第4話 恋する女子高生
汲田美来
16歳
高校一年生、黒髪、肩まであるふわっとした長めのボブで、ちょこんと見える耳が可愛らしい。
顔も可愛らしいのだが、引っ込み思案でおどおどしているため、せっかくのビジュアルが台無しになっている。
細身で小柄、胸も小柄。
18:00〜21:00の間のバイトさんだ。
ここのコンビニにはイートインコーナーがある。
ただでさえ賑やかなおばちゃん集団が下世話なな話で盛り上がっていた。
「それでさーうちの旦那がインポで役立たずなくせに浮気よー、まったく世の中どうなってんのよー、まぁ金さえ持って来ればいいんだけどさー、私も腹いせに不倫してやったわー、ロマンスは外に求める時代よ!」
おばちゃんは流水の動きでレジ横ホットドリンクの陳列棚からお茶をおもむろにとり、日常動作のようにペットボトルの蓋を開けて飲んでいる。
品出しをしていたミクはまさにその一部始終を目撃してしまった。
あー!ちょっと!おばちゃん万引きー!
なんか自分家の冷蔵庫から出したから当然お金いらないみたいな動きだったから、自然な動きすぎて一瞬わからなかったけどそれ万引きー!
ほらミクちゃんなにおどおどしてんの、捕まえなきゃ!
「あ、あのあのー、お客様?」
がんばって!
「なによ今忙しいの!見ればわかるでしょ!」
「も、も、申し訳ありません」
ばっと頭を下げると、ミクは泣きそうになりながらレジのなかに引き下がった。
「あのー、店長、万引きされたお客様がぁ・・・」
バックヤードに行き店長の助けを求める
「んー、もしかしてペットボトル勝手に飲んでるおばさんのこと?こまったわね、もう3回目だからさすがに警察に引き渡さないと、いちおう防犯カメラ確認してみるからちょっと待ってね。」
「てぃーす!
お!ミクじゃーん!上から読んでも下から読んでもクミタミク元気!?」
あれ、このバカまだ出勤じゃわないわよね?
相変わらず元気全開ね
「あ、あ、とらくん」
あらあらミクちゃん、目が輝いちゃってるわよ、若いっていいわねー、こんなアホのどこがいいのかしら?
「今日ははやいんだね?」
「あれだ、ミクがバイト中にスイッチでクプラトゥーンやらして貰おうかと思って、早めにだな…」
「おう!?どーしたクミタミク!今日なんか元気ねーな!あ、今逆から名前言ったのわかる??」
わかるかーい!
「うん、あのね、今ペットボトルを万引きのおばさんがいて、私、その、怖くて注意できなくて・・・ごめんなさい」
「あー!?万引きぃー!?ペットボトルゥー!?どのババアだ!?」
「ちょ、ちょ、ちょっととらくん、聞こえちゃうよ」
そう言ってミクは思わず虎の手を握ったてしまったが、しばらくして真っ赤になってぱっと手を離す。
すると今度は虎のほうからミクの手をガッシリと握りしめこう言った。
「わぁった!任せとけミク!!」
やだミクちゃん、顔から湯気がでてへたり込んじゃったけど大丈夫かしら…
「おうおうおう!!ペットボトル万引きしたクソババアは誰だ!?」
「なによあんた?」
「その娘が見間違えたか、ウソついて手柄でも立てようとしたんじゃないの??」
「は!?クソか?ミクが嘘つくわけねーだろ!?ノウミソ発酵しちまってんじゃねーのかババア」
「なんてこと言うのよこのクソガキ!
店長!店長呼びなさいよ」
「あ!?万引きコジキヤローは店長出るまでもねーんだよカス!」
「て、て、店長!とらくんが、とらくんがっ」
「はいはい、聞こえてるわよ、あのお客さんここらへんの大地主の奥様でね、あまり事を荒立てたくなかったのだけれどしょうがないわね」
店長がバックヤードから出てくる。
「ちょっと!アンタが店長!?従業員にどんな教育してんのよ!なんなのあの態度?
あんたなんてダンナに言いつけて、こんなコンビニぶっ潰してやるからね!」
「ッセヴァヴァー!その前にぶっ潰れんのはテメーの頭だ!!」
スパァーーーーン!!
と頭に丸めた雑誌が振り下ろされた。
虎の頭に
「で、このバ、ご婦人が?」
あ、店長いまババアって言おうとしたww
「ペットボトルを清算前に飲んだのをミクが目撃したのね?」
「はい、間違いないです。」
「なんてガキなの!デタラメよ!!」
「だーら、ミクが嘘つくわけねーってんだろ、クソババア!!」
スパァーーーン!!
もう一発虎の頭に直撃する
「ちょっと黙ってなさいね」
店長がまさか口より手が出る方が早いタイプだったとは…
「○○さん、以前のも含めて3回ほど防犯カメラに録画されておりますが、拝見なさいますか??」
「そんなもの、ダンナの力でもみ消してやるからなんとでもしなさいよ!」
「わかりました、そういうことなら警察の方に来てもらいますね。」
こうして万引きおばさんは無事に警察に引き渡された。
虎はというと、クマ耳のように2つたんこぶができている。
店長、剣道5段、丸めた雑誌でこの威力!達人!
勤務時間が終わり、制服に着替えたミクが出てくる。
「ゴメンねとらくん、わたしのせいで、店長に怒られちゃって…たんこぶ痛いよね…」
「今日は本当にありがとうとらくん、あの、なにかお礼とおわびがしたいんだけど…
こ、こ、今度一緒にご、ごはんとかどうかな?」
腕組みして目をつむり頷くとら
目を輝かせるミク
「パンツで勘弁してやる!」
「へ??」
え??
「ミクのパンツがみたい!!」
なに言っちゃってんのよこのバカ??
「え!?わたしの…は、恥ずかしいけど…とらくんがどうしてもって言うなら…」
うそっ!!見せるの!!?
そう言って膝あたりまでのスカートの裾に
手をかけ、ゆっくりと少しづつ持ち上げていく、
恥ずかしいさで目線が左右に動いてさだまらない。
ダメー!ミクちゃんダメー!!
いよいよギリギリのところまでスカートをたくし上げると、真っ赤な顔で涙目をキュッとつむりながら
震えている。
虎はミクの頭の上にポンと手をおいた
「なーんてな!おまえさぁ、悪ぃ男に騙されんなよ!」
あんたがゆーな!
その夜ミクはベッドにうつ伏せになりながら日記を書いていた。
「ふふふ、ミクが嘘つくわけないって、えへへ」
ミクはばふっと枕に顔をうずめながら足をバタバタさせて灯りを消した。
第4話 終
「あの、虎くんって料理できるの?」
「(きっとでできないから私が作ってあげたいな…)」
「あ!?出来るに決まってんだろ!
カップ焼きそば作らせたら右にでるモンはいねぇ!」
「すごーい!私今度食べたいな、とらくんの作ったカップ焼きそば」
「おう!まかせとけ!!」
第4話 完
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