカメオ用のクッションと毛布が敷かれている。

「愛されているな」

 小さな頭を撫でる。

「キュイ」

 カメオが誇らしげに鳴いた。

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