第5話 波は高くはない

 今僕がいるのは由比ヶ浜だっけ?

 違うかもな。

 あとで調べよう。


 使っていなかった有給と土日を入れて一週間の休みを取っていたから僕は今日は適当に宿を探して泊まろう。


 なんで慶太となんか。


 僕の子供はどうしてくれるんだ?

 生まれてきても父親である僕は抱いてやれない。

 慶太の子として育てるのだろうな。


 ちょっと待って。

 まさか。もしかして僕の子じゃないのかな?

 嘘だろ?

 行きついたもしかしたらの答えに僕は戸惑っていた。

 慶太の子供なのか?

 僕の問いに答えはない。


 目の前の海の波は高くはない。

 だけど僕は急に海が怖くなっていた。


 まだ時計は朝の10時45分だというのに。なんだか目の前が真っ暗になった。

 海から得体の知れないなにかが出て来て、僕を海の底に連れて行くんじゃないかって馬鹿みたいなことを考えて怖くなった。

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