第32話 ドイツの手作り持参パーティーは海苔巻きで
今日は三男のクラスのお別れ会だった。
三男はギムナジウムの6年生、日本で言うとちょうど小学校6年生である。
ただドイツの小学校は4年生で終わり、ギムナジウムは5年生から始まる。
ドイツではギムナジウムは8年間で12年生が最上級生ということになる。
7年生になれば、こんな風に親と共に参加するお別れ会はなくなるので、今回のお別れ会は我が家にとっても本当に最後の、母親である私も参加しなければならない学校の行事であり、最後ならば、まぁ頑張って、ということで海苔巻きを作って持っていった。
私の海苔巻きだが、あまり日本風ではなくて、スモ-クサ-モン、きゅうり、マヨネ-ズ和えシ-チキンにサラダという4種類の具で作るのだが、このコンビネ-ションは最高の組み合わせと思う。
本当のお刺身は全く入っていないのに、なんだか妙に美味しい。
しゃりはほんのり甘めで、そしてここがポイントなのだが、海苔はきっちり巻かないで、ふわっと巻くのだ。
ふわっと巻くことによってしゃりが硬くならず、口当たりがほわっとした感じになるのが不思議なほど、口に入れるとつるんと入ってしまう。
するするっと、いくらでもお腹に入ってしまうのである。
長男、次男の友人は長年私の海苔巻きをお寿司と信じ、ほぼ全員私の海苔巻きファンばかりなので、レストランの海苔巻きを食べても美味しいと思わないらしい。
それもそのはず、最近ドイツにたくさんできているお寿司屋さんは、経営者も厨房の方も日本人は少ないのである。
お米をつぶさずに海苔で巻く、というのは、結構難しいのかもしれない。
特にレストランであれば、見栄えも大切、ということで、ふわふわなままの状態では、お客さんに出しにくい、ということもあるだろう。
…というか、そもそも私の海苔巻きは日本人の中でもかなりゆるく作っている、多分正統派からはかけ離れた海苔巻きに違いない。
先日は次男に
「友達がマミ(ドイツ語でお母さんの意味)のお寿司を是非買いたいと言ってるよ」と言い、長男も
「マミのお寿司は絶対売れると思う」と言ってくれたが、お寿司屋さんになるためには、こんないい加減な作り方は多分できないし、だいたい毎日お寿司を作る生活自体、こんなゆるい生活をしている私には到底できいそうにないので、残念ながらお店を出すとかは無理そうである。
それから一応誤解がないように言わせてもらうと、ドイツのお寿司屋さんで、時々美味しくないのは外国人経営のお寿司屋さんで、日本人経営のお寿司屋さんだとかなり良いネタを使うことがあり、日本のお寿司屋さんより美味しいと言われたことがある。
近郊の町デュッセルドルフの日本人経営のあるお寿司屋さんの中トロは、大トロ並みに美味しいと日本から1週間くらいの旅に来ていた知り合いが言っていた。
ご年配の裕福な美味しいものは散々食べ慣れているというご夫婦だったので、多分間違いないだろう。
そのご夫婦だけではなく、他の日本からの旅行者からもそのように聞いたことがある。
デュッセルドルフはオランダに近いので、オランダの海鮮を仕入れたり、北方の国から魚介を仕入れているせいなのだろう。
私もたまに近隣のオランダまでしゃけを買いに行くのだが、オランダで売られているしゃけは身がしっかりついていて、大きいサイズで食べがいがあり、かなり美味である。
イカやタコなんかも生で売っていて、たまに行くと美味しい魚介がたくさんあるオランダなのである。
今回、三男のクラスのお別れ会を書こうと思ったのだけれど、話がずれてなんだか寿司ネタになってしまった。
お別れ会自体は、かのナポレオンがうちの町に来た際に作らせたという城砦跡の大きな公園(巨大滑り台、遊具、池、森、ミニ動物園が併設されている)での開催で、天気も暑すぎも寒すぎもせず、子供達は思う存分遊んだ楽しいお別れ会だった。
7年生からは皆バラバラのクラスとなる。
私はお母さん達手作りのピザやウィンナーパン、ハンバーグ、野菜スティック、フルーツスティック、ブラウニーケーキなどに舌づつみを打ちつつ、クラスの他の父兄達とゆっくりと過ごした夕方であった。
ドイツの会合は手作りのもの持参パーティーが多いので、食べに行くのは本当に楽しいのである。
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