Chapter 33 初めての上位種

はいどうもー、異世界ハーレム転生目指して自殺した凛くんでーす。さあ、今日はなんと美少女2人を連れて人気の無い怪しげなダンジョンに来ていまーす。どうですかこの怪しげな内装!ダンジョンなのに高級ホテルのような内装ですよ!意味不明ですね!

お次はこちら見て下さい!やはりホテルなのでしょうかコンシェルジュの皆様がいますよー!でもこのコンシェルジュ…なんとオークなんです!!見て下さいこの醜悪なツラ!!絶対悪い事してますよね!こんな悪そうなコンシェルジュはー、はいルキナさんやっちゃって!!ドーーン!!はい!!綺麗さっぱり消えちゃいましたねー!!え?壁に穴が空いてる?はっはっは、そんな細かい事は気にしなくていいんですよ。気になる方は猫耳美少女のアナスタシアさんでも見ててねー!


…って馬鹿なユーチューバーみたいなマネはやめるか。ダンジョン攻略中の俺たちは今3階層に来ている。1階2階と探索をしたが内装に変化は無い。ただ大部屋と見られし所には1階には劇場があったが2階には大ホール、そして今いる3階には食堂があった。やはりここはホテルなのだろうか?それ以外に部屋も何もなくただひたらすら通路が続いている。

モンスターはオーク以外に現れたモノはいない。全オークだ。現れるオークは全てルキナがぶっ飛ばし一撃でケリがつく。魔法を連射しても神々の衣でMPが自動で回復するので俺たちはノー消費ノーダメージ。ただ不満なのは60以上仕留めているオークに対してオークの心臓は1つだけという引きの悪さ。成金への道は遠いようだ。何より宝箱とか無いんだけど?ゼロだよゼロ。まったく儲からないんだけど。いやね、銅貨30稼いだんだから割は悪くないのかもしれないけどそれってルキナと神々の衣のおかげだからね。どちらか欠けてたら赤字になってるかもしれないからね。



「ありました。次の階層に行く為の階段です。」



先頭を歩くルキナが階段を発見する。まだ先に続く道はあるがもういいだろう。1階2階とフロア全てを回ったが結局何も無かった。3階も結局同じだ。わざわざ面倒な事はしなくていい。



「次の4階層は足こそ踏み入れててもそこから先には進めていない区域です。気を引き締めていきましょう。」



アナスタシアが神妙な顔で話す。確かにそうだよな。4階まで行った記録はあってもどこまで探索したのかはわからない。もしかしたら4階に降りた瞬間に脱出したのかもしれん。ここからは世界が違うのかもな。



「作戦は特に変える事なく進むよ。ルキナ、MPは大丈夫?」


「大丈夫です。神々の衣のおかげで全く減ってません。」


「オッケー。それじゃ行くよ。」




アナスタシアとルキナが頷き俺たちは4階層へと続く階段を降りた。




********************




4階層へと来た。内装に変化は相変わらず無い。嫌な予感も別にしない。特段変わった雰囲気は無いぞ。ここを攻略出来なかったのか?でも理由無しにうん十年もほったらかしにはしないよな。何かあるんだろうか。



「別に普通だね。」


「そうですね。」



ルキナも別に何も感じていないようだ。やっぱり危険性なんか無いんじゃないか?ヤバい時って雰囲気出るもん。



「……リンちゃん、ルキナちゃん。強い個体がいます。あの角の先からこっちに来てます。」



そう思ってたらアナスタシアのセンサーに何かかかりやがった。アナスタシアが青い顔をして震えながら俺の左手を掴む。そしてそれをルキナが鋭い目で睨みつけている。なんなのこの別の意味での緊張感。




「アナスタシア落ち着いて。大丈夫だから。」



いや大丈夫じゃねえよ。ちっとも大丈夫じゃねえよ。そのヴァンパイアガールの眼を見てみろ。今からボス戦かってぐらいの禍々しい眼だよ?しかもMP永久機関で各種能力引き上げられてる化け物だよ?ヘタしたらルキナに勝てる奴いなくね?ジュノーでも勝てる?仮に今はジュノーが上でもレベル上がったらルキナが地上最強なんじゃねえの?神々の衣返してもらった方が良くない?



「そんなに強いのがいるの?」


「……はい。相当な強さだと思います。エアストダンジョンで出会った未知のモンスターよりも上です。」



ふむ、マンティコアより強いのか………





……別に楽じゃね?




マンティコアなんてハッキリ言って俺の敵じゃなかった。ミノタウルスとの違いが感じられないぐらい楽勝だった。アナスタシアに自信つけさせたかったから時間かけただけで実際は一撃で終わらせる事が出来た。


ふむ…さてどうするか。アナスタシアのフリがある以上あっさり倒したらこの前のマンティコアなんだったの?って話になる。女の機嫌損ねると面倒臭いというのはアニメや漫画で習得済みだ。どうやってカドを立てないようにモンスターを処理しよう。まあルキナにやってもらうのが一番か。多分フランメで大丈夫だろうけどシュタルクフランメぶっ放せば問題あるまい。問題なのはルキナのシュタルクフランメにこのダンジョンが耐えられるのかだ。一歩間違えればダンジョン倒壊する。そうなると俺たちは生き埋めか?それは嫌だな。苦しいのは勘弁。



「未知のモンスター…?そんなものと遭遇されたのですか?」


「まあね。でもそんな大した事なかったよ。アナスタシアのお陰で。」


「そ、そんな…!私は別に…!」



アナスタシアは青い顔のまま謙遜した感じで言ってる。そしてそれを怖い目でルキナが見ている。お前ホント空気読んで?



「……リンさん、私がそいつをやります。」



ルキナが鋭い眼を通路の先へと向ける。なんか覇気が出てるよこのヴァンパイアガール。お前まさかワザとルキナに仕向けたのか?そうすればアナスタシアにバレないから?いや…どうだろう。このキレカワがそんな頭使うとは思えない。てか何にも考えてないだろコイツ。



「あ、危ないよルキナちゃんっ…!?みんなで戦おう…!?」


「大丈夫です。……リンさんにとっての1番は私なんだから。」



……頼むからキレカワさんよ、ルキナをこれ以上刺激しないでね?俺ハーレム持てなくなるからさ。


そんなこんなでゴタついていると件のモンスターが角から姿を現わす。ん……?オーク……?なんか少し体デカくね?それに皮膚の色が濃い。つーか武装してんじゃん。鎧と槍を持ってやがる。



「オ、オークジェネラル…!?な、なんでそんな上位種がこんな浅い階層に…!?」



アナスタシアがめっちゃビビってる。身体を震わし更に顔色が悪くなる。てか上位種?ジェネラル?強いのか?上位種ってルキナも上位種なんだよねそういえば。



「何?アレやばいの?」


「あれは…オークの上位種であるオークジェネラルです。オークの階級は5段階あり、オーク→ハイオーク→オークナイト→オークジェネラル→オークキング、となります。上から2番目の階級であるオークジェネラルは個人ランク50の冒険者が単体では死んでしまうぐらいの相手です。」



え、なにそれ。ヤバくね?ルキナで死んじゃうレベルって事?ヤバいじゃん。俺たち最高火力でやらないとじゃん。てか撤退じゃん。逃げの一手しかないやつじゃん。




「ふーん。」



ふーんじゃねえよ。お前ぶっ飛ばすぞマジで。



「ふ、ふーんって…リンちゃんは怖くないんですか…?」


「別に?」



俺は怖いです。嫌です。帰りたいです。



だがここで俺の想定外な事が起こる。オークジェネラルとやらが突如笑い声を上げ出し口を開いた。



『クハハハハ。ヒトのメスが虚勢を張りおるわ。』



しゃ、しゃべった!?しゃべったよこのブタ!?ブヒヒーンじゃなくて人語しゃべったよ!?



「へー、しゃべれるんだ。」


「上位種は私たちの言葉を話す事が出来るんです。」



だからマンティコアもしゃべれてたのか。意思疎通出来るんなら平和的にいけないかな?ケンカなんてやめようぜ?異種族でも仲良くなれるよ。アナスタシアとルキナだって異種族なんだから。ん?まてよ?モンスターって異種族って言えんの?どうなの?その辺グレーゾーンじゃない?どちらかといえば魔族?それダメなやつじゃね?



『ククク、久方ぶりの獲物。それも人族、猫人族、吸血鬼族の極上の雌。これは堪らんな。死ぬまで孕ませてくれる。』



ヒイッ…!?やっぱり話し合いなんて無理な感じ!?やっぱりオークじゃん!性欲の塊オークじゃん!!てかやっぱり異種交配出来るんだ!?



「ねえアナスタシア、異種交配ってちゃんと出来るの?」


「出来ます。先程も言いましたがオークは多種族の女を攫って繁殖の為の道具にするんです。他にもゴブリンやオーガは異種交配をして数を増やします。」



ゲッ…!!やっぱりそうなのか。てかオーガいんの?オーガってヤバいんじゃねえの確か。かなりの強キャラ設定の話が多かったぞ。だってオーガってアレだろ?鬼だよね?鬼で弱いのってあんまいないぞ。作中最強クラスが多いじゃん。オーガとは会いたくない。多分死んじゃう。それより今死んじゃう。いや死なないのか。孕まされちゃうのか。えっ!?このキモいのに!?ヤダヤダヤダ!!無理無理無理!!絶対むーりー!!



「ふーん。ならアナスタシアとルキナとも繁殖出来るって事だね。」


「はい、そうなります。」


「そうですね。だからリンさんと私で繁殖もちゃんと出来ますよ。」


「えっ!?ルキナちゃん今なんて言いました!?」




このヴァンパイアガールもう堂々と言いやがったよ。百合属性隠す気ねえよ。



「それじゃルキナやっちゃって。」


「はい。」


「私の問いはスルーですか!?ルキナちゃんの口からとんでもない言葉を聞いたような気がするんですけど!?」


「シュタルクフランメ」




ごちゃごちゃとうるさいアナスタシアをよそにルキナは爆裂一閃のシュタルクフランメを放つ。ガス爆発でも起こしたのかってぐらいの凄まじい爆音が起こる。加えて近距離での魔法の為かなりの衝撃が私たちを襲うが魔力が高いせいか私とルキナにはさしたる影響は無い。唯一アナスタシアが衝撃を受けるが俺が守る形で盾になっているので安全だ。

モロに喰らったなオーク野郎め。全然大した事ねえじゃねえか。何が50レベの奴でもヤバいだ。所詮噂はこんなーー何だと…?オークジェネラルが全くの無傷でその場に立っている。そんなバカな。シュタルクフランメだぞ。魔王でも葬るぐらいの火力っぽい威力だぞ。それが無傷なんてあんのかよ。



『クハハァ、さて、頂くとするか。』



オークジェネラルは値踏みするような醜悪な面で舌舐めずりをしながら俺たちを見ていた。

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