第71話 ドイツ コロナ対策 助成金について

安倍首相の助成金について、多くの国民が大変失望したということを日本の報道で見たので、一応現在のドイツの様子を書かせてもらうことにした。

私は日本の状況はよくわからないので、今回は取り敢えずわかる範囲でのドイツの状況を書かせてもらおうと思う。



3月の終わりに、私がホテルと学生寮の事務職のミニジョブ(パ-トのようなもの)の仕事が無くなってしまったことはお伝えしたのだが、そこの事務の仕事はもう一人フルで働いているドイツ人の同僚がいるのだが、実は彼女はそのまま事務職員として継続して給料が貰える。


というのもドイツにはもともと

「Kurzarbeit Geld(短時間労働の給与)制度」という名前の労働者救済制度があったようで、今回のコロナにも適用される。


大企業なり中小企業なり、うちのような零細企業なり、とにかく今回のコロナの影響で仕事が減り収入が少なくなってしまう社員は最大12ヶ月間の間、60〜67%の短時間手当を受け取ることができる。


うちの事務では2ヶ月位は本当に月に10時間くらいの仕事しかないとしても、あるいは全くない月があったとしても彼女は州から今までの給与の60〜67%の短時間手当を受け取ることができるのだ。


なので私も、仕事へ行かなくても4月分まで貰うという約束をしてもらったが、4月分だけもらって終わるよりは継続して働きたかったので、私もその短時間労働の給与制度を使用できないか私のボスに聞いたのだが、私はミニジョブなのでそれは適用できないらしい。ショックではあったが、でもミニジョブは税金も失業保険もまるで払っていないので、それは逆に当然だろう。。


私は数年前もミニジョブではなくそれこそ彼女のようにほぼフルタイムで商品管理のアルバイトをしたことがあるが、ドイツの税金は本当に高くて、私は被扶養者(主婦)としてのランクになるので、主人以上に税金の比率が高くなる。

働いた分の45%くらいしか手取りにならない上、もう1つのメインの旅行業務と合わせるととんでもない税金を払うことになり、気持ち的には働いても支払いばかり、という気分になったものだ。


例えば、その年の教会税(ドイツでは教会に払う税金がある)だけでも1年間で850(約9万5千円)Euroを後から支払った記憶がある。


でもその代わりそのように働いて失業した場合は、失業後やはり最大2年間の失業手当を貰える。私は残念なことに11ヶ月しか働かなかったため貰えなかったのだが、やはり一緒に働いていた友人の話では7割くらいは手当として失業後に毎月振り込まれていたらしい。


また税金が高くても、ドイツは小学校から大学までは学費は無料であり、医療費も基本無料という大変良くできた保険システムなので、納得できるのだろう。

そんなわけで政治問題にはかなり厳しいドイツ人も税金の支払いについて文句を言っているのは聞いたことがない。


あと、今回コロナで店舗や事務所を借りている会社がその家賃を支払うことができなくても、あるいはアパ-トなどの貸家の家賃を支払うことができなくても、家主はその賃借人を3ヶ月は追い出せない、ということが3月中旬には決まっていた。

3ヶ月では短いのでは、と私でも思うので、もう少し長くなるかもしれないが、ただこの件で最近かなり問題になっているのが、あのAdidas やH&M などの大きな企業のことである。


コロナ危機に対応して、Adidas、H&Mなどの大手チェーン店は、家賃の支払いを一時停止したいと考えているそうだが、この企業が持っているたくさんの子会社も考えると大変な数の店舗になるのだそうだ。


家賃収入のない家主の援助も当然あるわけで、でもAdidas、H&Mなどの大手チェーン店が数ヶ月の家賃を払うことが本当にできないのかどうか、疑問視されているのだろう。


それからフリ-ランスに対してだが、担当相の

「危機の克服に芸術家は絶対に不可欠」という掛け声と共に、迅速な救済処置が取られ、音楽家、芸術家、語学講師、通訳・ガイドなどなど、様々な職種に支援金が配布されたのは前回も書いた通り。

3,000 Euro(約35万円)から5,000 Euro(59万円)を複雑な手続きなしに申請可能であり、申請はオンラインで簡単にでき、数日後にはお金が振り込まれるというシステムだ。

ただ今は今年の3月1日以前の状態を昨年の1月2月と比べたものを提出しないといけないのだが、4月以降の方が大幅に減少する人の方がほとんどだと思うので、これもそのうち変更するのではないかと思っている。


それからドイツ政府では、中小零細事業の事業オーナーや従業員、自営業者を救済するための500億ユーロ(約6兆円)、総額7500億ユーロ(約90兆円)の経済対策を取りまとめているとのことだった。

(でも金額的には日本のほうが大きいように記憶している)


ただドイツは本当に日頃から税金が高いので、このような非常事態に救済ができないなら国民は一体なんのために税金を払うのだ、と多分大暴動になることだろう。

またドイツでは賃金が高いのは日本に比べて正規採用が少なく、リスクの多い非正規採用のほうが多いとも聞いたことがある。


なので日本と簡単に比べることは、取り敢えず難しいのではないかと思われるがどうなのだろうか。


それでもとにかく、家族を抱えた零細企業の経営者、タクシ-の運転手さん、商店街のお店の経営者の皆さん、アルバイトで生計を立てている方達、日雇い労働の人達、

そして幼い子供を抱えてたった一人で頑張っているシングルマザ-などなどそんな弱い立場の人達を救える社会でありますように。


あるいは、いざとなれば国会議員の給料カット、とまではいかなくても、高給取りの国会議員のお給料を今回に限り、一律減らしてこの事態に備えるとかは無理なのだろうか。

「たとえばですね、私たち国会議員の収入には影響がありません」などと言っていたのを聞くと、なんだか今回の会見ではあまりにふさわしくない言動と感じ、ならば逆にそんな案は出ないのかとツッコミを入れたくなる。


安倍首相はお坊ちゃま育ちで下々の苦労は全くわからないと思うが、日本の未来のために今こそ頑張ってほしい。期待しています。


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