エピローグ 再会

 夕暮れ時の学校の図書室。バサッと本が落ちる音がした。


「あ、ごめん。西日が目に入って」


 男子生徒が落した本を拾って、渡すはずだった人物に差し出す。


「いえ、大丈夫です。私も眩しくて」


 微笑みながら女子生徒は本を胸に抱えた。


「確か、最近転校してきた子だよね」


「転校とは少し違いますけど、私、一年B組のミツハシナナです」


「ミツハシさんか。俺は二年A組のアソウコウジ」


「アソウ先輩ですか」


「「……。」」


 二人は何か言いたげだけど、何も言葉が出てこない。


「それじゃ」


 どちらともなくそう言い、別れていくところだった。


「こんにちは」


 声をかけられた。二人が目線を向けると、銀色の髪に紫色の目をした少年が立っている。少年はにっこりと笑んで二人に話しかける。


「僕は今度留学することになっているジニー・フォックス。ねぇ、君たち」


 二人ともその声になぜか懐かしさを感じた。


「本は好きかい?」


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魔法古書店に、いらっしゃいませ。 白川ちさと @thisa-s

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