第2話 能力者強化訓練開始!

クリエイターの異空間倉庫に入った煉獄の能力者達はクリエイターが作った剣闘士が戦うコロシアムの様な場所に出た。


役小角とサイドワインダーは闘技場内へ他の皆は観客席へと行った。


闘技場で向かい合う二人は各々武器を取り出し戦いの準備をした。役小角が出したのはいつもの刀だったが、サイドワインダーが出したのは特別にカスタムされたサブマシンガン二丁で刃渡り20cm程の銃剣が付いていた。


「くっそ!お前だけ新しい武器じゃねえか!ずるいぞ!」


役小角がサイドワインダーの武器を見て文句を言うと、サイドワインダーは


「いや寧ろ、お前が最初から良い武器持ってる方がずるいだろ!」


と言い返した。すると実況席にいるクリエイターは


「おい!口喧嘩してないで戦え!良いデータが取りたいからどっちかが死ぬまでやってくれ」


とマイク越しに言った。


それを聞いた二人は顔付きを変え、一気に戦闘態勢に入った。


そして、二人が完全に準備を済ませ構えるとクリエイターは


「それでは、始め!」


と叫んだ。


すると、その瞬間


神怒伏死・草薙剣たたり・くさなぎのつるぎッ!」


役小角がそう叫びコロシアムの上を分厚い雨雲が多い豪雨が降り注いだ。


そして、その雨をヤマタノオロチの姿へと変化させようとしていると


サイドワインダーは自らの体から黄金の粒子を放出し降り注ぐ豪雨を操って役小角の体に弾丸の様な勢いで一斉にぶつけた。


「うあああああああッ!」


役小角が自分の能力で発生させた雨に打たれ痛みで叫ぶと、サイドワインダーは


「バカが!聖遺物を忘れたか?」


サイドワインダーはそう言うと再び黄金の粒子を発生させて翼を生やし上空へ飛び上がった。


サイドワインダーは飛び上がると周りの雨を能力で操り自らの上に集中させると大きな水の塊を作り、それを巨大な槍の形に変えると雨に打たれて動けない役小角に高速で射出した。


「なんだあれ、全然勝負になってねえな……」


観客席でグラスホッパーがそう言うと、近くに座っているキング・メイソンは


「当然だろ、サイドワインダーはどんな状況でもまず自分が有利になる様に何でも使うが、役小角は能力で大技を出せば勝てると思ってる。当然、そんな考えでは勝てないさ」


観客席での批評をよそに役小角は迫り来る雨と槍を排除するために武装から強力な冷気を放った。その冷気の勢いは凄まじく、役小角の周りの雨どころかコロシアム中の気温が一気に下がる程だった。


だが、その異変にいち早く気付いたサイドワインダーはそれに合わせ魔法を発動した。


「聴けッ!

生を叫ぶ厳格な棘、

己に触れるなと主張する妖艶な復讐は、

群衆を遠ざけ、

独立を高らかに嘆く

これで満足だと、

諦めを持って

真の生を知れ

吝嗇な愚者は絶えず伸びる俗物を嗤うライツェント・ヘスリヒ・アインザームッ!」


サイドワインダーが魔法を発動すると彼の胸元に紫色の炎で出来た薊が現れ、冷気を防いだ。


一方、サイドワインダーが魔法を発動している間に役小角は周りの凍らせら雨や槍を竜巻で吹き飛ばし、サイドワインダーに向かって稲妻を放った。


サイドワインダーはそれを上空を飛んで避けようとすると、役小角の稲妻は突如龍の形に変わりサイドワインダーを追跡した。


すると、実況席にいるクリエイターは


「おお、役小角は中々いい攻撃をしたな。さて、サイドワインダーはどう避ける?」


とノリノリで実況していた。


すると、それを聞いたサイドワインダーは不敵に微笑んで


「いや、避けるのは止めだ!」


と言い


「聴けッ!

歴史に名高い兵士達

語り継がれる英雄譚

それに付随する数多の名工の妙技を此処に

鎚ふる匠は永遠にヴォイスン・モッテイ


と魔法を発動させた。すると、稲妻は魔方陣にぶつかり稲妻で出来た槍で作った。


「おおっと!サイドワインダーが攻撃を逆手に取った!流石は僕が作った魔法!強い強すぎる!」


クリエイターの実況に合わせサイドワインダーは作り出した槍をワイヤーで掴んで振り回し、役小角に向かって放り投げた。


役小角はそれを稲妻を放って相殺しようとするが、魔法で鍛えられた槍は役小角の稲妻の威力を上回り、役小角の体に突き刺さった。


「決まったァァッ!」


クリエイターがそう叫んだ所でサイドワインダーは槍が突き刺さった役小角に向かってサブマシンガンを一斉に撃ち放った。


「おおっと!サイドワインダー容赦が無い!怒涛の攻めで役小角を追い詰める!」


サイドワインダーの銃弾は辺獄の能力者達が使ったレーザー銃に似ていたが、それより強力な熱量を持ち役小角の鎧を貫通した。


「グアアアアアアアッ!」


役小角が叫んでもサイドワインダーは攻撃の手を休めないそれどころか、サブマシンガンで一斉射撃をしながら魔法を唱え始めた。


「これで終わりだッ!


聴けッ!

厳格な意思の天才は

己の誠実さの証明に

煌々と光る刀剣を

眼前の敵に突き刺して

高らかに叫ぶは

ただ一つ

忍耐強く待ち望んだ

無謬の勝利ッ!

鬨を挙げるは、真なる英傑フランメ・ブルーメ ジーク・ハイル


サイドワインダーが魔法を唱えると炎のグラジオラスの花が巨大な剣の様な姿で現れ、役小角を貫いた。


「サイドワインダーの一縷の隙も無い強力な攻めに役小角は対処出来ない!決着か〜?」


クリエイターがそう言うと、役小角の体の銃弾で空いた穴から一斉に先程とは比べ物にならない程の冷気が噴射された。


「あああああ、ああ、あああああああッ!」


役小角は発狂しながら炎の剣に向かって冷気を集中させて撃ち放ち闘技場を包む程の爆発が起こった。


あたり一面が真っ白い水蒸気に包まれ、お互いに何も見えなくなった。


「おお?おおお!役小角の反撃かッ?

両者の姿が全く見えない!だが、これでは機転の利くサイドワインダーの方が有利に見えるが?」


クリエイターがそう実況すると強力な冷気の第二波が起こり、最初の冷気で相殺されたサイドワインダーの炎が無いので闘技場全体が凍りついた。


「これは凄い!これ程の大技を連続で出せるとは!流石のサイドワインダーもこれには為す術が無いか!」


クリエイターがそう実況する様に状況はかなり役小角に有利だった。役小角は冷気を放った後に強力な吹雪を放ち闘技場全体を攻撃し続けていた。


これには観客席の能力者達も驚き、流石にサイドワインダーの負けかと思ったが……


「何処にいる、サイドワインダー!

隠れていても体力が消耗するだけだぞ!もう、こうなったらお前に勝ち目は無い!」


役小角がそう叫びその姿は白銀の闘技場を統べる漆黒の悪魔、さながらコキュートスにいるルシファーの様だった。


この覆りようの無い状況下でサイドワインダーは何処かで既に凍りついたと皆が思った。だが……


「やはりお前は大技に頼り過ぎている!」


役小角の背後から突如サイドワインダーの声が聞こえた。


「何!?」


役小角がそう反応する前に既に役小角の首はサイドワインダーの微振動でどんなに硬い物も切り裂ける様に作られた銃剣で切り落とされていた。


いつの間にか、白銀の鎧を纏ったサイドワインダーは役小角の首を掲げ、それと同時に役小角の能力が解けて闘技場内が晴れた。


状況がわからなかった所から突如白銀の鎧を着たサイドワインダーが役小角の首を掴んで現れた事に皆驚き歓声を上げた。


「「「「うおおおおおおおおおッ!」」」」


「これは凄い!あの鎧は役小角の冷気を鎚ふる匠は永遠にヴォイスン・モッテイで鎧に変化させた物だ!やはり、勝者はサイドワインダー!」


クリエイターの実況で模擬戦は締め括られ、皆は庭園に戻った。


それから暫くして役小角が復活場所から帰って来ると、皆が集まった所でクリエイターが


「今回の模擬戦の結果を見てやはり、戦闘経験が足りないと判断した。そこでここにいる先生方に君達を訓練して頂く!」


クリエイターがそう言いながら、辺獄からの逃亡者に手を向けると、手を向けられた者達は挨拶をした。


「エルネスト・ゲバラ、通称チェ・ゲバラだ。生前はキューバゲリラの指導者をやっていた」


まずは、チェ・ゲバラが挨拶をし次に


「本名は……言ってもわからんか。ジェロニモだ。生前はスペイン軍の支部を少数部隊で制圧した。」


ジェロニモが挨拶し次に


「織田信長だ。生前はまあわかるだろ?第六天魔王と自称していた。」


信長が挨拶し全員の挨拶が終わると


「ビシバシやって貰うから覚悟しろ?

それに朗報だ。一々復活場所に行かなくて済むように、此方の先生もいる」


クリエイターがそう言うと、優雅に紅茶を啜っている十字架を下げた騎士が立ち上がり


「ん?ああ、ジャン・ド・バレットだ

生前は聖ヨハネ騎士団の団長をしていた治療は任せろ」


と言うと


「だそうだ!さて、では僕は君達が鍛えている間にホーキング博士達と作戦を練っている。では、頑張れよ」


クリエイターがそう言って、煉獄の能力者達による会議は終息した。

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現代神曲〜プルガトリオの人面樹が叫びを聴けッ!〜 氏家 慷 @ujiiekou

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