第41話 民衆と指導者と幸福について
前鬼達は、セシルの能力から解放されると、エリザベス一世にクリエイターとの対話を求められ困惑した。
「どうして、クリエイターと話したいの?
その行動が貴方に与えるメリットがわからないわ」
と、警戒した後鬼が言うとエリザベス一世は、
「理由は、貴方達の神と私達の前に現れた神をもう一度比較したいからです」
と、真剣な表情でエリザベス一世が言うと、後鬼は
「本当にそれだけ?
何をされるかわからないのに、むざむざクリエイターを危険に晒す事は出来ないわ
それに、貴方は役小角を倒した
その後に会話をする意味がわからない」
と、言い最大限の警戒をエリザベス一世に対して行った。するとエリザベス一世は、
「私が彼と戦ったのはそれが当初の目的を果たす為に必要だったからよ
でも、彼が戦いの中で見せた信念は、尋常な物では無かったわ
私はそれに、心動かされそうなの
だから、貴方達の神と対話をして
彼の信念の方向性が正しいか確かめたい
それが、対話の意味よ
私が信用出来ないなら、貴方が先程見せた能力で私を拘束すれば良い」
エリザベス一世が、強い眼差しでそう言うと、後鬼は息を飲んで頷き
「わかったわ、それじゃあ
後鬼が、そう言うとエリザベス一世が魔法陣に拘束された。後鬼は、それを確認すると携帯端末でクリエイターに連絡した。すると、クリエイターは、
「後鬼か、どうした?」
と、尋ねてきた。後鬼はそれに対し
「貴方と話したいと言ってる人がいるの
変わっても良い?」
と、尋ねクリエイターは、それを少し考えると
「良いぞ
変わってくれ」
と、許可した。すると、後鬼は携帯端末を床に置き、ホログラムを使用したビデオ通話機能を使いエリザベス一世に対話をさせた。
すると、エリザベス一世は、
「煉獄の神よ、始めまして
私は、エリザベス一世
辺獄から来た能力者の一人でこの船、クイーン・エリザベスの船長よ」
と、自己紹介をすると、クリエイターは、
「始めまして、女王陛下
僕は、クリエイター
知っての通り煉獄の神だ
さて、僕に何の御用かな?」
と、早速用件を尋ねると、エリザベス一世は、
「単刀直入に訊くわ
貴方は、神として何をしたいの?」
と、エリザベス一世は、強くクリエイターを見つめてそう言うと、クリエイターは、少し考えてからこう言った。
「神として何がしたいか、か...
そうだな、僕はまだ人だった時はただ闇雲に己の生きていて良い場所を探していた。
それは、僕が生前生きる意味について深く考えた結果、生前の社会つまりは法治国家では人が自殺を法的に禁止するのは単に納税者が減るからという結論にしか至れ無かったからだ。特に国民主権の民主主義では国民一人に対する義務と責任が大きく、その義務を果たす為だけに人は生きるのだと考えていた。
だが、僕は生前劣悪な環境で育ち、人、いや国民としての義務を果たせる状態に無かっただから、僕はその責任から逃れる為に死んだんだ。
だって、そうだろう?
国民が大事だ。一人一人が指導者だと言いたいのなら、国として人一人の人生を充実させる義務があるはずだ。なのに、僕が生きた社会では、お飾りの権利と積み上がる義務に苦しめられるだけの社会で、生き抜く為には産まれた瞬間から始まる出来レースに耐えるしか無かったんだ。真に国民を主権にしたいならば、何故、親の資本の差で人間としての優劣が決定する社会にした?人を大事にしたいのならば、国が一括で子供を育てるべきでは無いのか?そうでは無いと、権利に相応しい人間は出来ないぞ。それなのに、義務だけは平等だ。正直言うとあの社会は失敗作だ。
だから、僕は神になり、僕らが平等に幸福を得られる場所を作る。それが、僕が神になってやりたい事だ。僕が君達を攻撃するのは自衛でしかない。逆に問おう。何故、君達は僕らを襲う?」
クリエイターは、真剣な表情でそう言うと、エリザベス一世は、悲しそうな表情で
「そう、貴方の国の国民は辛いわね...
主権を国民に持たせる何て責任放棄でしか無いじゃない。でも、それは私達のせいかもしれないわね。何千年もの間、国民の不満を解消出来なかった私達の...
でもね、貴方の主張も人の幸福を思った物だけど、私達の神も人の幸福の為に戦っているの。私達の神は、絶対的な神の法のみを人間に与え直し、平等に幸福な時代を取り戻そうとしている。私達は、それに賛同した。だって、それが人間の在り方として最も平等でしょう?貴方は、それをどう思う?」
と、言うとクリエイターは、それに対し
「確かに、それは絶対の平等だ
でも、それは平等なだけで発展が無い
人として生きる幸福を捨てた平等だ
幸福に生きてると思い込んだ、井の中の蛙を量産する箱庭の幸福ごっこを望む神など、神では無い。その考えは、人のエゴが作り出した物だ。神がいつ発展を禁じた?神がいつ無知を望んだんだ?神は、人を救済する者であって、人を洗脳する物じゃ無いッ!
僕は、その考えを否定する。
生前の歴史でそれが怒ったのは、政治的な考えで御しやすい無知を増やしたかっただけだ。王の考えであって、神がやる事では無いんだよッ!」
僕が、熱くそう語るとエリザベス一世は、
「では、貴方は発展した人間全てを御するというの?自分勝手な考えの賢者が生まれたら貴方はそれを淘汰出来ると断言出来る?」
と、エリザベス一世は言った。すると、クリエイターは、
「人が誰かを攻撃するのは、本来与えられるはずの幸福が与えられないばかりにその負債を回収しようとするためだ。全ての人間が幸福に生きる社会では、それをするメリットは無い。生前は、幸福の負債を抱える者が国単位でいた為に争いが耐えなかったと、僕は考えている。御するのでは無い、治めるんだよ!これは、明確に違う物だ。」
僕が、そう言うとエリザベス一世は、僕の意見に対し深く考え込み、そして
「貴方の考えはわかったわ
それなら、私は貴方を信じる事にする
貴方は、それを受け入れてくれるかしら?」
と、強く真っ直ぐな眼差しで言った。
すると、クリエイターは、微笑み
「もちろんだ。
歓迎するよ」
と、言った。
エリザベス一世は、それに微笑み返し二人は話を終えた。
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