Chapter 34 オークジェネラル
はいどうもー!みんな大好き凛ちゃんねるの時間ですよー!今日はなんと!ついに!怪しいダンジョンの4階層にやって来ちゃいましたー!!いえーい!ぱふぱふ!
いやー、皆さんもご覧になってわかると思いますが4階層になっても内装変わってないんですよー。コレ手抜きですよね?きっとモンスターも変わってないんだろうなぁ……って思ってたそこのアナタ!!!同じじゃないんです!!!さあ見てくださいドーン!!オークはオークでもオークジェネラルが出て来たんです!!え?結局オークかって?わかってないなぁ…これだから素人は。よく見てください。よ・ろ・い、着てるでしょ?え?だからなんだって?ちっちっち!素人はダメですねぇ。なんとこの鎧が凄いんですよ。神々の衣で爆上げされたルキナちゃんのシュタルクフランメを喰らって傷も無ければ焼け焦げてもいないんです!!この素晴らしい鎧、今ならなんと!!はいドーン!!5980円!!お値段5980円でお買い求め出来ます!!
え?高い?ちっちっち!これだから素人は。ちゃんとオマケもあるんですよ。今ならなんと!このオークジェネラル本体まで付いて来てお値段送料込み3000円でどうだ!!持ってけドロボー!!
え?そんなのいらないからアナスタシアよこせって?あまり調子に乗るなよ小童が。アナスタシアが欲しかったらテメェらも自殺して異世界転生してみやがれってんだ!!
……って、バカな事やってる場合じゃねえんだよ。え、なんなの。なんでこのブタ無傷なの?ルキナのシュタルクフランメ喰らってたよね?モロ入ったよね?だって通路無くなってんじゃん。大広間になってんじゃんこの一帯。それで無傷とかなんなの。え、洒落になんなくない?
「あれ?ルキナの魔法入ったよね?」
「……はい。間違いなく当たりました。」
「だよね?なんでアイツ無傷なの?」
「…リンちゃん、あの鎧、《魔法反射》が付与されてるんだと思います。」
「《魔法反射》?」
おいおいそんなのまであんのかよ。魔法使い殺しじゃねえかよ。そんな装備着けてるとかダメだろお前。反則だろ。モンスターのくせに装備身につけてんじゃねえよ。
「言葉の通り魔法を反射させる効果を持った付与です。でも…オークジェネラルがそんな高ランク装備を持ってるなんて聞いた事がありません…」
少なくとも装備を着けてるモンスターはいるんかい。マジかよ。オークなんて棍棒しか持ってちゃダメだろ。よく見たら剣も差してんじゃん。
『ククク、他の同胞たちと一緒にするな。俺は”あのお方”からこの鎧を賜ったのだ。』
「……。」
「……。」
「……。」
『……。』
………オークジェネラルとアナスタシアもルキナも俺の方を見て時が止まってやがる。ここで本当なら「あのお方って誰だ!?」って話の流れになるんだろうが俺は言わない。そしてそれをこのキレカワも絶対言わない。俺たちはイベントを発生させるのが大嫌いだからそれは絶対しない。その点だけは俺とキレカワは意見が一致するのだ。そういうのは勇者にでも言って。俺は関係ないから。
『……貴様らにはもはや勝ち目は無い。大人しく孕むだけのモノになるがいい。』
フン、痺れを切らして話を進めやがったか。情けない奴だ。そういう根性無しは俺は眼中にない。許してやるからさっさとどっかへ行きやがれ!!
「フッ、魔法が効かないだけで随分と態度がデカいんだね。」
挑発すんのはやめろよ。もう転送石だっけ?それ使って逃げようよ。ね?平和に暮そ?もうハーレム諦めるから。3人で仲良く暮そ?
『クヒヒ、その吸血鬼の雌が貴様らの最高戦力だろう?俺に魔法は効かん。もう貴様らに勝ち目は無い。大人しく孕み奴隷となるならば痛い目には合わなくて済むぞ?』
「相手の力量も理解出来ないか。知能低いんだね。」
キレカワの挑発により激昂したオークジェネラルが地を蹴り俺たちへと向かって来る。話し合いのはの字もねえよ。全然知的生命体じゃないじゃん。野獣だよ。
やべえ、やべえよ。早く転送石使って!!早く!!
「ルキナ、どう?剣でアイツに勝てる?」
「すみません、私ではダメです。」
ムリなんかーい!!だったらそんな落ち着いてんなよヴァンパイアガール。お前臆病って設定どこやった?
「わかった。アナスタシアの事お願い。私がやるから。」
「わかりました。」
「えっ!?リ、リンちゃん!?」
流れるような動きで俺とルキナが入れ替わる。アナスタシアはオロオロとしているがルキナが颯爽とアナスタシアに付いて周囲の警戒をする。当然アルタイルは手に持っている。
そして俺はオークジェネラルの元へと駆けている。ブレーキかけたい。それかバックしたい。一目散に逃げたい。やめてくれ。絶対死ぬ。いや犯される。オーク製造機にされちゃう。そんなの嫌だ。
だが俺の心配をよそにオークジェネラルは剣を振り上げて俺に叩きつけるように振り下ろす。もうね、凄いよその振り下ろし方。生かす気ないもんね。もう孕ませる気ゼロ。あ、終わったなって思ったよ。でもさ、このキレカワやっぱ凄いのね。オークジェネラルの一撃を神魔の剣で軽く受け止めてんの。衝撃なんか感じないよ。体重差とかパワー差はどうした?
『な、なんだと…!?この俺の一撃を…!?』
「なんだ、大したことないね。」
俺は腕に力を入れて押すと、そのままオークジェネラルが吹き飛ばされる。流石に体格差があるから字面の通りに吹き飛んだ訳ではないが大きく身体がよろけている。それを俺は逃さない。そのままオークジェネラルへ駆けると大声で叫んだ。
「アナスタシア!!」
「えっ!?あ!!は、はいっ!!」
アナスタシアは何かに気づいたようだ。俺にはなんだかわからない。なんでアナスタシアを怒鳴りつけたんだろう。そんな事より集中しろ。もうやるしかねえんだから。
「マハトシュタイガーン!!」
アナスタシアが俺にバフをかける。攻撃力強化のやつだ。俺はそのままの勢いでオークジェネラルのガラ空きの胴に神魔の剣を横一閃叩き込む。
『ガアッ…!?』
俺もといキレカワの一撃はオークジェネラルを鎧ごと綺麗に真っ二つに裂いた。上半身と下半身に分かれたオークジェネラルは苦しそうにウネウネと動いているが非常に気持ち悪い。吐きそう。生命力強すぎだろ。
つーか、アナスタシアを持ち上げる為に攻撃力上げてもらったんだろうけど上げてもらわなくても間違いなく勝てただろう。俺の強さってマジでどうなってんだ。ちょっと強すぎる。
『この俺が…ヒトの雌にたったの一撃で…』
喋ってるよオークジェネラル。これってアレみたいだよね。テケテケだよね。こわっ。足を求めて夜な夜なやって来ないだろうな。
『クソッ…無念…』
オークジェネラルはそう言い残し息を引き取った。オークジェネラルが弱いのか俺が強すぎるのか。いったいどっちなのだろう。でもアナスタシア情報から引っ張ると相当強いよな。一体俺は何者なんだ。こういう時に神様のチュートリアルとかないの?そういう異世界転生モノ多いよね?神様?いません?女神様?いませんかー?
「リンちゃんっ!!」
「リンさん!!」
戦いを終えた俺の元に2人の美少女が駆け寄って来る。ああ、走る姿も絵になるな。
「勝ったよ。」
「またそんなクールな口調で…」
アナスタシアが少し苦笑いで困った表情をしている。そうだ困った奴なんだよコイツは。だからアナスタシアもこのキレカワの言う通りにしちゃダメなんだ。もっとコイツの行動を窘めてやってくれ。
「アナスタシアが気づいてくれるって思ったからね。楽勝だったよ。」
「えへへ、リンちゃんのして欲しい事はわかるようになって来てますから。」
うおぉ…ヤンデレヴァンパイアガールが凄い目でアナスタシアを睨んでる。親の仇みたいな目をしてるぞ。おいキレカワ。なんとかしろ。ルキナのフォローをちゃんとしろ。お前ならなんとか出来んだろ。
そう思っていると俺はルキナに近寄り耳元でそっと囁く。
「妬かないの。後でちゃんと可愛がってあげるから。」
俺がそう言うとルキナは顔を赤くして俯く。チョロいな。よかった。ルキナはまだまだチョロ娘さんだ。
と、ルキナを宥め終わったらオークジェネラルの死体に変化が起こる。いつものように倒したモンスターの姿が消えたと思ったら装備していた剣と鎧が残る。ただし鎧は俺がぶった切ったので破損している。
「あれ?何これ。なんで装備残ってるの?」
「あ、モンスターが装備していた武具は残るんですよ。滅多に装備しているモンスターなんていませんけど。」
「そうなんだ。でも剣はともかく鎧は私が斬っちゃったからな。」
「壊れていても素材として使えるから売れると思いますよ。」
「そうなの?」
「はい。特に効果付きだから高く売れると思います。」
そうなのか。もしかしたら金貨になるかもしれん。これならウハウハ出来そうだな。
「それじゃ悪いけどアナスタシア、ラウムにそれしまってもらえるかな。」
「任せてくださいっ!…リンちゃんっ!敵が近づいてます!!恐らくオーク、数は10以上はいます!!」
「ふーん。ま、余裕かな。ルキナ、私もやるから一気に掃討して5階層に行くよ。」
「はい!」
・4階層 オークジェネラル戦利品として大剣と壊れた鎧(効果付き)を手に入れた。
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