第31話 Maifest-五月祭りのパレ-ドと舞踏会 その2

それで面白いのが男の子達のパートナーであるお嬢さん達の選び方なのだが、人気のあるお嬢さんに是非自分のパートナーになってほしいという場合は実は大金を積まなければならない。


この五月祭りのカップル編成は3ヶ月前くらいのマイクラブの男の子達だけでの会合で決まる。

女の子のリストが読み上げられ、パートナーになって欲しい女の子にいくら払えるか申告するのだそうだ。

まるでオークションなのだが、そのお金は女の子の懐に入るわけではなく、マイクラブの収入となるのだとか。

お嬢さん達のドレス代は1着高いもので600Euro(約72,000円)くらいのものもあるそうで、「五月の女王様」の役職のお嬢さんは2着そろえることもある。

1200Euro(約144,000円)もかかる場合、パートナーの男子が払ってくれるお金で少しは収入になれば助かることだろうに、そういうことはないらしい。


しかしながら「五月の王様」はその代金を払う必要はなく、自分の好きなパートナーを指名することができ、お嬢さんの方にも異存がなければ選ばれたお嬢さんが「五月の女王様」になるわけだ。

そうゆうわけで一般的には「五月の伯爵」のパートナーを勤める「五月の姫君」が一番高額な女の子になるらしい。


そんなわけでうちの長男は今回「五月の伯爵」、ということはパートナーの「五月の姫君」に大金を払ったかと言えば、どういうことか親友の「五月の王様」がその大半のお金を払ってくれたのだそうだ。

というのも、この五月祭りの役職を、「五月の王様」である親友A君は、親友であるうちの息子とコンビでしたかったらしく、自分のパートナーLちゃんのお姉ちゃんであるKちゃんを是非うちの長男と組ませたかったのだという。

というのはもともとこの4人は幼馴染でもあり、普段から仲良くしているという理由もあって、

「是非4人でしよう!」という提案をしたのがA君、一方うちの長男はパレード参加は昔から興味がなく、まるでしたくなかったので、どうしてもこの希望を叶えたかったA君の支払いということで落ち着いたらしい。


うちの長男のパートナーKちゃんは300Euro(約36,000円)ということで、うちの息子はたったの100Euro(約12,000円)を払ったそうだ。

A君は大学へは行かずもう働いているし、家は親からもらってお金には困っていないとはいえ、今回のこの役職で約5000Euro(約60万円)は散財したらしい。

毎週の飲み会、舞踏会前の親しい人との小パ-ティ、会場での大パ-ティのテ-ブルのお花のデコレーションはじめ、ビ-ルなどは彼の招待である。


なんともはや、まだ若い22歳のA君には大きなお金なのでないかと思うのだけれど、両親は離婚して、お父さん側にいて、お父さんは現在ワ-クレスになっているので、彼がこのお金は一人で貯めて支払ったのに違いないと思う。


本当に偉いA君なのだが、この家は兄弟仲もすごく良くて昔から弟のK君が兄A君の近くに邪魔にならないように寄り添っている。

この大パーティにはお母さん方のおばあちゃんが杖をついて来ていたのだが、最後孫二人と写真を撮り、その際A君とK君の二人が左右両方からおばあちゃんを挟んで、おばあちゃんに二人で頬を寄せて写真を写していた場面がやはりこの日最高に美しい瞬間で、本当に見とれてしまった。

2人とも典型的ドイツ人、金髪の青い目の手足の長い素敵な男の子達なのである。

最後は離婚した両親も仲良く、この兄弟とおばあちゃんを囲んで写真をとっていた。

この両親にはもうそれぞれ新しいパートナーがいるものの、それぞれのパートナーのお二人はそれを遠目で眺めるにとどまっていた。


とにかく、そんなわけで大金のかかるこの役職だが、それでもしたい男の子達は結構毎年いるようだ。

この役職、それでも最年長で27歳くらいなのではないだろうか。

ドイツ人は男女共に20代後半には太ることが多いので、30歳ではドレスもスーツも美しく着ることができない、という問題がでてくるせいのなのかどうかは知らないけれど、これは一応若い人達がした方が見ている観客も目の保養になる。


20代はドイツ人の男女共に一番輝いている頃かもしれない。

毎年美しいパレードを見ることを楽しみにしている村の住民達なのだが、私も大好きな毎年楽しみな村祭りを今回は紹介させてもらった。




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