第47話 ドイツが誇るクリスマス・シ-ズン

ドイツでは冬はまず11月11日に聖マ-ティン祭というお祭りがあり、子供達が手作りランタンを持って、街や村を練り歩くという行事辺りから、「そろそろ冬の到来」という雰囲気が漂いはじめ、11月の終わりにクリスマス・マ-ケットが色々な街で開かれるのを皮切りに、

「ついに楽しいクリスマス!」と、クリスマスシーズンの幕開けとなる。


お店も街も、そしてうちのような小さな村でも、たくさんの家や教会の前、広場やお店屋さんにクリスマスの飾り付けがほどこされ、1年で一番華やかな季節と様変わりするのである。

「様変わりする」と書いたのはどういうことかと言えば、11月くらいからは朝も7時くらいまでは暗く、夕方も17時くらいには日も落ちてくるわけで、10月から11月にかけては冬の厳しさを感じ始める憂鬱な時期となってくるのだが、クリスマスが始まることによって、負の印象は全く完全に払拭されてしまうのである。

つい先日までの暗い雰囲気はどこへやら、そうなると誰もが楽しいクリスマスの時期を思い、夜の暗さや寒さまでが心躍るものに感じられてくるのだから不思議である。

これこそ、「ザ・クリスマス・マジック!」なわけだ。


12月に入ると、子供達はアドベントカレンダーというものを用意してもらい、12月1日から24日まで、中に入っているプレゼントをカレンダ-の日付が書かれているドアの中から取り出すという楽しいことも始まる。

ドイツのお菓子メ-カ-が10月末には売り出すのだが、薄い大きな箱にクリスマスらしい可愛い絵が描かれていて、その箱には24個のドアがついていて、ドアを開けると中にはチョコレ-トが入っているのが一般的だ。

うちは毎年子供達の3人分のカレンダ-を買うのもどうかと思い、木製のトラック型と汽車型のアドベントカレンダーを数年前に買い、毎日私がその中に何かしら小さいプレゼントを入れるようにしているのだが、大抵はお菓子を入れている。

なので11月の終わりには、小さいお菓子をたくさん買っておかなくてはならず、完成しているアドベントカレンダーを買ったほうが楽だったかも、と思うこともある。

12月は何かと忙しい月でもあり、まさしく゛光陰矢の如し゛の12月には毎日カレンダ-にお菓子を入れることも忘れそうな日もあるからだ。


それでアドベントカレンダーが始まる12月に入ってすぐの12月6日には、「聖ニコラウスの日」というのがあり、5日の晩靴下を枕元に置いて寝ると、6日の朝には何かプレゼントが入っている、という風習があり、子供達は楽しみにしているのでこの日も何か特別なものを用意しなければならない。

子供達が小さかった頃はなにかしら可愛いプレゼントを用意したものだが、最近はボディスプレーセットを枕元に置いておくか、あるいは少しばかりのお小遣いをその木製のアドベントカレンダーに入れるようにしている。

こちらの青少年は男の子でもボディスプレーなどを使うのが普通のようで、体臭もまだ何もない三男まで兄達を真似して、ボディスプレーを欲しがるので、これは結構3人共に喜んでくれる我が家の簡単プレゼントのひとつである。


そういうわけで、12月は大人もコンサ-トやパ-ティへ行くことも多くなるのだが、それはでも子供達も同じで、自分達の友達とクリスマス・マ-ケットへも出かけたりすることもあり、その際のお小遣いや、定番のアドベントカレンダーから聖ニコラウスの日の小さいプレゼント、そして24日の聖なるクリスマスイブには今度は多少は値の張るクリスマスプレゼントを用意しなければならず、3人も息子がいるうちのような家は1年で一番出費の多い月となる。


それでも色々な場所が煌びやかに飾られているのを見るのは、やはり心躍るので、財布の紐が普段は硬いドイツ人でもここ時期だけは、財布の紐も自然にゆるくなってしまうのも恒例のようで、それはドイツだけではなく、世界中どの家庭も同じことであろう。


クリスマスのこの時期を楽しく祝うことができる平和に心から感謝したい。





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