第3話  月へ・・・

「蔵野 影(くらの けい)くん」

何で、俺の名を知っている。

話したか?


「私は、神様の使いで来た。だから、そのくらいは聞いているわ」

「神様って、あんたを月に連れて行った神様か?」

「正確には、お父さんだけどね。私は娘」

そうだよな・・・確かにひとりじゃ寂しいだろう・・・


ウサギは一羽、2羽と数えるが、おいておこう。

眼の前のバニーは、人間の姿だし・・・


「影くん、君は大きな勘違いをしている」

「えっ?」

「君は、私のお父さんと同じ、匂いがする」

「匂い?」

「自己犠牲が激しいわ」

いや、そんな事はない。

俺は、人が嫌いなのだ。

そして、人も俺が嫌い。


「君は、自分が犠牲になれば、みんなが幸せになれる。

そう考えてるでしょ?」

「そんなに、カッコよくない。ただ、怖いだけだ」

「怖い?」

「ああ、傷つくのがな・・・」

それに、ウソはない。


「そっか・・・やはり、なかなか気付かないよね」

そういうと、バニーの子は、僕の手首を掴んだ。


「どこへ連れて行く?」

「月」

「月?」

「荒療治。君はしばらく月で暮らしてもらうわ」

「息が出来ない」

「大丈夫、神様が何とかしてくれるから・・・」

誰が俺の、面倒を見る?


「私が面倒を見るわ?この姿まで」

「いつまでだ?」

「次の満月まで・・・」

「それまでに、結果が出なければ・・・」

「私は、信じてるから・・・君を・・・」


月に来た。

バニーの子の言うように、地球と同じように生活出来る。

神様は、こう言う時だけ、万能なんだ・・・


「それから、私はラミ、よろしね。影」

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月のうさぎ 勝利だギューちゃん @tetsumusuhaarisu

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