第7話 雨水
あの後先生が来て、美術室を閉めると言われ追い出された。春の手紙はコートのポケットの中。封は開けてない。まだ寒い、二月十五日の空をゆっくり飛んで家に帰った。
二月十七日。今日は学年朝会だった。滅多にないくせに、たまにあったと思ったら全然くだらない話すぎてすげぇ退屈。先生の話無駄に長いし。まだ始まったばかりは耐えてたが、だんだん眠くなってくる。どんどん最初の話から遠ざかってくし、生徒の中にも何人かこっそり欠伸をしてる奴を見かけた。どうでもいい長い話をマトモに聞いてる奴なんてあまりいない。担任なんていつもの倍くらい喋ってるぜ。やっとのことで(半分寝てたけど)朝会も終わり、教室に戻る。教室に帰る時、二年の中にサクラもいるかなってさりげなく見回したりもしたけど、見つからなかった。何気に俺、サクラの事あまり知らないなって思う。サクラってのも多分偽名だし、内履きのカラーで同じ学年っていうのは分かったけどクラスも知らない。俺の学年は11クラスあるから、学年全員の顔と名前なんて知らないし、例え分かっててもそれらが合致することはないと思う。俺、人の名前覚えるの苦手だし。
そして、土曜日。午前9時に学校前集合。その10分前に学校に着いた。サクラはもう着いてて、大きなリュックを背負っていた。服は相変わらず制服で、その上にコートを着てる。
「お前、学校行くわけでもないのに制服なの?」
「え、何何?私の私服見たかった?」
「馬鹿か。俺私服だから合わねぇなって思ったんだよ。」
「なんだー。つまんないのー。」
そう言いながらサクラはリュックから地図を取り出す。
「あそこまで歩いて10分なんだってー。」
へー。てか、今時地図持ち出す奴いるんだな。なんて俺は変なところに感心しながらもサクラの後についていった。
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