第7話 【Side:ブレイブ】そしてマスターへ

 何だコレ、幻覚か?一面凍てついた世界で視界に現れたのは青く淡く光を纏う裸の幼女。


「我の眠りを妨げたのはそなたか?気持ちよう寝ていたのに……目覚めてしまったではないか。」


 そう言うと細い腕を俺の首に絡めて抱き着いてきた。だが、幼女が絡みついたところから俺の身体は凍結していった。


「え?ちょっと何してんの!?冷たいっ!!」


「そなたの資質、見せてみよ。」


 瞬く間とはこのことだろう!もう身体のほとんどが凍りつき動かなくなる。皮膚から細胞や血液が凍った痛みが全身を走り、頭がクラクラしてくる。もう痛みは感じなくなっていた。


「嫌だ、死にたくない!でも全裸ロリ幼女に抱かれるなんて……最高過ぎるだろう〜!!」


 俺の中に熱いものがうねりをあげ、ひとつになるのを感じた!


「そなた!こんなっ!?」


◇◇◇


「ついに念願のレジェンド武器を手に入れたぞぉーーーっ!!」


 俺はいつも以上に大きな声でそう叫ぶのだった!


 だって、冒険者になって半年、来る日も来る日も冒険という名のお使いに辟易していたところに、心躍る響きのレジェンド級武器をゲットするだなんて、こんなバラ色の瞬間を大人ぶった対応などできるものか!内心はヒャッホー!!である。


 そう俺は生きていたのだ!


 気が付いた後、パチャムの話では……アイスソードを手にした俺は急速に身体が凍結し氷の彫像のようになった。しかし、その直後淡い光が俺を包み、次の瞬間には凍結が無くなった。


 パチャムが必死に回復魔法をかけ続けてくれたようだが、意識が戻るまでは1時間ほどかかったらしい。


「目覚めたか、エルフ。」


 俺が目覚めると、先程の幼女の声が響く。ファナとキューイは身構え、パチャムはまだ身動きができない俺を庇ってくれた。辺りを見回すが俺たち4人以外の姿は無かった。


「そのリアクションは見飽きた。エルフよ、主の持つ剣である。」


 4人は俺が手にしたアイスソードに視線を向ける。


「なん……だと!?つまり、意志ある剣ということか?アイスソードよ。」


 俺はひときわ輝く剣に語り掛ける。


「左様。お主が新たなマスターであるぞ。」


 確かにこの4人で長剣を扱える剣士は俺ただ一人であったが、それを踏まえてこの剣は俺をマスターに選んだのだろうか?


「俺でいいのか?」


「うむ。極寒の我が身を受けてなお、そのいきり勃つ熱は消えることはなかった。かつてのマスター達とは趣きが異なるが……面白いのでな。」


 まさか……俺は自分の股間が膨張していることに気付いた!つまり、ツルペタロリ裸体に興奮したってことだ。なにぶんにもエロゲーでは散々堪能したシチュエーションが実現したのだから……仕方ないじゃないか。


「ブレイブ、勃ってる〜!やっぱ大きいね、それ。あはは〜!!」


 ファナが俺の股間を指差して笑う。幼馴染のコイツらには周知の事実となっているが……イケメンエルフでナニもデカイなんて、なんて女泣かせなバディなんだろう!中身が伴っていないのだけが自分でも残念でならない……。


「うるさいなぁ!レジェンダリーウェポンに興奮したんだよ。悪いか!?」


「武器に欲情したなんて……大丈夫?ブレイブ。」


 悲しそうな眼差しを向けるなよパチャム。ロリ幼女に欲情したなんて言えないので、この場では甘んじて武器欲情フェチを受け入れよう。


「好きに言ってろよ。とにかく、氷の剣のマスターは俺でいいのか?」


 その場の誰も反対はしなかった。


「じゃあ、俺ブレイブがマスターだっ!」


 手にした氷の剣を高く掲げそう宣言する。


「うむ。汝、ブレイブを我がマスターとする。以上。」


 以上って……。アイスソードのマスター承認も得て、これでアイスソードは俺のモノとなった!


 そういえば、今日は俺の誕生日だった。最高の誕生日プレゼントだぁ〜!!


 異世界転生してイケメンエルフとなり、レジェンド級の武器を手に入れたのだ。これ以上ない喜びに身悶えてしまう~!!!


「やったね、ブレイブ!」


 パチャムが感嘆の声を上げると、ファナもまた興奮した様子で抱き着いてくる。


「ブレイブ、勇者になっちゃったみたいだよ!」


 キューイからは特に何もコメントは無かった。彼の無口は常に平常運転である。


「勇者か。そう、これは俺が目指す勇者への始まりの一歩!刮目せよ、聴衆よ!!」


「勃起したまま調子に乗らないの、ヘンタイ勇者様!」


「はぎぁっあああーっ!!」


 笑いながら俺の股間を思いっきり平手で打つファナ。拳闘士の平手打ちなんて素人に、それもナニに使っちゃダメだろー!そして若い女子が笑いながらナニを手を出すなんて……色んな意味で反則だ!!ってバカなファナに言っても仕方がない。言った俺の方がバカだろう。まったくバカバカしい。


 走馬灯の中、ひとりツッコミをした俺は、しばらく再起不能となった。


◇◇◇


「さて……それはそれとして、このダンジョンから出るにはどうしたらいいのかな?」


 つまり、俺たちはこの迷宮で迷ったのであった。迷宮だから迷うのが普通なのだが。


 正確には、何度か来た洞窟でいつも鉱石を採掘する場所で出が悪くなったのでポイントを変えるため洞窟の奥へと進み、何かの罠にはまったのか、洞窟の奥の奥に転がり落ち、偶然古代遺跡に辿り着く……彷徨った挙句の出来事であった。


 迷った4人の間に沈黙が流れた……。


◇◇◇あとがき◇◇◇


ここまでお読みいただきまして誠にありがとうございます。(´∀`)


イケメンキャラに転生した挙句に伝説級の武器までGet!どんだけテンプレなんだと……。でもそうは問屋が卸さないんだからね!( *´艸`)クククッ。


お読みいただいた感想や評価をお願いします。いただけると今後の励みになりますし、もっと良い話にできますので、是非ともお願いします。m(_ _ )m


毎週金曜日の午前中に定期更新してますので、また宜しくお願い致します。(๑>◡<๑)

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