第53話  シャルルマーニュのこと 

昨日は近郊のア-ヘンへ行ってきた。

というのも、半年前に買った5つのミュ-ジアムをまわれるチケットが昨日で期限切れになると気づいたからだ。

半年前に購入した際は、歴史的市庁舎だけ見て、そして半年そのままなんとなくチケットを使用できずにいた。

と、いうのもその中の1つ「シャルルマーニュ・センター」はどうしてもゆっくり時間に余裕を持って見学したかったのだ。


2014年にこのミュ-ジアムができた時にも、家族で一度訪問したのだが、その年はシャルルマーニュが亡くなった1200年祭ということもあり、訪問客が多い年でこの「シャルルマーニュ・センター」もゆっくり見ることができなかった。

また子供達もそれほど興味もなさそうで、今度は絶対に一人で行こうと決めていたというのに、それから5年以上が過ぎてしまった。

いつでも行けると思う場所はどうしても後回しになってしまうことが多い。

今回もこの半年前のコンビチケットが期限切れになりそうでなければ、昨日無理やり行ったりしなかったことだろう。


……と、ここまで書いておいて今更なのだが、皆さんは゛シャルルマーニュ゛とは誰のことかご存知だろうか?

世界史の教科書には゛シャルルマーニュ゛あるいは゛カ-ル大帝゛という名前で載っているのだが、800年に現在のヨーロッパの広範囲を支配したフランク王国の大帝である。


フランス、ドイツ、イタリアなど、現在の欧州の心臓部を形作る国々の礎となった国々を含む西ヨ-ロッパ史最大のフランク王国を統一した「ヨーロッパの父」とも呼ばれているカール大帝(ここからはこの呼び名に統一する)は、そういうわけで、フランス語ではシャルルマーニュ(Charlemagne)、ドイツ語ではカール・デア・グローセ(Karl der Große)であり、また英語ではフランス語綴りを英語読みでシャーレメイン、または英訳してチャールズ・ザ・グレート(Charles the Great)、そしてイタリア語でカルロ・マーニョ(Carlo Magno)、ラテン語ではカロルス・マグヌス(Carolus Magnus)と各国言語でそれぞれ呼ばれていて、中でもフランス人、ドイツ人はカール大帝には愛着を感じ「我らの大帝」と思っているのだ。


例えばフランスという国はカール大帝のフランク王国という名前から派生した国の名前である。


ドイツ語  Fränkisches Reich

フランス語  Royaumes francs

英語  Frankish Empire

イタリア語  Regno franco

オランダ語  Frankische Rijk


こちらはそれぞれの言語のフランク王国の呼び名であるが、フランスという呼び名にとても近いとわかっていただけるだろうか。


そんなわけでフランス人にとっては「我が偉大なるシャルルマーニュ」ということで、カール大帝のお膝元の町アーヘンと言う名前にも、フランス語ではエクス・ラ・シャペル Aix-la-Chapelle という「礼拝堂の泉」という特別に綺麗な名前がついている。

ちなみにオランダ語名はアーケン Aken、ラテン語名はアクアエ・グランニ Aquae-Granni ということで、町の名前すら色々な言葉によって呼び名が違うということで、つまり昔から重要な町、あるいは有名な町だったということが想像できる。


そう、アーヘンはローマ時代には、戦いに疲れたローマ人達が体を休めた温泉地として有名な場所であり、2000年前ローマ人がイギリスへ渡るために通ったベルギカという道の通り道でもあったのだ。


この大昔から国際的だった町は今でも観光客がたくさんで、この町からオランダやベルギーまではほんの5~7kmくらいで、ドイツで一番西の町なのだ。

そしてここはなんといってもカール大帝の王宮だった大聖堂があるので、ヨ-ロッパ中から観光客がやってくるという観光地なのである。


次回はもう少し具体的にこのシャルルマーニュことカール大帝について書きたいと思う。

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