第10話 カーニバルの三役と芸達者なドイツ人
そんなわけでカ-ニバルには軍服風の衣装や、ナポレオン時代の護衛部隊風、貴族風衣装を着ているカ-ニバル実行委員会の方達の中、最も中心にいるのがカ-ニバルの三役と呼ばれる
Prinz 王子
Bauer 農民
Jungfrau 若い女性
で、Jungfrau とは位置づけからして、少しお姫様みたいなものだろうが、この役は絶対に男性がすると決まっている。
つまり3人の男性がこの役風に仮装して、いつでも3人一緒にカ-ニバルの会場はじめ、パレ-ドに到るまで、いつでも会の中心に立つことになる。
男性が仮装してかわいいお嬢さんになるのは無理があり、またドイツ人の場合いかつい人が多いので、この3人が登場すると共にすでに会場の雰囲気は笑いのモ-ドに包まれるのだ。
またカ-ニバル中は自分達も舞台で出し物をしたりするせいなのか、うちの村や町でカーニバル熱心なドイツ人の人達は 普段のパ-ティの余興でも、女装したり、踊ったり、 歌ったり、面白いことをしたり、笑わせたり、と非常に芸達者であると感心してしまう。 一般人とは思えないくらい完成度の高いものもある。
あるパーティではスタ-ウオーズのダースベイダ-並みに真っ黒の衣装と暗い音楽でゾロゾロ男性軍団が現れ、何が始まるのかと思ったらいきなり明るい音楽にかわって、その男性陣が黒いマントを投げ捨てたら半裸のような状態で全員で踊り始め、よく見ればみんな知り合いのお父さん集団でびっくりした。
でも半裸といっても下品な感じでもなく、とにかくコミカルな感じで会場は大いに沸いたのだが、知り合いの普通のお父さんと思っていた人達がそんな芸ができるとは本当にびっくりした一件だった。
うちの長男がギムナジウムの学園祭のステ-ジで、仲間達とピンクのバレエのチュチュを着て踊ったときがあった。
当時みんな16歳くらいのばりばり青春まっさかりの男の子集団が、ピンクのチュチュで現れて、会場は大爆笑だった。
その成功にすっかり気を良くした長男達は翌年も女の子の服を着て踊り、そこから服を脱ぎ捨て男性に変身(? というか元にもどって)踊り、学園祭の催し物大会では1位にもなった。
私は芸達者なお父さん軍団の芸を何度かみて、
「いいなぁ、うちの息子達もこういう大人になれるといいなぁ」と内心思っていたので、この学園祭での長男達のステージにはえらく感動したし、安心もした。
まっとうな大人への道を進んでいるうちの長男なのである。
社会生活でこんな芸ができるかどうかというのは非常に重要なことと、私は信じている。
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