第228話 普通の女の子
「キミヒト君、お待たせ!」
「うーん、良くも悪くも普通の女の子で私としては物足りないですね」
あかねが笑顔で出てくる。俺はその姿にちょっとときめきを感じるが、その後に出てきたミカのつぶやきもわからなくもない。絶世のロリ達が集っているこの場所で普通の美少女のあかねは正直着せる側としては微妙だろう。
それを本人の前でぶっちゃける辺り、着替えている時に何かしら仲良くなることがあったのだろうと思う。しかし俺にとってはその普通というのが懐かしさを感じさせるため非常に刺さる。
めちゃくちゃに語り倒したい衝動もあるにはあるが、ここはぐっとこらえてめぐと同じファンキーなファッションに身を包みに行こうじゃないか。
「ミカ、俺のも頼むよ」
「キミヒト君、ついに心の中で語るのすら拒否してきたね」
ちょっとむくれているあかねがやたら可愛いので心を無にする。そろそろ俺は無心というスキルを覚えてあかね対策をした方が良いんじゃないかと本気で思い始めているよ。
前の世界ではあかねは遠慮していたのか、もしくは非人道的だとでも思っていたのか仲間たちの心を覗くようなことはしていなかったはず。しかしこっちの世界になってからは俺の心だけバリバリ読むようになってしまった。
なにがそんな心変わりをさせたのかはよくわからないけど恥ずかしいからもうちょっと頻度減らしてくれないかな。頼っている俺が言うのもなんだけども。
「え、待って待って。キミヒト君本当に私のこの服について何も言わずに行っちゃうつもりなの?」
「すまん、惚れそうだから直視できない」
「……え、えっと……」
めんどくさいので本心をぶちまけてやった。ざまぁ。俺もめちゃくちゃ照れくさいがあかねはもっと照れてしまうのはわかっているからな。俺が見てからずっと考えないようにしてたからなおさら効果抜群だろう。あかねはこれで大体対処できるから楽でいいわ。
ただし、これには副作用があるのは賢明なみなさんならお気づきかと思う。
めぐ以外からの殺気がこう、ひしひしとね。
だから逃げるように更衣室に引っ込んで行く。あれ以上あそこにいたら嫉妬に狂ったフラフィーが包丁を俺にぶっ刺してクロエが回復してイリスが身体強化で俺の事を絞め殺そうとしてまたクロエが回復して、楽しそうに遊んでると勘違いしためぐがさらに追加攻撃をかましてきて幸せを感じながら意識を手放すことになるだろう。
そんな未来も受け入れておきたいところだが、そんなことをしてたら本当に全てが手遅れになるだろう。ここで洋服をひとしきり買ったらダンジョン攻略もしなくてはならない。もう夜だから明日からだけど。
そして夜には……嫌な予感しかしない三人部屋で過ごすことになっている。大丈夫か? 俺は生きていられるのか? せめて平和に過ごせることを祈っておくしかないだろう。
「ロリコン戦士の服は既に選んでおいたよ。めぐちゃんと同じ感じ……にしようと思ったんだけどやっぱりこっちで」
ミカが手渡してきたのは一般的な冒険者の服。この街では探索者の服だけどどこでも見るようなオーソドックな感じ。なんかこう肩当っぽい感じのものが付いたマントみたいなやつと剣とか差せる感じのでかいベルト。
茶色のインナーで薄手の鎧を上に着ると良い感じにフィットしそうな感じの装備。ズボンは白で茶色のブーツとこれまた冒険者っぽい感じが出てていい感じ。あれ、これだと今のフラフィーとおそろい感あるな?
はやくメイド服渡して着替えさせておかないとまたロリ達が癇癪起こすぞ。完全にジーンズっぽい服の予定だったから先に入ったけどフラフィー先に着替えさせるべきだったわ。
いや、だがこの服を着たことによってフラフィーから刺される確率が大幅に減ったな。これで出て行けばあかねの事をいくら褒めてみたってフラフィーとおそろいだから怒るなよって言えばたぶん陥落させられる。
同じ装備で冒険してるって本当に夫婦みたいだよなとかテキトウぶちかませば黙るに違いない。俺は刺されるのは慣れて別にもういいかなって思ってるけどわざわざ刺されたいわけじゃあない。
フラフィーにそんなこと言ったらクロエとイリスがどうなるかわからんけどその時はその時。みんなと合流してから俺はいつでもみんなに何かされる覚悟はばっちりだぜ。
っていうか俺の服ほとんど変わってないな。
「やっぱロリコン戦士は見た目普通のほうがいいかなって思ってさ。ほら、ぱっと見優しそうな見た目してるから、それをしっかり生かして幼女たぶらかしてほしいんだよね。そしてこのお店に連れてきて私にお着替え手伝わせて?」
「欲望ダダ漏れかよ」
だが良いだろう。確かに奇抜なファッションをしているとこれから新しいロリに出会ったときに口説きにくくなるだろう。そんなことはないとは思うがもしもそんなことがあったら普通の恰好で優しくしてあげることは必須だ。
その際に他のロリ達に俺はぶち殺されそうになるだろうが、基本的に優しい子達なのでロリを助ける手伝いをしてくれるはずだ。その場合家に帰すとかそういう方面だろうけどな。
俺としてもちゃんと生活基盤があるロリだったら家に帰すよ。俺はロリが好きだけどロリが幸せに暮らしていることが好きなのであって、無理やりに色々したいとかそういう気持ちはない。
というかそんな気持ち持ってたらたぶんみんな俺から離れてるだろうな。でも、幼女にごはんごちそうしたり服をプレゼントするくらいなら別に良いだろう。例えばティティとかな!
ああ今日はティティのお店に泊まるのは間違いないけどまじで部屋割りどうなってんだろうな
「ロリコン戦士、私たちのお店の未来、託したよ」
「任せておけ。知り合ったロリは全部連れてくる勢いだぜ俺は」
ミカと硬い握手を交わして俺は更衣室から出た。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます