第6話 約束したから

 こんな時なのに僕は急にお腹が減っていた。

 そういや何日まともに食べていなかったのかな。思い出せないや。

 なんでお腹が減りだしたのかも僕は不思議だった。

 鎌倉という観光地に来たから刺激を受けたのだろうか?

 よく分からなかった。

 分からなかったがどうしても、しらす丼が食べたくなっていた。

 前に彼女と来た時は不漁で食べられなかった。

 だからこそ食べたい。

 僕だけで食べるんだ。


 しらす丼は時期的に食べられない時がある。四月中旬だから食べられるかな?

 後で調べよう。

 はっきり言って何もかもがおっくうだ。

 こんなにもズタボロな気分でなぜ琴美とよく来た思い出の鎌倉になんか来たのだろうか?


 あとはなんでこんなしらす丼に執着しているんだ?

 そうか。

 たぶん気持ちが暗すぎて心が壊れてしまったのかもしれない。


 そうだ、琴美と一緒にまた鎌倉に来ようって約束したから――だった。

 次こそは食べたいよね〜って君が言ったんだ。


 だから、だ。

 こんなに固執して、頭から琴美が離れない。



 

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