第51話 ドイツより ー Frohes neues Jahr!

Frohes neues Jahr!


新年あけまして、あめでとうございます!


…ということで、ここドイツの我が家でも2020年が無事に始まった。


ドイツの新年は日本とは違い、特別に教会のミサへ行くというようなこともなく(行きたい人はもちろん行くけれど、日本の神社のようにみんなで参拝という感じではない)、全てのお店は閉まり、それこそレストランやカフェなんかも開いていないので、家で大人しく過ごすというのが一般的であるかと思われる。

それにお祭り騒ぎをするのはドイツでは新年ではなくて、Silvester(ジルベスター)の大晦日なのである。多分これはドイツだけではなくて、欧米ではどこの国もそうだろう。


ただドイツでは何がすごいかと言うと、大晦日の打ち上げ花火がすごい。


パリでもブリュッセルでも、ロンドンでも打ち上げ花火は世界中どこの大都市でもすごいのだが、ドイツではベルリン、ハンブルグ、ミュンヘン、ケルンの大都市だけではなくて、一般家庭で上げる打ち上げ花火がすごいのである。


これはドイツ特有なのか、他の欧州諸国もそうなのか全くわからないのだが、最初の数年は村の色々な家から打ち上げ花火が上げられていて、びっくりしたものだ。

それがパ-ンと上がって終わりというのではなくて、10分以上は色々の形態の花火が空に咲き誇る仕掛け花火なのだ。


12時数分前から始まり、12時半くらいまではうちの村でも近所の人が上げている打ち上げ花火が見られるのである。

これはスーパーで普通に購入することが出来て、誰でも使用してOKということで、結構すごいな、と私なんかはびっくりした。


使い方を過ったら、大事故になるではないか。


でも多くのことが゛自己責任゛のお国柄なので、もし事故があってもご自分の責任でどうぞ、ということなのだろう。


なので大晦日の12時にはドイツでは子供達が小さい時は、日本の子供達も遊ぶ線香花火やねずみ花火を庭でさせたり、でも大抵は通りに出て近所の人達が道路に並べる花火を見て楽しむ。

うちの人口770人の村でも道路がもうもうと煙だらけになる。


クラッカ-、癇癪玉、爆竹はじめ、筒から火花を噴水のように吹き上げる大きさもまちまちの噴出花火、空には各家庭が打ち上げる仕掛け花火と、まるでその1時間くらいは通りも昼間のような明るさになるのだ。

うちの村より10倍くらいは大きい町の大晦日に行った時はその花火の数のすごさに圧倒されたものだ。大きい街なら夜中の2時くらいまでは花火があげられているのかもしれない。


しかし大きい花火になればなるほど値段も高額になり、日本円では2019年度の大晦日の花火の消費金額は2018年度と同様、ドイツ全土で160億円だったということだ。

10年まえの2009年では136億円くらいで、この20年間の統計によるとほぼ100億円以上の消費金額となっている。


ただ総人口830万人で計算すると花火は一人当たり年間192円くらいということか。

ちなみに2019年度のドイツのチョコレ-ト消費金額ははその50倍、一人当たり約9600円(ドイツ全国では8000億円)なので、そう考えるとやはり1年にたった1回ということでもあり、あまり大した金額ではないのようだが、仕掛け花火をする場合は5000円、1万円、2万円と支払うことになり、毎年頑張って近所の私達を楽しませてくれるご近所さん達には感謝感謝なのである。


また決まり事として、通常はこの12時に、ゼクト(ドイツのシャンペン)を飲み、家族皆で乾杯するのが普通である。

うちは21歳と18歳の長男・次男はもう数年は大晦日はうちで過ごしたためしがなく、若人達でパ-ティへ行っている。

15歳の時には2人とも大晦日の晩に家にはいなかったので、家族5人で12時に乾杯したのは一体いつのことだろう。


13歳の三男も昨年から友人宅へ泊まりに行くのが恒例になり、昨年も今年の大晦日も夫婦2人の大晦日で、何をするということもなく、一緒に歴史物の映画などを見て過ごした静かな大晦日であった。


義父が生きていた時には、大晦日と言えばブルュッセルやブル-ジュの美味しいレストランへ食べに連れて行ってもらった楽しい思い出があるが、子供達が生まれてからは高級レストランへ行くのはしんどく、またその後、子供達が皆家で大晦日を過ごしていた頃は、やはり美味しいものをベルギ-まで買い物へ行って家族で大ディナ-パ-ティなどもしていたが、今大晦日に夫婦二人で特別なことは何もしないという大晦日もストレスなしで、なんて楽なんだろうかと思ってしまった。


まだそれほど年でもないのに、こんな引退者のような大晦日を過ごしていて良いのかどうか…それは少しだけ心配になってしまうが、子供達がそれぞれ友達や仲間とパ-ティしながら過ごす大晦日は生涯良い思い出になるのだろうから、子供達が楽しいのが一番なのである。


…などと、自分は何もしない大晦日を正当化している私である。


皆さんにとっても、どうか今年もいい年になりますように…。


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