第68話 現人神の神話批判
ヘラクレスに対して武器を向けたクリエイターは出した全ての武器に黄金の粒子を纏わせてヘラクレスを攻撃した。
それに対しヘラクレスは自分の体に黄金の粒子を纏わせ、腕を治すと黄金の粒子を纏った剣で片っ端から武器を破壊して行った。
だが、それで間に合うはずが無くヘラクレスの体には様々な武器が突き刺さり、更に銃弾の雨やロケットランチャーの弾等もあり、ヘラクレスの動きを阻害した。更にクリエイターは今まで作っていた体の
「どうした、僕一人なら倒して見せるんだろ?さっさと倒したらどうだ?」
ヘラクレスを念力で浮かせ動きを阻害したつもりだったが、ヘラクレスのマントが翼になって無意味になった為、ヘラクレスの体を念力で重くしながらクリエイターはヘラクレスを嘲笑した。
すると、ヘラクレスは苦しみに悶えながら、力を振り絞り大量の黄金の粒子を体から放った。放たれた黄金の粒子は稲妻を帯びており、更に黄金の粒子と一緒に約50羽の黄金の鳥もヘラクレスの体から飛び出した。
すると、黄金の鳥が辺りの武器を破壊し始め、黄金の粒子の放出と共に念力での移動阻害もほぼ無意味になった。
「なに!?」
クリエイターがそれに驚くと、ヘラクレスは甲板に降りて剣を上に突き上げ雄叫びを挙げた。
「うおおおおおおおおおおおッ!」
ヘラクレスの雄叫びと共に辺りに凄まじい熱量の雷が降り注いでクリエイターの武器を破壊した。クリエイター本人は体にバリアを張って身を守った。
全ての武装を吹き飛ばすとヘラクレスは
「この力は仲間が俺に託してくれた力だ!俺達の持つ聖遺物はお前らに奪われた物の他に全員の体に埋め込まれているもう一つの聖遺物があった。その能力は全員、仲間に力を託す能力だ!俺の仲間達はそれぞれの望みがあるにも関わらず、皆俺に力を託してくれた。だから、俺は負けん!」
ヘラクレスはそう言うと、雷鳴を纏いながらクリエイターに斬りかかった。だが、クリエイターはそれを殴り付けて吹き飛ばし、ヘラクレスに破壊されていなかった千変万化を取って鎖を掴み、鎌を振り回してヘラクレスに投げ付けた。
すると、ヘラクレスはバク転する様に飛び上がり鎌を剣で払うと、鎖を掴んでクリエイターを引き寄せようとした。だが、クリエイターは千変万化の鎌を大蛇の様に変えてヘラクレスの背中に這い回らせてヘラクレスの腕に噛みつかせ、それを止めた。
「うああああッ!」
ヘラクレスの右腕に噛み付いた蛇の口から濃硫酸が吹き出し、ヘラクレスの腕を溶かした。続けて千変万化は鎖が一斉に大量の雀蜂の様に変化してヘラクレスの体中に針を刺した。
「ああああああああああッ!」
藻掻き苦しむヘラクレスにクリエイターは手からレーザーを出してヘラクレスを攻撃しながら、ヘラクレスを炎で焼いた。
「はははははッ!威勢が良いだけで手も足も出ないな!」
クリエイターがそう言ってヘラクレスを嘲笑すると、ヘラクレスは雄叫びを挙げて黄金の粒子を放出し炎とレーザーを払った。
すると、その時に千変万化が黄金の粒子に砕かれ、使用不能になった。ヘラクレスはそれを正気と思い、腕を高く挙げて力を凝縮させクリエイターに最大級に稲妻を落とそうとしていた。それに対しクリエイターは新たな武器を創造した。
ヘラクレスは全て力を一撃に込める思いで力を凝縮し、その最中自分の思いを叫んだ。
「俺はどうしてもお前達には負けられない。何故ならば、俺は人間の営みが好きだからだ。俺の仲間は旅の最中に俺にそれぞれの願いを聞かせてくれた。
冒険で有り余る富を得たいと言った者、
見た事の無い世界を旅したいと言った者、
子供に冒険譚を聞かせたいと言った者、
異国の女を物にしたいと言った者、
己の力を知らしめたいと言った者、
皆様々な願いを口にした。
その全てはお前らの間では醜いと言われる強欲な意思だったが、俺はそんな人間らしさを美しいと思った。自ら幸福を掴もうとする生きる意思が輝いていた。
だから、俺が彼らの幸福を掴む為に彼らの為に戦う。それが俺の生きる意味だと信じて、半分だが神としての自覚を持って人に尽くすと決めたんだ。
お前の様な醜い怪物に幸福を奪わせはしないぞ!」
ヘラクレスはそう言うと、最大級のエネルギーを凝縮させそれに黄金の粒子を纏わせた。すると、そこに黄金の鳥達も次々に入り込んでいった。
ヘラクレスは作り出した一振の槍をしっかりと掴み、それを投擲する体勢に入った。
「幾らお前でもこの一撃は止められまい。
これこそは我が父の誇り、焼き払え
ヘラクレスが全身全霊を持って投擲した槍は辺りに灼熱の熱波を放ちながら空を裂いて突き進み、余りの熱量に真っ直ぐに空間を移動した。
すると、クリエイターは新しく作った一振りの大剣を構えて雷霆に対抗した。
大剣はクリエイターの腕に柄から伸びた二本の蛇の尾の様な物を巻き付けており、鍔の部分には手を包む様に蝙蝠の様な羽が付いていた。全体的な色は黒かったが、中心には煮えたぎる硫黄の様な物質がドクドクとまるで生きている様に脈打ち、漆黒の刀身には紫色の炎を纏っていた。
全長3m程の巨大な剣を雷霆に向けてクリエイターは己の意志を叫び、剣のギミックを発動させた。
「そんな人間らしさが美しかっただと?黙れ、人外が知った様な口で人間を語るな!
僕達、人間全てを救うのが神だろ?それなのに、仲間達を見てそう思った?
それまでは見向きもしなかったのか!
お前の様な傲慢に善意と言う衣を着せて英雄を気取るクズを僕は最も軽蔑するぞ!
お前が神ならば、全ての人間を救え!
それが無理なら不幸な人間を救え!
お前の仲間を救う事が神としてお前の存在意義ならばお前に存在意義は無い!
自分から危険に突っ込む奴のリスクを減らす事が救いなはず無いだろう!
不幸な人間は行動を起こす力すら与えられない!それがわからないなら今ここで消えて無くなれェッ!
クリエイターが叫ぶと剣から漆黒の粒子が大量に飛び出した。その粒子は大樹の様に勢い良く前へ伸び所々に人間の顔や腕が飛び出し、全てが苦痛に悶えていた。
ヘラクレスの雷霆とクリエイターの漆黒の粒子がぶつかると、最初は雷霆が漆黒の粒子を押し退けて突き進んだが、雷霆の威力が削がれると雷霆を飲み込んだ漆黒の粒子がヘラクレスにまで到達し、ヘラクレスを飲み込んだ。
「何だと!?
あああ、ああ、うあああああああッ!」
漆黒の粒子に飲み込まれたヘラクレスは初めに肌が焼けただれた様な見た目に変わっていき、その後体に端から徐々に漆黒の粒子に変化していき、最後には完全に漆黒の粒子と化して剣に戻っていった。
クリエイターはその剣を異空間倉庫に収納すると、ノアの方舟を異空間倉庫に転移させて、自らを屋敷に転移した。
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