第227話 かっこかわいい

「へいロリコン戦士! こんな感じでどうよ!」


 ミカには俺のことをロリコン戦士と呼ぶように言って置いたらすんなり受け入れてくれたのでそれで通した。というかなんかしっくり来ると本人も言っていたのでもしかしたら前世の何かがあったのかもしれない。ロリコンの絆的なそんなん。


 そしてミカが連れてきたのは……なんか間違ったおしゃれをしてしまっている幼女みたいな感じめぐだった。


「……お兄ちゃん」


 いや、だめか? うーん、まて、いや、どうだ? うん、ありだな!


「凄い変わった服ねそれ」


「男っぽい感じある」


 散々着せ替え人形にされたことのあるクロエとイリスはめぐの事をまじまじと見ていた。今までこの店にある服は基本的に可愛い服だけだったが、どういうわけかちょっと男っぽい服も置いてあった。


 具体的に言うとスカジャン的な感じのやつ。当然下はジーパン。そして謎に赤いキャップを被り黒い眼鏡というかサングラスみたいなのをかけているという謎のスタイル。謎過ぎる。かっこかわいいというかなんというか。


 スカジャンの前は開けていて、下にはハートが矢で射抜かれたような地味にダサい感じの模様が描かれている。何というか昭和初期のヤンキーが恋人と歩くときに着ているようなそんなイメージの服。


 しかしなんだ、ダサいけど似合うなめぐ。幼女にはかわいい服も似合うけどこういうかっこいい服を着せるのも全然あり。というか盲点だったわこういう方向の服。流石、すげぇよミカは。


 というかまじでこんなださかっこいい服よくあったな。なんかめぐもまんざらじゃない感じでだるそうにしてるのが凄い様になってて笑える。風船ガム食べさせたい。なんだろうか、可愛がりたいっていうよりも一緒に肩で風切って歩きたい系。


「やっぱこれダメかな? ロリコン戦士のパーティみんなばっちり可愛い服で攻めすぎると違和感あるかなって思って。それならロリコン戦士とめぐちゃんだけこんな感じの服着せてみようかなって思ったんだけど」


「いやダメじゃない。全然あり。俺にはこういう方向の可愛さを見出そうという発想がなかった。妹らしさも考えてコーディネイトしてくれて俺は嬉しいよ」


「ならよかった。そっちのあかねさんは恋人風コーデにして欲しかったんでしょ? それならめぐちゃんは妹色を強くしようかなって思ってさ」


「……」


 またあかね照れてら。今更そんなんで照れる柄じゃないだろお前はよ。なんかあかねのアプローチ具合が高すぎて嫌な予感がひしひしと伝わって来るんだけどどうなんだこれ。


 あかねがまじで正妻の座を狙ってきているとしか思えない。ネタキャラというか寝たキャラとして活動していたお前はどこに行ってしまったんだ。


「お兄ちゃん、似合ってる?」


「あぁ、凄く可愛いよ」


 帽子を浅くかぶって今にもヒップホップでもやりだしそうなめぐを撫でる。うむ、こういう変わった可愛さもあるのは素晴らしいよ。その代わりめちゃくちゃ異様なパーティになるけどな。


 学生服を着こんだ銀髪のロリ二人にヒップホッパーなロリ、あかねには恋人風ふんわりコーデで思いっきり恥ずかしがってもらう予定だしフラフィーは侍女スタイルにしてやろうと思ってる。俺が死んだやつとは違う普通のタイプな。


 イメージ的には双子のお嬢様のクロエとイリス、従者のフラフィー、破天荒な友達のめぐ、そして保護者として駆り出される友達の兄の俺とその幼馴染のあかねって感じか。冒険舐めてんな。


「それで次はどっちの服にする?」


「じゃあ次はあかね……」


「先にキミヒト君決めてきなよ」


 俺があかねに先を譲ろうとするとあかねは俺を先に着替えさせようとする。何故だ。あかねが意味もなく俺を先に着替えさせる理由……ふむ、つまりそれは自分が後に着替えた方が良いと思っているという事か。


 となるとあかねが着替えた後の俺がどう動くかを予想すればいいな。


 あかねが着替えてきたら……ああ、そうね。恋人風コーデで出てくるから俺がちょっと照れる……いやたぶんめちゃくちゃ照れる。だってあかねは保護欲沸かないから可愛いってなったら純粋に可愛いんだよな。


 クロエとイリスとフラフィーには保護欲沸くからなんだかんだで照れをテンションでごまかせるけど、あかねの場合はまずいな。テンションで誤魔化したら告白と同義。


 つまり俺はあかねを先に着替えさせ、それを少し見てすぐに着替えに行って心を落ち着かせるのがベター。


 なんでこんな意味の分からん駆け引きせなあかんのか。イチャイチャ度合が高まり始めているからそろそろギャグ要員が出て来てくれてもいいんだよ?


「キミヒト君、おおむねその通りだから先に着替えてきて」


「嫌に決まってんだろ」


 あかねは悪びれもせず俺に可愛くおねだりしてきたのでアイアンクローをかましてミカに渡した。その際あかねは少し不貞腐れていたけどまあいいだろう。これからずっと一緒なんだし急ぐ必要もないってわかってくれ。


「キミヒトさんってあかねさんの事大好きすぎですよね」


「そんな風に見えるか?」


 フラフィーが俺に突っ込みを入れてくるが、正直俺はあかねのことかなり雑に扱っている気がすると思うんだけど。好き具合で言えばたぶんめぐが一番上に来ると思うしそれでもみんな同じくらい大好きだよ?


 そう思っていると残っているロリ達がうんうんとうなずき合っている。めぐだけは今にもヒップホップ踊りだしそうになっててちょっと笑える。というかだめだこれ、めぐにラップ歌って欲しくなってくるわ。


「じゃあとりあえずあかねディス多めにしておくか」


「それはそれで特別感があるのでだめですね」


 結局何をしてもあかねが特別扱いされているとみんなに認識されているのでどうしようもなかった。うん、なんというかみんなもあかねのこと大好きって伝わって来るから俺としては嬉しいよ。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る