三裏

第1話

私は1人の少女に恋をしている。

彼女はお世辞にも見た目は美しいわけではなく、むしろ他人からは「ブス」や、「化け物」と呼ばれている。


いつも教室の片隅で静かに何かを書いていて以前心無い人に読み上げられていた時に聞いたのは要約すると「この世界を呪っている」といった内容だった。

私を好きにならなそうなところが好きだ。


めったに声を出さない彼女だが声はとてもじゃないが少女の声とは思えなく、まるで老婆のような声だった。

私にしか分からない老婆のような声の魅力が好きだ。


身なりもまるで物乞いのような酷い格好で、いつも生ゴミのような、家畜小屋のような匂いをさせていた。

好きな人の匂いなら獣のような匂いでも好きだ。



私が話しかけると私の事を敵を見るような目で睨んできて、時々「うぅ…」と言ってくれる。

この前も振り向いてほしくて肩を叩いたら驚いた表情をした後に全力で逃げられた。

逃げている途中に転んでいる姿が可愛かった。


休んだ彼女の家に手紙を届けに行ったら彼女の母が出てきてくれた。

彼女の母も彼女に似てとても美しい(醜い)顔だった。

何故か彼女と同じように私を睨んできたけれど。


彼女は段々と学校に来なくなってきた。

彼女の机には花が飾られるようになった。

私は彼女の家に手紙を届けるのが日課になった。

彼女の机に飾られる花は菊だった。

彼女にぴったりだと思った。


ある日もう届けなくていいと言われた。

何故だろう、彼女は学校を辞めるのだろうか、彼女は学校をやめてどこに行くのだろうか?


届けなくていいと言われた一週間後に私は先生に呼ばれて1冊のノートを見せられた。


中には日付と一緒に私への恨み辛みがびっしり書いてあった。

私が毎日彼女に伝えていた言葉、彼女にしてきたボディタッチ、照れ隠しに彼女の物をトイレに入れた事、少しずつ来なくなって机に花を置くようにしたこと。

私はそれを読んでいて涙が出てきた。

こんなに思っていてくれたなんて、私の事を考えてくれたなんて、私と彼女は両思いだったのだ!!

先生が何か言っていたが聞こえなかった、それどころではなかったからだ。嬉しくて嬉しくてずっと涙が止まらなかった。



私の恋が叶った。

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三裏 @sino_xxx

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