第5話 好き ちょっと好き とても好き 情熱的に好き 熱狂的に好き 全然好きじゃない

午後の予定は翌日へ持ち越し。

チンピラが不法占拠し、たむろしていた廃屋の一室をさらに不当に占拠する。


「マイナスとマイナスをかけ合わせるとプラスになるのは、この世の真理です。」

「その論理はよくわからないけど、悪事を重ねただけではないのかの?」


とりあえずそこは聞き流し、衛生的とは言えない室内で手を振る。すると、室内が一瞬でセラミックコーティングされた純白の室内へ変わる。

そこでさらに、魔王様が複雑に指を動かすと、地面から魔光炉がせり出す。


「まぁ卑猥。」

「なんでそうなるのかのぅ、たまに砂理井さんそれいうね。」

「追求したので減点2です。」

「ヒッ」


即席のかまどが完成。

廃墟には薪に使う廃材なら腐るほどあるし実際に腐っているが、それを使って食べ物は焼きたくない。まだ、魔光を高純度熱変換するほうがマシです。


基本的に料理をしない者がパンを焼いても、適当なものしか出来ない。そこは、例の“パン焼き職人の魂を封じ込めた呪具”を使う。


「魔王様、服従のポーズ。」

「それしなきゃだめなの?」

「だめです。」


魔王様が仰向けに横になり、手足を曲げる。


┗(:3┗┗)┛


(かわいい、鍋に入れたいくらいかわいい)


「さ、これで魔術的に完全に無防備になった魔王様に呪具を使いますね。」


(もう少しみてたい)


「………」

「恥ずかしいからはようしてくんない。」


〜2時間後〜


「さて、この“ダブルバイセップスのときの腕を模したパン”の中身ですが、」

「色々言いたいことはあるんじゃけど、とりあえず商品名は“二の腕ぱんぱんパン”でいいんでないかの。」

「なんですかその頭悪そうな名前のパンは。」

「砂理井さんがいうてたよ。」

「採用しますが。」

「切り替えが早いのは本当にすごいなァ。」

「まずは食べてみましょう。」

「中身なんでしたっけ。」

「卵黄、牛乳、砂糖、薄力粉を混ぜた、カスタードというものです。」

「かすたぁど。おいしそう。」


実食。


「うまあい!!!砂理井さん!うまいよこれぇ!なにこれぇ!!」

「銀貨10枚です。」

「えっ」

「銀貨10枚です。」

「えっ、うそ、お金と、る、お金、わしおかねない。。。」

「食い逃げですね。」

「いや逃げないって、ちょ、砂理井さん、道端のお花摘んでなにを、、、」

「花占いで決めましょう。」

「えっ、何を、えっ」

「はい、潰す 少し潰す 確実に潰す 派手に潰す 拷問して潰す 狂気に任せ潰す 全然潰れない、潰す、少しつぶ」

「ああ!なにを、何を潰されるのだ!!!」

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