第67話 創造神の報復

自ら作り出した絢爛な宙に浮く大地の上でクリエイターは戦いの準備を整えていた。


智慧ジュウホエ、クンフーが新たに得た能力の解析をしろ」


了解ヤオミンバエ天帝シャンティー

クンフーさんが新たに得た能力の数は42で現在、天帝シャンティーが使用できる能力は重複している物とご自身の能力を合わせ115です。」


智慧ジュウホエがそう言うと僕は少し驚き


「115!?彼奴ら張り切り過ぎだろ……」


と仲間の戦果に少し引いた。だが、それと同時に微笑み


「じゃあ、115の能力を操る僕が負けるはずが無いな!」


智慧ジュウホエに言った。智慧ジュウホエは最初にこの煉獄を訪れた頃のクリエイターの自信が戻った事に喜び


「ええ、勿論ですよ!」


と笑顔で同意した。更に僕は今まで作っていた僕の体の完成形と呼ぶに相応しい体を異空間倉庫から取り出してそれに意識を移した。


出した体は全長4m程の巨体に蜘蛛の胴体と足を持ち、体の大きさに合う大きさの蠍の尾を付けていた。上半身はケンタウロスの様に人型の胴体が付いていたが腹から胸にかけて縦方向に大きな口が付いていた。

肩には巨大な棘が生えており腕は蟻の様な形だった。手は人の形をしていたが巨大で金属質の物質で構成されており、指先には鉤爪が付いていた。頭は蟷螂の様な顎に蜻蛉の様な目が付いており、後頭部は妖怪のぬらりひょんの様に後方に長く伸びていた。こめかみの辺りからは巨大な山羊の様な太い角が頭を前から来る攻撃から守るように突き出していた。長い後頭部の上には後頭部を全てカバーする程の大きさの鮫の尾鰭の様な物が生えていた。更に腹からは百足の様に大量の人間と同じ位の太さだがかなり長い腕と、背中から蛸の様な触手が生えていた。


全体的な色合いは黒がベースだが、目は緑で口の内側と触手の内側は紫色をしていた。


クリエイターが体の調子を確かめる為に大地の上で少し動いている所にちょうど能力で翼を生やした聖と、ナノマシンで翼を作ったメイド達が戻ってきた。


クリエイターの新しい体を見たメイド達は驚いて攻撃を仕掛けようとしてきた。


「わ〜!何ですかこの怪物は!」


とルムが言い


「ご主人様を何処へやったんですか!」


「気持ち悪いな〜!さっさとぶっ倒そうぜ」


とハヌが言った。


とルベが言って来ると、クリエイターは慌てて


「僕だよ。ご主人様の事を忘れたか?」


と言って普段の体を自分の横に出した。するとメイド達は顔を青くして


「ご主人様でしたか。申し訳ありませんでした。」


と謝罪した。メイド達に気味悪がられ、少し気を落としているクリエイターを察して聖は


「新しい体ですか?私は好きですよ、その体。」


と微笑んで優しく言った。するとクリエイターは上機嫌になり


「ありがとう、愛しているよ」


と聖に表情が伝わらないが微笑みかけた。メイド達の誤解が解けるとクリエイターは続けて


「そう言えば、メディアはどうだった?」


と殆ど傷を受けた形跡が無い聖とメイド達を見て疑問に思ったクリエイターは聖にそう尋ねると


「もう、旦那様ったら私より他の女の事を気にするんですか?」


と聖が少しむくれた。するとクリエイターは慌てて


「誤解だよ!戦況を知りたいだけだ。」


と弁明した。すると、聖は微笑んで


「ふふふ、冗談ですよ。

メディアは私達に二度と手出しが出来ぬ様に痛めつけておきました。それと、これテセウスとか言う敵が持っていた聖遺物です」


と言うと、血塗れのハンカチに包まれた恐らくテセウスの血が滴る聖遺物をクリエイターに渡した。


「あ、ありがとう……」


クリエイターはテセウスとメディアがどんな目に合わされたか少し気になっていたが、聖遺物を見て一瞬でその考えが吹き飛んだ。


「でも、この聖遺物は君が使っても良いんだよ?」


聖遺物を受け取ってクリエイターがそう言うと、聖は


「私は大丈夫です。旦那様が守ってくださるので」


と微笑んで言った。クリエイターはそれに頷くと


「じゃあ、ありがたく貰うよ」


と聖遺物を体の中に収納した。聖達の戦況を聞いた僕は会話をしながら大地をノアの方舟に近づけていた為に乗船出来る距離まで近付いていた。


「よし、行こうか」


「はい!」


僕はノアの方舟に着くと聖達を連れて乗船した。乗船するとテセウスの能力を発動しラビュリントスに囚われていた仲間達を解放した。仲間達は一斉に出てくると僕の姿を見て皆驚いた。僕は攻撃される前に普段の体を見せて


「良く見ろクリエイターだぞ!」


と先に釘を刺した。すると、皆は武器を下ろして安心していた。皆の状況を見回すと皆大した傷は負っていないが一人見慣れない顔がいた。


「グラスホッパー、その猫耳の女は誰だ?」


クリエイターがグラスホッパーにそう尋ねると、グラスホッパーはクリエイターに怖がっている女の頭を撫でて安心させながら


「なんて言うか……あ〜、そう!戦争孤児だ。俺が匿ってる。」


と言うとクリエイターは呆れて


「何だか良くわからんが、お前がちゃんと面倒見ろよ?」


と言った。するとグラスホッパーは


「任せとけ、ほらパル!お前も挨拶しろ」


と猫耳の女の服の襟を掴んで顔を上げさせた。すると、猫耳の女は


「う〜、わかったよ。本当に大丈夫何だろうね〜何かこの人に食い殺されそうだよ?」


とパルと呼ばれた女が言うと、グラスホッパーは


「大丈夫だって!」


とパルの猫耳を引っ張った。するとパルは


「痛い、痛いわかったよ〜」


とグラスホッパーに注意された後に


「あの……僕はパルテノパイオスです。よろしくお願いします……」


と挨拶をした。すると、クリエイターは


「ああ、よろしく」


とパルに優しく微笑んだ。だが、パルには通じず怯えていた。パルの挨拶が済んだ所で突如、クリエイターの背後の空間がひび割れ始め、音を立てて崩れた。


「なんだ!?」


クリエイターが驚いて後ろを向くと、復活したクンフーが異空間倉庫の一部を破壊して出てきた。そして、クリエイターに襲いかかろうとした所で


「クンフーやめろ!そいつはクリエイターだ!」


とキング・メイソンが叫んでクンフーは驚いた。


「なに!?」


すると、クリエイターは普段の体を見せて


「ほら、僕だ」


とクンフーに示した。そして、続けて


「まあ、ドタバタしているがこれで全員揃ったな。では、これからイアソンを倒して本作戦を終えるぞ?皆、武装や体に不具合は無いか?」


と尋ねた。するとブラックアウトが


「大丈夫だろ、心配し過ぎだ」


と言い、マイスターが


「さっさと終わらせよう」


と言い、役小角が


「ああ、心配無いぜ!」


と言った。するとクリエイターは皆にわからぬ様に微笑んで


「では、行こう」


と歩みを進めた。それに対し皆は


「「「「「「「おうッ!」」」」」」」


と応えて後ろに続いた。クリエイターが向かったのは祭壇の様な玉座だった。だが、そこにイアソンの姿は無く代わりにボロボロのヘラクレスが待っていた。それを見たクリエイターは


「ヘラクレス、お前だけか?イアソンはどうした」


と尋ねた。するとヘラクレスは


「俺は最後にお前らに一矢報いる為にここに残った。イアソンとメディアはお前らの拠点に向かった。お前らはただでは帰れないぞ!」


すると、クリエイターは


「では屋敷は君達に任せた」


と言った。するとグラスホッパーは


「ん?全員でか?」


と尋ね返した。するとクリエイターは


「ああ、頼んだぞ」


と言って全員を屋敷に転移させた。


それを見たヘラクレスはクリエイターに対し


「随分と余裕だな。お前一人なら倒して見せるぞ?」


とクリエイターを挑発した。するとクリエイターは


「部下が散々お前達に痛め付けられたんだ。僕が直々に相手をするべきだろう?」


と言いヘラクレスに対して、異空間倉庫にある全ての武器を取り出し、それを念力で操って威嚇した。


「それに半神半人の君が神に勝てるわけ無いだろう?」


クリエイターはそう言うと、ヘラクレスを念力で中に浮かせた。

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