第18話 虚栄が築くワールシュタット
当世具足の兵士達が、ハウニブに向かって走る中、マイスターは、現状を打破する為の作戦を考えていた。
「おい、どうするんだ
奴ら、もうすぐそこまで来てるぞ!」
スカーが、強い口調でマイスターにそう言うと
マイスターは、落ち着き払って近くにいる仲間に指示を出す。
「グロウ、クラウド敵の足止めをして来い」
とマイスターが、指示を出すと二人は、
「わかった」
とグロウが、
「待ってたぜ!」
とクラウドが言い、二人は武士達の元へ向かった。
そして、二人が向かった後、マイスターは、ソニックを呼び、指示を出す。
「ソニック、その武装で出せる最高スピードで岩の上の奴らを何とかして貰いたいんだが、出来るか?」
と、マイスターが、尋ねると、ソニックは、微笑んで
「余裕だよ
あっという間に終わらせてきてやる」
とだけ言い、ソニックは走り出した。
一瞬で過ぎ去って行ったソニックにマイスターは、安堵し、次にスカーを呼んでグロウとクラウドを手伝う様に言った。
「はいはい、わかってますよ」
と、スカーは、フードを被り弓を持って出ていった。
「俺は、どうする?」
と最後に一人残ったクンフーが、如何にもやる気満々に言うが、
「お前は、ここで私の護衛だ」
とマイスターが、言い少し拍子抜けといった感じで
「ああ、わかった」
と言い、マイスターがいる操縦室の扉の前に立って敵を待った。
ハウニブの中に、全ての場所を行き来出来るような通路は無く、外側を埋めるように個室があり、三部屋ずつ区切って廊下を作り、廊下と廊下の間には、分厚い扉がある。マイスターのいる操縦室は、ハウニブ内の中心に位置し、この艇で最も侵入が困難な場所だった。操縦室に行くには、廊下にある扉から、指定の魔法を唱え、扉を出さないと中に入れない仕組みになっていて、クリエイターの仲間以外はそもそも入れる作りになっていなかった。
グロウとクラウドがハウニブから出ると、両者は、能力を発動し始めた。グロウの能力は、自分の体と対象物を巨大化させる能力、クラウドの能力は、自分の分身を出す能力。グロウは、直ぐに能力で巨大化出来るが、クラウドは、分身を大量に出すのには、少し時間がかかる。そこで、まずグロウが、10mまで巨大化し、防護服から垂れ下がった鎖と鉄球を引きずりながら、敵の上を歩いた。
それを見たマルコ・ポーロは、度肝を抜き
「うそ〜!
でっかいな〜
何だか、楽しくなってきたぞ〜
でも、マアバル地方の
と、ワクワクしながら言うと、岩の上の魔法使い達が、杖を振り始め、グロウに向けた。
グロウは、それに対し、警戒しながらもバルディッシュを振りかざし当世具足の兵士達を薙ぎ払って行った。
「さあ、お眠の時間だよ〜」
マルコ・ポーロが、そう言うと魔法使い達が、一斉に魔法をグロウに放とうとした。
その時、突如駆け抜けた蒼い閃光が魔法使い達の腹に腕を刺して倒して行った。
「なんだい?今のは!」
と、攻撃を阻止されたのにも関わらず、マルコ・ポーロは、大はしゃぎで驚いた。
グロウは、それを見ると安心し、バルディッシュで敵の大軍を薙ぎ払い続けた。
だが、巨体のグロウが斧を振り回し敵を攻撃しているにも関わらず、敵の数は一向に減らず、寧ろ増えていた。
そこで、グロウは斧を振りかざした後、潰れた兵士を観察した。すると、ぐちゃぐちゃに潰れた兵士達は、潰れた後に、紫色の輝きが放ち身体を再生させていた。
「なんだこれは!?」
グロウが、驚くとマルコ・ポーロは、誇らしげに
「彼らは、ジパングの兵士達だからね〜
そう簡単には死なないよ〜
知ってるかい?
ジパングの兵士は皮膚の下に魔法の石を埋め込んでいて攻撃から身を守れるんだよ!」
と言うと、グロウは
「なんだそりゃ!」
と、ツッコミを入れながら再生する兵士達を次々に潰して行った。だが、兵士達は、即座に再生しマルコ・ポーロが、援軍を次々に出すので一向に敵は、数を減らさなかった。
そこに、
「「「「「「「「「「「グロウ、待たせたな!
準備完了だ!」」」」」」」」」」」
と、大軍の声が聞こえた。
それは、能力で武装ごと分身したクラウドで、その数はおよそ、千人はいた。
「待ってたぜ!
ぶっぱなせ!」
とグロウが、言うと
「おう!」
とクラウドが、勢い良く返事をし
手に持ったFN F2000のグレネードランチャーを一斉に敵兵に撃った後に、銃弾を一斉掃射し敵の動きを止めた。
グロウも、クラウドの弾幕の中バルディッシュを振りかざし、敵の動きを止める。
「凄い!
凄いよ!君達!
良いよ!
もっと、僕を楽しませてくれ!」
と、大はしゃぎのマルコ・ポーロは、次々に兵士をグロウ達の元へ送らせ、自分の周りには、誰もいない状態になった。
マルコ・ポーロは、まるで映画を見るように、鎧武者と巨人が、弾幕の中を戦っている所を眺めていると
突如、駆け抜けた蒼い閃光が、まずスパイクを次に、スカーを運んで現れた。
「自分に護衛もつけないとは、馬鹿な奴め
お前は、俺達の仲間をやったんだ
簡単に殺せるが、長生きさせてやるよ
お前が、死ぬまでずっと、甚振ってやる!」
と、ソニックが高速でマルコ・ポーロの胸ぐらを掴むと、そのままスパイク達の方へとマルコ・ポーロを放り投げた。
すると、そこをスパイクが能力で手から棘を出し、
「仲間の仇だ!」
と、マルコ・ポーロの左足に突き刺した。
だが、棘は細くあまりダメージは無かった。
「ははは、まさかそれは拷問のつもりかい?
ぜ〜んぜん効かないよ〜」
と、マルコ・ポーロが、言うと
「まだな」
と、スカーが言い、能力を発動して傷を膿ませた。
そこをスパイクがさっきより少し太い棘で突き刺し、マルコ・ポーロが、痛がると、スカーは、膿を悪化させた。
「あああああッ!
くそう!
ぼ、僕は、フビライハンと友達なんだ
こんな事をして、ただで済むと思うなよ!」
と、マルコ・ポーロが、悶えながら言うと
「じゃあ、そのフビライハンを呼んで助けて貰うんだな!」
と、ソニックが、マルコ・ポーロの顔を殴りつけて言った。殴られて口を出血したマルコ・ポーロは、口から唾と共に血をソニックに吐きかけて
「本当に良いんだな!
お前らは、皆殺しだぞ!」
と、マルコ・ポーロが、言うと
「くどいんだよ!」
と、スカーが言い、マルコ・ポーロの口の中の傷を悪化させ、膿ませた。マルコ・ポーロの口の膿は、ソニックにさらに殴られて酷くなり、左奥歯が上下とも抜け落ちた。
「くそう!
信じないなら、見せてやるよ!」
と、マルコ・ポーロが、手に持っていた本を開くと、
「ソニックが、まだ言うか!」
と、ソニックがマルコ・ポーロの顔を殴りつけようとした時、マルコ・ポーロの背後から青い
「うあああああッ!」
ソニックは、悲鳴を挙げて悶えたが、大男は、そのままソニックを持ち上げ、頭の上まで上げると、ソニックの首と右足首を持ち、思い切り左右に引っ張ってソニックの体を真ん中から半分にした。大男は、引きちぎったソニックの身体をスパイクと、スカーに投げつけると、腰から
「余の友を甚振ってくれた例は、まだまだこんな物では無いぞ!」
と、身を震わす程の大声でフビライハンが、叫び、スパイクをソニックの死体越しに思い切り蹴り飛ばすと、
「あがッ!」
と、蹴られた衝撃で肋がバキバキと砕け、肺に突き刺さりながら、吹き飛ぶスパイクに懐から取り出した
それを、見たマルコ・ポーロは、得意げに
「だから、言っただろう」
と、満足そうに言った。
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