第23話 イ-スタ-には何をする?

金曜日からついにイ-スタ-休暇がはじまり、今日はついに復活祭である。


一般的にキリストが亡くなった日を 聖金曜日、復活祭の前夜を 聖土曜日といい、

そして本日の日曜日がついに復活祭で ゛イ-スタ-゛ (ドイツではOstern オースタン)であり、キリスト教徒においては1年でクリスマスと同じくらい、あるいはそれ以上に最も大切な祝日なのである。


この日は「春分の日の後の最初の満月の次の日曜日」と決められているため、毎年この祝日の日にちは変わり、そういうわけでそれに関連してカ-ニバルはじめ、キリスト昇天の日などの祝日は毎年違う日程となる。


またキリスト教のお祝いなのだが、当方教会である東ヨ-ロッパでは日付けの数え方が違ってきたり、ドイツ国内でもプロテスタント色の濃い東ドイツ地域では今日までで祝日は終わりのようだが、ドイツ西方に位置するケルン近郊のうちの地域では明日の月曜日まで祭日である。


それで一般的にその日はどんなことをするかと言えば、きれいに彩色した卵やうさぎやひよこの形をしたチョコレ-ト、あるいはマジパンのお菓子を庭に隠し、かごを持った子供達がそれを集めてまわるというような子供のための行事がある。


うちの長男が3歳くらいの時は、散歩しながら大人が少し先回りして行く道々にお菓子を置き、長男が歩くたびに道端に何かを見つけるように細工をして、小さかった長男がびっくりして喜んでいたというよう記憶もあるが、三男は今12歳だけれど、この行事も我が家ではもう5年以上はしていないように思う。

長男が12歳くらいまでは確実にしていたことを考えると、一方三男は7歳にもならないうちにもうやめていたので、そう考えると末っ子とは案外可哀想なものである。


ただそもそも昨年、その前の年はこのイースター休暇の時期には実は子供3人と日本旅行を楽しんでいたので、三男にとってもイースターの卵集めよりははるかに楽しかったに違いない…と思うが。


それで話を元に戻せば、イースターになぜうさぎなのかと言えば、うさぎは多産と豊作のシンボル、つまり、繁栄の象徴で、また卵は復活の象徴なのだそうで、イースター前にはよく幼稚園に卵の中身を全て抜き取ったものを持っていかなければいけなかったことを覚えている。

幼稚園ではその中身のない殻の卵に子供達が彩色をして楽しむのもこの時期の行事のひとつだからだ。


また各国色々なイースターエッグが売られていて、この時期は本当の卵の殻だけではなく、木製、ガラス製の卵になどにきれいに描かれた色々な模様のイースターエッグを枝に飾る習慣がある。欧州中、実に様々なイースターエッグが売られている。


特に有名なファベルジェのイースターエッグはご存知だろうか?

ロシアの皇帝アレキサンドル3世やニコライ2世が家族のために宝石商ファベルジェに作らせたイースターエッグは金や宝石で作られ、本当に美しいのだが、これはジュエリー版イースターエッグ、しかもロシア皇帝一家のもので、今では博物館で見ることもできるが、当時は皇帝一家しか見ることもできない、1億、10億円という超高級品だが、日本で展覧会などの機会があれば一度是非博物館で見られることをお薦めする。

ファベルジェのイースターエッグは、゛卵゛というものの素晴らしさ、美しさ、完璧さを知らしめてくれる。卵の形は本当にパーフェクトに美しい、とファベルジェのイースターエッグを見ると再確認させられるのは、何故だろう。

中が開いたり、外側のみならずその中の細やかな細工も本当に素晴らしい。


それからこの゛イースター゛という名前だが、英語では Easter であり、ゲルマン神話の春の女神「エオストレ(Eostre)」の名前に由来しているらしいが、ヨ-ロッパ人にとって東というのは日が昇る神聖な場所であり、日は東から来るもの、そう考えると春もまた東から来るものなので、この゛イースター゛には ゛東゛の意味が入っているのに違いない。


ヨ-ロッパの教会は一般的に西から入り、東に祭壇が置かれていて、東に向かって祈りを捧げることになっている。

そう考えると、やはり゛イースター゛のもともとの語源は ゛東゛から来ているはずなのである。

ちなみにドイツ語の東は、Oster、 イースタ- は Ostern である。


それでこの時期に食べる最もポピュラ-なものは、なんといっても子羊料理である。

私達はイースタ-は通常ベルギ-のブル-ジュで過ごすことになっているが、毎年この時期必ず食べるのは骨付き子羊肉、ラム チョップだ。

生後12ヶ月未満の仔羊の骨付きのロース肉を焼き、ソ-スをからめて出されるラム チョップは、年間通してやはりイ-スタ-を代表する料理だろう。


カトリック色が非常に強いベルギーでは、家族が集まって祝うので、たくさんのレストランでイースタ-の食事会が開かれていて、皆が幸せそうであり、楽しい春の到来を感じさせられる季節なのである。


そしてこの時期から、ヨーロッパの最も美しい季節の到来でもある。











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