第90話 今日の仕事はホテルのチェックイン

今日は仕事へ行ってきました。


以前にも書いたかも知れませんが、1年と少し前から、近所の学生寮とホテル(オーナーはホテル1軒と学生寮3軒を持っているため)の事務で働き始めたのですが、コロナのせいで4月から一旦解雇になったものの、夏くらいからまたたまに仕事へ行けるようになったのです。


ですが、コロナ禍で事務の仕事は全くなくなり、今私が行くのはお客さんが着いた時に鍵を渡したり、ホテルの簡単な説明をしたり、支払いをしてもらったり、というフロントの仕事のみで、これは1回行っても1時間もかからない仕事です。

でもとても簡単な仕事で、家からも車で13分くらいなので、もし毎日あればたった1時間の仕事でも何の文句もないのですが、現在コロナのせいで週に1~2回程しかなくて、できれば本来していた事務の仕事へ戻らせて欲しいのですが、これもコロナのせいでホテルは人手もあまり必要ではなくなってしまったのです。


そもそもそこは1年半くらい前までは、学生寮が3軒しかなかったそうで、2019年の秋にホテルを増やした時に急遽人手が必要になり、そこの実質上の責任者だった知り合いの学生君が突然10月に電話をかけてきて、事務として手伝いへ行くことになりました。その学生のK君がもともと私達夫婦の5年来の知り合いで、うちで三男の家庭教師をしてもらっていたこともあるのですが、長年知り合いだった私に白羽の矢が当たったようでした。


それで11月くらいから仕事へ行くようになり、1月から新しい同僚も来て、最初は彼女と2人で分け合って仕事をしていたのですが、4月からは彼女が残り、私は一旦解雇になってしまったのでした。


…と、いうのも当時私は旅行ガイドの仕事もしていて2020年は結構興味深い仕事も入っていましたし、自分にとってメインはどう転んでも旅行業だったので、事務は最初から自分はサブで、メインはそのNさんにして下さい、と、K君にもNさんにも宣言していたのです。

私は旅行業が忙しくなると2週間くらいは仕事へも来られないかもしれないし、またその上、Nさんはこの20年事務職を専門にしてきた人であり、ドイツ人でもあり、彼女がメインの立場であるべきと感じてもいましたしね。


また2020年は旅行の仕事が忙しくなるはずだったその頃の私にとって、メインのNさんがいて、自分は好きな時間に自分に割り当てられた書類を整理しに行けば良いという事務の仕事は、正直願ったり叶ったりの仕事だったんです。


1月からの3ヶ月は、好きな時間を選べたことからNさんとも違う勤務時間を選び、オフィスでは一人で書類を作ったり、コーヒーをゆっくり飲んだり(お菓子を食べたり)、たまに直接のボスのK君が来ることはあっても、毎日とても平和で、なんて良い仕事にK君は声をかけてくれたんだろう、と、本当に幸せな頃でしたね。


それが3月終わりにコロナで一変し、私は取り敢えず一時お休みに、メインのNさんだけが残ることになり、その時はショックを受けましたが、しかし私自身も、4月からは自分にとってメインである旅行の仕事の方へ主に行くつもりだったわけですから、仕方ないな、とも思っていたわけなんです。

それで8月にいいかげん事務所の鍵を返しに行こうと思ってK君に久しぶりに連絡したら、たまにお客さんのチョックインの仕事に来られないか、と再び提案され、声がかかった時だけ行けば良いという条件でこの半年弱また働き始めました。


それで今日来たお客さんはなんとフランス人でした!


そもそもドイツでは現在ビジネス以外でのホテル滞在は許されていなくて、ほとんどのお客さんはビジネスで来る方達なのですが、フランスからというのはこの1年2ヶ月の間では初めてでした。

私はだいたい本来は仏文出身ですから、とっても嬉しかったですね。

まあ、今日は久しぶりに知らない人とフランス語でお話できました。

この知らない人との会話というのは非常に楽ちんなんですよね、だって初対面で話すことなんていつも同じに決まってますからね、そのくらいのフランス語であればこんなに錆びついた私のフランス語であってもボロがでないままに終われるのです。

お客さんはお二人でしたが、ドイツにてフランス語で応対してもらえるとは思っていなかったようで、あちらも喜んでいました。


で、久しぶりに聞くとフランス語は良いですね。

私はフランス語の何が好きといって、知らない同士だと必ず

「ボンジュール、マダム」

「メルシー、マダム」とかいちいち「マダム」が付くところですね。

私も今回は相手はお客さんなので

「なんとかかんとか、ムッシュー」と最後に「ムッシュー」を頻発して話しましたが、なんとも快い響きの言葉です、Madame も Monsieur も。


そしたらそのリヨン出身のフランス人は漫画が大好きで、「Naruto」も「ONE PIECE」も全部見たとかで、「鬼滅の刃」さえ知ってました。

私と同じ年くらいに見えたんですが、実際はもう少し若かったのでしょうね。

それで、息子さん2人といつか必ずみんなで日本へ行こうと約束しているそうです。

その時はラーメンを食べるんだと、なんだか張り切って話してくれました。



私の方は、最近我が家ではフランスのコメディー映画を見ることが多かったので、そんな話も楽しかったです…だってこれはドイツ人とはほぼできない会話になります、いかんせんフランスコメディ-なんで。

ドイツ語で出ていてもフランスのコメディー映画ドイツ人が見ているとは限らないですからね。


…と、わずか30分くらいの仕事は、25分はどうでも良いおしゃべりに明け暮れ、途中K君も顔を出し、4人(お客さんは2名でした)でフランス語、英語、ドイツ語と入り乱れた楽しいおしゃべりタイムの数十分でした。


フランス人で驚きましたが、11月には日本の女性のお客様ということが一度あり、これには実際はもっと驚いたわけですが、お客様の方がびっくりしたでしょうね。


こんな田舎街のホテルへ来たら、そこに日本人スタッフがいたわけですから…。

あの時は正直お部屋に上がりこんでおしゃべりしたいくらいでしたね、お疲れだったようなのでもちろんそんなことはしませんでしたが…。


ま、こんな仕事ぶりなんで、遊んでいるのか仕事しているのかわからない感じの仕事で、お給料は1時間分しかもらえませんが、実際の業務時間は10分くらいなんで、文句も言えないですよね。


あえて言うなら、望みは仕事以外のお客様も増え、私の仕事が増えることでしょうか。


長くなりましたが、そういうわけで今回は私のプチ仕事の話でした!

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