第2章 現世更新譚

第1話 力量差

アルゴノーツ達との戦いを終えた煉獄の能力者達はクリエイターの屋敷にてこれからの事を話し合う事にした。。


この屋敷に住む住人も大分増えたのでいつも使っている会議室は庭に移転し藤の花が囲む庭園に大きなガーデンテーブルを置いた。


クリエイターの側近部隊とメイド達が人数分の紅茶を運び、ティースタンドに各々の好みの物を置いて話し合うつもりが皆かなり寛いでいた。


クリエイターも聖とケーキを食べさせ合って楽しんでいると、気まずそうにホーキングが咳払いをした。


「おっほん……」


それに気付いたクリエイターが慌ててホーキングの方を見ると、ホーキングは


「ああ、楽しいガーデンパーティーを邪魔してすまないが、我々の目的実行の為の話をしても良いかな?」


と皮肉をたっぷりと含めて言った。するとクリエイターは


「ええ、どうぞ……お願いします……」


と先程とは反対に気まずそうに言った。


クリエイターに合わせ皆もホーキングの方を見ると、ホーキングは話を始めた。


「さて諸君、知っての通り我々には目的がある。それは地獄の主の計画を阻止する事だ。そして、この間話した通りの作戦を実行したいのだが」


ホーキングがそこまで言うとグラスホッパーが


「それなら話し合う事無いだろ?俺達で辺獄を攻め滅ぼせば良い」


と言うと、ホーキングはそれを嘲笑し


「ははは、面白い事を言うな君は。

知らないだろうが、戦争は攻めるよりも守る方がずっと有利なんだよ。にも関わらず、辺獄の能力者達にかなり苦戦していたのは誰かな?」


とグラスホッパーに尋ねた。するとグラスホッパーは嘲笑や皮肉に怒る様子は無く単純な疑問として


「でもよう、新しく爺さん達も仲間になったし、俺達はアルゴノーツとか言う馬鹿みたいに強い奴らと戦った。そんなに不利か?」


とホーキングに尋ねた。ホーキングは死後若い頃の姿に戻ったのに爺さんと言われた事に少しショックを受けつつグラスホッパーを諭した。


「爺さんか……まあ、良い。

君は勉強は足りてないが中々良い所を付くな。その質問には彼が応えた方が良いだろう。」


そう言ってホーキングはメディアに子供の様にナプキンでジャムを拭われているイアソンの方を見た。


するとイアソンは恥ずかしそうにメディアからナプキンを取り上げて自分の顔を拭うと話をした。


「……突然話を振られるとは思わなかった。

ええと、辺獄を無策で攻めた場合の問題点か。まず第一にここ煉獄はクリエイターの屋敷と煉獄の街にしか守りを固めていないが、辺獄は地獄の主が来てから辺獄に攻め込まれる事を想定してかなり防備を固めている。

更に……」


ここまで言うと、イアソンが劣等感を覚えた様子で落ち込み出した。すると、それを見たメディアがイアソンに抱きつき頭を撫でながら


「ああ、可哀想にイアソン様……

ご自身が辺獄で受けた扱いを思い出したのですね。」


と言った。すると、マイスターはイアソンの表情を見て面白そうに


「何があったんだ?」


と笑いを堪えながら尋ねた。すると、それを見たビンラディンが呆れて


「はあ、もう良い私が話す。

まず彼らアルゴノーツや君達と戦った彼らは辺獄の尖兵なんだよ。」


ビンラディンがそう言うと、皆は驚いて


「「「「「「何ッ!?」」」」」」


と叫んだ。すると、ビンラディンは続けて


「中にはかなりの強者もいたがそれは気まぐれで半分遊びに来た様な奴らだ。

アルゴノーツ達も辺獄で作戦を考えている能力者や辺獄を護る能力者達は全員が辺獄の序列で言うと上の下程の実力で君達が相手した相手だとそれに確答するのは吉備津彦命や宮本武蔵、完全装備のヘラクレス位だ。」


と言った。すると、役小角が


「その辺獄の序列で言うと俺達はどの位だなんだ?」


と尋ねた。すると、ビンラディンは少し悩んだ。


「う〜ん、難しいな。辺獄には能力で相手の力量が分かる奴がいたのだが……そうだな。

クリエイターとクンフーが上の下で他が中の上位かな。」


ビンラディンがそう言うと役小角が


「マジか!?」


と驚いた。そして続けてグラスホッパーが


「俺達はそんな弱いのか?」


と尋ねた。するとビンラディンは


「君達は能力は強力なのだが、なんと言うか戦闘の素人過ぎるんだよ。」


と言った。するとグラスホッパーが


「まあ、お前に比べたらそうだろうけどさあ、俺達も結構戦ってきたぜ?」


と言った。するとビンラディンは困った様に考え、そこにエリザベス一世が


「では、例えば役小角貴方ですが貴方は生前に何か武術を習ったりはしていましたか?」


と尋ねた。すると役小角は


「俺か?ああ、生前は自衛官だったからな。格闘訓練や戦闘訓練を受けたぞ?」


と言った。するとエリザベス一世は驚いて


「本当に?いえ、すみません。

ですが、正直戦い方はサイドワインダーの方がずっと上手いです。」


と言った。すると役小角は


「嘘だろ……あの訓練なんだったんだよ……」


と言った。するとサイドワインダーは勝ち誇った様子で


「頭が硬いんじゃないのか?」


と役小角をからかった。すると、役小角は


「なんだと!じゃあ、ここでどっちが強いかわからせてやろうか!」


と言った。するとサイドワインダーは


「ああ、良いぜ?やってやるよ」


と言った。すると、それを聞いたビンラディンが


「まあ、我々も君達の戦いを生で見たいしな。ちょうど良いんじゃないか?」


と言い、それに続いてチェ・ゲバラが


「面白そうだ。お手並み拝見だな。

どう思う?大総統閣下?」


と楽しそうに横に座るヒトラーにそう言うと


「エリザベス一世がサイドワインダーを押してるしサイドワインダーだろうな」


と言った。すると、キング・メイソンも


「まあ、うちのサイドワインダーが勝つだろうな」


と言い、ガーダーやパイロも


「「サイドワインダーだな」」


と言った。するとそれを聞いた前鬼達も


「「「そりゃあ、役小角が負けるよ〜」」」


と何を当然の事をと言う様に言った。すると役小角は


「おい、誰か俺を応援しろよ!」


と怒鳴った。すると、グラスホッパーが


「お、おう。頑張れよ!応援してるぜ!

ただ、お前は誰かに勝った事あったか?」


と心配そうに尋ねると、役小角は


「おい!カイネウスを倒したのは俺だぞ!」


と役小角が怒鳴った。するとグラスホッパーは


「この中でカイネウス戦に参戦した奴手を挙げてくれ」


と言った。すると、咲、ソニック、前鬼、中鬼、後鬼、ピキニ・カイカイが手を挙げパイロ達は気まずくて手を挙げなかった。


それを役小角に見せてグラスホッパーは


「これだけいたら倒せるさ……」


と役小角を直視出来ずに遠い目をして言った。すると、役小角はエリザベス一世の方を向き


「なあ、俺と戦っただろ?苦戦したって奴らに言ってくれ」


と泣きそうになりながら言った。するとエリザベス一世は


「え、ええ。そうね……

あっ!そう!貴方はドレイクを倒したじゃない!元気だして」


と役小角が可哀想になったので励ました。すると、ドレイクも


「ああ、お前は強かったよ。ただ、俺はなんて言うか、接近戦の実力が高いとはあまりだな……」


と言うと、役小角はクリエイターの方を見て


「なあ……俺は強いってあいつらに教えてくれよ……」


と死にそうな目で言った。すると、クリエイターは


「ああ、お前は強いよ。ただ、サイドワインダーは器用なんだ。気を付けろよ」


と優しく言った。すると、横にいた聖が


「旦那様はお優しいですね〜、明らかに実力差があるのに」


と微笑んで言った。すると、クリエイターは


「いやいや、本当に役小角の能力は僕らの中では一番攻撃力がある。ただ、使い方に慣れてないだけさ」


と言った。すると役小角は


「わかってるじゃねえか!

おし、やってやるぜ!」


と気合いを入れてナノマシン発生装置を起動した。すると、役小角のナノマシン発生装置からクリエイターからの恩恵の証である紋章が現れ、漆黒の鎧を身につけた。


しかし、それを見たクリエイターは


「お、おい流石にそれを使うのは……」


と言うと、エリザベス一世が


「大丈夫ですよ。私も勝ちました。」


と言い、咲も


「この前もあれ着てたよ?」


と言った。すると、クリエイターは役小角を見て


「すまん、ダメかもしれない……」


と言った。すると、役小角は


「俺だって強いんだよ!」


と怒鳴った。すると、クリエイターは


「まあ、落ち着けって何はともあれそろそろ始めようか」


と役小角を抑えながら、異空間倉庫のゲートを開いた。


「さあ、選手と観戦者は中へ」


と言い、サイドワインダーもナノマシン発生装置を起動させて中に入り、他のメンバーも続々と中に入った。

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