Chapter 31 実験
「¥€%¥×%#々〆」
「<%÷×☆<×」
オークどもがなんか知らない言葉で会話をしている。俺らを指差して笑ってるように見える。アレってさ、アレじゃない?
『オイオイ、上物のメスが3匹いるぜ。』
『キシシシシ、最高の苗床だな。孕ませまくってやんぜ。』
的な会話してんじゃね?絶対そうじゃね?マジ嫌なんだけど。俺本当に嫌だ。帰りたい。日本帰りたい。家でニートしてれば良かった。なんで異世界転生なんかしちゃったんだろう。俺がバカだった。女にモテなくてもアニメ見てブヒブヒ言ってるだけで良かった。帰りたい。
「さてと、さっさと倒そうか。」
ねえお前さ、何でそんな余裕なの?本当に尊敬するよ。頼むからなんとかして。今回ばっかりは本当にお前が頼りだよ。
「ルキナ、アレやれる?」
キレカワが左手の親指でオークどもを指してルキナに尋ねる。
おい。ルキナ頼みかよ。お前がやるんじゃねえのかよ。ルキナが犯されるだろ。やめろよ可哀想だろ。みんなで逃げよう。あのデブ体型なら敏捷低いよ。逃げよう。な?
「先ずはルキナの実力見たいから実験したいんだよね。どう?」
「やれると思います。スノウフレイク近郊にある森でオークと対峙した事がありますが今よりランクが低くても問題にならなかったです。」
強えじゃん。どこが臆病なんだよ。流石はヴァンパイアガール。これからはルキナの後ろに隠れて生きよう。俺を守ってね。
「ただ、3体同時に相手はした事がありませんのでそこだけが不安です。」
えええ…俺も不安なんだけど。
「とりあえず魔法一発ぶちかましてもらえる?万が一ヤバければ私もやるからさ。」
「わかりました。」
一応の作戦が決まった。アナスタシアは少し不安気な顔はしているがルキナは全くしていない。きっと俺もしていないのだろうがめっちゃ不安だ。
オークたちがニヤけながら階段をドスンドスンと力士のようなガニ股でオラついた感じで降りて来る。負けるなんて微塵も思ってなさそうだ。ルキナはいつ攻撃するのだろう。やるならやるでさっさとやって欲しい。ダメなら早く逃げたい。
そう思っているとルキナの射程に入ったのか地面に魔法陣っぽい青く発光したモノが浮かび上がる。
「シュタルクフランメ」
俺たちの前方に同様の魔法陣が3つ展開されそこから激しい炎がオークたちへと竜巻のように襲いかかる。瞬く間にルキナの魔法がオークを飲み込み、その激しい魔法の威力により客席に炎が燃え広がり延焼し出す。
シュタルクフランメ。確か中級魔法だったはずだ。凄い威力だとは思うが……こんなもん?あれ?俺の使ったフランメの方が火力高くね?
「や、やりましたか…!?」
「……いえ、1体はやりましたが2体は残っています。」
燃え広がる炎の中からオーク2体が現れる。あんまりダメージが無さそうに見える。恐らく障害物が邪魔したのと狭い階段だから死んだオークが盾になる形になったんだろう。オークが思った以上に強いのか?てか火力不足なんじゃないだろうか。もしかしてルキナ出来ない子か?そんな事聞けないもんなぁ。
「ねえルキナって手加減した?」
「え?いえ、全力で放ちました。」
「今の中級魔法だよね?威力弱くない?」
おいやめろよ。何でそんな可哀想な事言うんだよ。なんか昔の俺が言われた事あるような台詞回しだから悲しくなる。ほら、ルキナも悲しそうな顔してんじゃん。
「だってさ。フランメ。」
俺が何の脈絡も無しにオークに向かってフランメを放つ。ルキナのシュタルクフランメを超える火力の炎属性魔法が爆弾のように破裂してオークと客席を葬る。客席ボッコボコになっとる。前より威力上がってね?
「ほら?初級魔法でこんな感じだよ?」
ルキナがポカんとした顔で俺を見ている。アナスタシアはなんとも言えない顔で俺を見ている。
「な、な、な、何ですかその威力!?」
「え?おかしい?」
「おかしいですよ!?何で本職の私より威力凄くてしかも下位魔法なんですか!?これでも魔の衣のおかげで威力アップしてるのに…!!そもそもなんで魔法陣破棄してそんな破壊力なの!?」
「そんな事言われてもなぁ。」
このなろう系みたいな展開やめない?なんか恥ずかしくなってくる。
「リンちゃん。リンちゃんとルキナちゃんの差はリンちゃんが装備してる神々の衣のせいですよ。」
「あー、そういう事か。ルキナ、装備の差だよ。ごめんごめん。」
「どういう事ですか…?」
「リンちゃんの装備してる衣は神々の衣といってSS級装備なんです。」
「え、SS級…!?そ、そんな装備持っていたんですか…!?」
「そうみたい。因みにこの神魔の剣はSランクだよ。」
ルキナが引きつった顔で乾いた笑いを出している。だよね。こんな装備普通持ってないもんね。でもアレだな。実際問題俺の装備ってどれぐらいの効果あんだろ。魔力上昇(大)だっけ?それの底上値がよく分からん。ルキナに装備させてみるか。それでどれだけアップすんのか見れば早いよ。
「ていうか実験なんだから色々なパターンを検証しないとだよね。ルキナ、それ脱いで。」
「ええっ!?ぬ、脱ぐって何をですか!?」
「上だよ上。そのキャットスーツみたいなの。」
「こっ、ここでですか!?」
「当たり前でしょ。ほらさっさと脱いで。」
ルキナが顔を赤くしてオロオロしながらアナスタシアを見る。でもアナスタシアは何かを察したのか無言で後ろを向いてせめてもの配慮をするがルキナにとってはあまり意味をなさないようだ。
しゃあない。俺が先に脱げば恥ずかしさも少しは楽になるだろう。
俺はマントを脱ぎその下に着ている中二の衣、もとい神々の衣を脱ぎ始める。ルキナはその光景に驚いてはいるが俺の露わになっている胸元に目が釘付けになっている。お前も結構スケベだなルキナ。
「な、何をしているんですか!?」
「何って?脱いでるんだけど?」
「どうしてですか!?」
「ルキナだけ脱いでも仕方ないでしょ。」
「ふ、2人で裸になってどうす……まさかここで…その…スるんです…か…?」
ヤるわけねえだろ。何を言ってんだお前。とんでもないエロ百合ヴァンパイアだな。
「……あー、ちゃんと説明してなかったね。私とルキナの装備を交換するんだよ。私のこの衣?はさ、魔法使いに最適だと思うんだよね。だからルキナの魔法がどれだけパワーアップするか確かめようと思って。それともルキナは私が直に着ちゃった服なんて着るの嫌?抵抗あーー」
「ーー全然ないです。交換します。」
ルキナが食い気味に交換作戦に乗って来た。まあいいけどさ。お前女の俺好きすぎだろ。
「そっか。それじゃ脱いでね。」
ーー
ーー
お互いの装備を交換した俺とルキナ。下のスカートみたいなのは2人とも同じ感じのを履いていたので特に変化は無い。だが……中二の衣ヤバいな。ルキナが着たらクソ可愛いんですけど。これぞ異世界って感じなんですけど。問題なのは俺がキャットスーツな事だよな。最高に萎える。可愛くてセクシーになってるのはわかるけど鏡見たくない。どんだけ俺が可愛くても自分に興味はない。
「それじゃ準備出来たね。着心地はどう?違和感ある?」
「着心地は最高です。……リンさんの匂いするし。」
「ん?なんか言った?」
お前聞こえてねえの?そのヴァンパイアガール色々とダメじゃね?男に惚れそうにないんだけど。第三夫人大丈夫だろうな。
「ただ…違和感といいますか…身体から魔力が漲って来ます。いえ、力が湧き上がるようです。それにさっき魔法使った時に失ったMPが戻って来てるような…」
「MP自動回復とか身体能力上昇みたいなの付いてるからじゃない?」
「流石はSSランク装備ですね…リンさんは大丈夫ですか…?力が大幅に下がったのでは…?」
「どうだろうね?神魔の剣持ってるからかな?何にも変わった感じしないんだよね。」
うん、全く変化は感じない。身体が重くも感じないし。なーんもさっきまでと変わらない。
「とりあえず先進もうか。」
俺を先頭に破壊された客席とオークの肉片の間を通り抜け入退場口へと足を進める。入退場口の扉も俺のフランメによって跡形も無くなっている。焼け焦げた入退場口から顔を出すとさっきまでと同じような絨毯の通路が左右に広がっている。
「さてどっちに行こうか?アナスタシア、敵いる?」
索敵センサーを持つ有能猫耳アナスタシア。アナスタシアに聞いて敵がいる方に向かえばとりあえずは安定だ。オークなんか雑魚だとわかった今じゃ俺の敵ではない。
「左にモンスターが3体いますね。多分オークだと思います。」
「なら好都合だね。そっちに進もう。」
俺たちは左の通路に向けて歩いて行くと、程なくしてオークたちと遭遇する。こちらに気付いたオークたちはオーク語で興奮しながら俺たちについて話している。残念だったなオークたちよ。アナスタシアとルキナに種付けしたかっただろうが貴様らには無理だ。地獄でオークのメスと子作りに励むがいい。
「よし、ルキナ。アイツらやっちゃって。あ、そうそう。フランメでね。違いを見たいからさ。」
「わかりました。いきます、フランメ」
爆弾でも爆発したのかってぐらいの爆発を巻き起こし、オークどころかフロアの形も変え、色々とえぐり取り、ルキナのドーピング魔法は炸裂した。
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