第88話  語学最強の国はスイスなのだという理由

実はオランダ人とベルギー人、どちらが語学の天才なのか比較して「ベルギー人の勝ちだろうと」と考察していたら、スイス在住の方から非常に貴重な情報をいただきました。


語学力が最強の国は、本当はスイスだということでした!


だいたいスイスには4カ国語公用語があるので、ドイツ語、フランス語、イタリア語、英語(公用語の最後の一つは英語ではなくロマンシュ語ですが)と普通に喋れる人が多い上、移民の国でもあるので、それに両親がポルトガルとかスペイン、アラブ語圏などの言葉が加わるそうです。


確かにスイス人はスイスドイツ語を普段使っていても他に標準ドイツ語も勉強しているわけで、フランス語もそうなのかもしれませんが、そう考えると最初から自分が使っている言葉とは微妙に違う言語も同時に勉強しなければならず(言語的には同じドイツ語とフランス語ではありますが)、言語習得の土俵がそもそも広いので、それ以外の多言語勉強もしやすい環境なのかもしれません。


また国全体で皆がそのように生活しているのなら、自然と語学が強い国民になっていくということは間違いないでしょう。




そうしましたら、また違うスイス在住の方よりメッセージをいただきまして、その方はやはり英語のみならず、フランス語、ドイツ語を使ってお仕事をなさっているそうで、そう言われるとなるほど、スイスには言葉が堪能な方が大変多いように思えます。



ベルギーの公用語は3カ国語、一方スイスは4カ国語ということで、この時点でもスイスが勝っている以上、スイス人が最強の語学者だということは間違いないという可能性が大変高いと納得のメッセージでした。



…ということで、やはり世界最強の語学者はベルギー人ではなく、スイス人であると言っても差し支えないと思います。



また、欧州の小国ルクセンブルグとリヒテンシュタイン公国は周り中を大国に挟まれて語学堪能なのは絶対間違いないでしょうから、スイスと同じくらい言語能力に優れているかもしれないです。でもルクセンブルグの公用語は3カ国語、リヒテンシュタイン公国の公用語はドイツ語だけ、という観点から見ると、やはり公用語4カ国語が国内にあるスイス人というのは"最強"と言って良いのではないかと推測されます。



ただしルクセンブルグはドイツ語、フランス語、ルクセンブルグ語が公用語とは言え、絶対英語は必須でしょうからほぼ4カ国語、ですがスイスの公用語はドイツ語、フランス語、イタリア語、ロマンシュ語でここもやはり英語は必須でしょうから実質的には5カ国語公用語があると言っても良いくらいかもしれません。


ですがそう考えるとオランダや北欧も実際は英語を入れて2カ国語の公用語、ベルギーだって英語入れたら4カ国語だろう、とか、じゃあ東欧ならロシア語もなんならドイト語だって入るだろうとか、まあ色々な意見がでてきてしまいそうなので、ここはもちろん正式な公用語ということだけでの比較ですが。


でも万が一、公式に4カ国語以上の公用語がある国がもし他にもあるとご存じの方がいらっしゃいましたら教えていただけると助かります!



ところで、実はこの公用語が2カ国語以上ある国の国民は語学が堪能になるというのは、脳科学的にも間違いないことのようです。


私のある友人夫婦はイギリス人なのですが、実はここのご主人がドイツ国内では大変権威ある脳の研究者なのです。


それで一度みんなで晩餐会をしているときに彼が教えてくれたのですが、7歳までに第2外国語を使用しているかどうかで、人間の脳の形態は全く違うものになってしまうのだそうです。


2ヶ国語を駆使する環境にいる子供達は脳の中に2つの言語の「引き出し」というのができるのだそうですが、1つの言語しか使用していない場合は、2つ目の言語の部屋は形成されず、その場合、脳の中に言語の「引き出し」は一生1つしかないまま終わるのだとか。



この2つ目の「引き出し」が何のために必要かと言えば、例えば第3、第4の言語はこの2つ目の「引き出し」にはスルスルと入っていくのだそうで、ここには結構詰め込むことも可能なのだそうですが、この「引き出し」が1つしかない場合は母国語が占領していて、2つ目以降の言語が入る隙間が大変少ないため、困難と感じるのだそうです。


しかもこの「引き出し」は7歳までしか形成されないため、13歳位からどんなに頑張っても、この「引き出し」はないままで、そうすると2つ目の「引き出し」がある人よりも一層の努力をしないと外国語を習得できないということになります。


そういうわけで、バイリンガルに育ったお子さん達も本来はこの「引き出し」が出来ているはずで、3つ目、4つ目の言葉の習得もそれほど大変ではなくなるのだ、と彼は説明していました。


うちのベルギー育ちのドイツ人主人が欧州語とは無関係の日本語も簡単に上手になったのは、やはりこの幼稚園時代にはドイツ語、フランマン語、フランス語を使っていたということで、脳の中の「引き出し」の用意が万端だったせいなのかもしれないですね。



いずれにしても、どの言語も下手っぴな私は、実際他の人の話から色々推測せざるを得ず、そういうわけで間違いがあるかもしれませんが、この権威ある脳科学者の話はまず100%本当だと思いますので、今回言語学習についての最終的なまとめとさせていただきます!




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