夏・蝉

「キューイ キュイキュイ キュイキュイ キュー」

 今日も暑い中、庭のひまわりの茎にしがみついてカメオが鳴いている。

「ん? これなんだ?」

 お父さんの声に、私は顔を出した。

「何?」

「カメオが背中に何か着けている」

 思わず苦笑する。

「ああ、それ私が布で作ったセミの羽なの」

 カメオは喜んでくれたけどヨレヨレで、我ながら不格好な羽だ。

「今度、アートフラワーを作っている奥さんに綺麗な作り方を習ってくる」



「キューイ キュイキュイ キュイキュイ キュー」

 今日も、カメオが鳴いている。

「お茶、ここに置くわよ」

 氷を入れた、ストロー付マグカップを置いて、私は気付いた

 カメオの背中に、綺麗な半透明の羽が付いている。

 ワイヤーの枠で、布をピンと伸ばした本格的な羽だ。

「お父さんね」

 そういえば、昨夜、遅くまで起きて何かをしていた。

「本当に、お父さんはカメオに甘いんだから……」

 夏の庭に、セミに混じって、カメオの声が元気に響いた。

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